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第42話 征南将軍を返上したら司隷校尉に任じられたよ

 さて、会稽郡の反乱はひとまず全て鎮圧したので、俺は洛陽に戻ることになった。


 今回、討伐に協力してくれた丹陽郡の太守である陳寅には、九卿の地位を推薦し、下っ端役人であった朱儁や朱治などには、俺の下で働かないかと声をかけた。


「お前の道案内と活躍がなかったら、もっと苦戦していたと思うんで、感謝するぜ」


「いえいえ、推薦していただけただけでもありがたいことですよ」


「で、朱公偉と朱君理には是非俺の下で働いてほしいんだがどうだろうか。

 お前さんたちならきっと出世できると思うんだが」


 朱儁は20代前半、朱治は10代後半のはずなので、まだまだこれから成長するかもしれないんだ。


 朱儁はいう。


「まことありがたいことです、母とともにぜひ参じさせていただければとおもいます」


 朱治もいった。


「どうぞよろしくお願いいたします」


 朱治はいまいち知名度は低めだが、実は孫策に江東平定を勧めたのが朱治、孫策の家族を保護したのも朱治、呉郡を平定したのも朱治。


 演義で有名な朱桓とは、また別族で朱桓の家は結構な名家だったようだが、朱儁や朱治の家は貧乏だったらしい。


 ああ、ちなみに俺の持つ征南将軍職というのは、臨時職ではあるが、三公とほぼ同格で九卿より上扱い。


 日本であれば征夷大将軍に近い地位で、結構武官としては上の地位なのだ。


 もっとも、まだ上に大将軍や驍騎将軍・車騎将軍・衛将軍が居るけどな。


 本来なら、孫堅もこの戦いの功績で、県史の地位を得るんだけど……まあそのうち何かの反乱討伐で出世してくれることを祈ろう。


 張伯祖とその弟子である張機も当然共に来てもらうことにした。


「お前さんたちの知ってる医術知識を紙にまとめてほしいし、これからも兵達の疫病を予防することに力を貸してほしい」


「わかりました、微力ではありますが、将軍の力になる所存です」


 そんな感じで、人材を入手した俺は、また李儒に手紙を送って、洛陽の様子などを教えてもらっているのだが、俺の出世は段熲と袁隗の御陰であるらしい。


 まあ、一概に否定はできないのが辛いとこだ。


 俺的にはむしろ張奐が一番の恩師だと思ってるんだけどな。


 荊州を北上し淮河を渡河して、洛陽に入る。


「あいかわらず空気の悪い場所だな、色んな意味で」


 俺は段熲と袁隗のもとへ挨拶に行き、王甫にもちょこっとだけ贈り物はしておいた。


 この時点の段熲の主人は、王甫だと言っていい状態なので、直接の挨拶はしなくても、志くらいは渡しておかないといけないというのも、まったくもって面倒なことだ。


 まずは段熲の屋敷へ向かう、直属の上司はこちらだからな。


「段紀明様、お久しぶりでございます。

 これは心ばかりではございますが、お受け取りください。

 今後もよろしくおねがいします」


 俺は段熲に金塊を手渡しながらいう。


「うむ、董仲穎の活躍で私も先見の明があると評価されている。

 今後もよろしく頼むぞ」


「はい」


 いや本当なら縁をバッサリ切りたいんだが、そういうわけにも行かないのが面倒なとこだ。


 それから袁隗の屋敷にも向かう。


「袁次陽様のお久しぶりでございます。

 これは心ばかりではございますがお受け取りください。

 今後もよろしくおねがいします」


 俺は袁隗に金塊を手渡しながらいう。


「うむ、南方の妖族を無事誅滅したようだな」


「はい、いろいろな方の協力により無事任務を遂行することができました」


「うむ、なかなか活躍しているようだな。

 今後も漢王室のために尽力せよ」


「かしこまりました。

 また厚かましきことかとはおもいますが馬季長(馬融)さまの子息である|馬翁叔(馬日磾)殿や楊文先(楊彪)殿、蔡伯喈(蔡邕)殿や盧子幹(盧植)殿に私を紹介していただければと思います」


「ふむ、よかろう、そろそろ君にも勉学も必要であろうからな」


「ありがとうございます」


 盧植は建寧元年(168年)に博士に徴し出され、現在は洛陽に入っており、楊彪・馬日磾・蔡邕らと共に漢記の編纂作業をしているはずだ。


 それから俺は征南将軍の位を正式に返上したが、そのかわりに司隷校尉(司隷における監察官)に一旦つくことになった。


「俺が司隷校尉ね……」


 司隷校尉は、必ずしも洛陽に駐屯しなければならないわけではないのだが、正直に言えばあんまりいいイメージはないんだよな。


「とはいえ司隷の各郡に行けたりするのは意外といいかもしれないな」


 軍権のようなものもあるし、利用できるものは利用させてもらおう。


 まあ、すぐに別の役職になるとは思うが。

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