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第40話 閑話医師などから見た董卓という男

 曹操を通じて并州に来た華陀、董卓の南方反乱討伐任務により新野へ召喚された張伯祖と張機。


 彼らは董卓という男は変わり者であるとは思っていたがそれは自分たちにとって好ましいことだと考えていた。


 そもそも董卓の部下は涼州の羌族や并州の南匈奴の血が混じってるものも少なくない。


 だが、董卓は漢人である、羌族である、南匈奴である、異民族との混血であるなどの出自には全くとらわれず、武の才能があれば軍人として、文の才能があれば役人として、ふさわしい地位に取り立てるということを行っており、弾圧されている清流派をかくまったかと思ったら、濁流派から抜け出し清流派に転向したい曹操や老齢や権力争いではじき出され、乞食に落ちた宦官を救うなど、政治的派閥にすらとらわれずに召し抱えるなど儒者からも宦官からも理解出来ない行動を取る男ではあった。


 医者といえば、怪しげな社会的に身分の低い者とされていたにもかかわらず、社会的に大事なものだと華陀に対しては病院を作り、薬を集めたり、弟子と紙を手配してそういった記録を取ったりもしていた。


 この時代の紙はまだまだ貴重なものであったが、董卓は医学の知識や技術は詩歌を記すよりも大事だと考えているようだと考えていた。


 また董卓は張伯祖とその弟子の張機に対しても丁寧に対応し、北方から率いてきた兵士に対して風土病の予防のための知識を求め、張伯祖とその弟子の張機のプライドを十分にくすぐった。


 二品かつ禄が万石相当の四征将軍の一つである、征南将軍の地位は後漢においてはかなり高いが、その将軍が医術は大事だといい、知恵を貸して協力してほしいと言ってきたのであれば当然とも言えた。


 華陀や張伯祖とその弟子の張機には医者として多くの人を救いたいという理想と共に、士大夫として知識を認められたいという欲望もあった。


 北方でも南方でも起こっている、異民族との戦いでは避けられない傷病に対しての、対策や疫病について話したり、医術とは言えない迷信を正していることも聞くと、董卓という男が多くの人を救おうとしている理想的な人物であるように見えたのは間違いなかった。


「我々はあなたのために働きましょう」


「うむ、そうしてくれればありがたい」


 のちに黄巾の乱をおこす、宗教である太平道も張角が病人に対し、自分の罪を悔い改めさせた後に特別な祈祷を行った符水を飲ませ、九節の杖で呪術を行って治癒を行ったという、最終的な治癒の良否は当人の信仰心の篤さによるとして張角・張宝・張梁らは「大医」と称していたことが太平道の信者獲得には治癒行為に大きな比重が置かれていたが、同時代の五斗米道も含めてこれは古今東西の宗教に共通することではある。


 何れにせよ病気の治癒というのは民心を掴むには重要なことであった。

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