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第34話 呂布と上の兄弟で義兄弟の契りを行わせ、初陣させたよ

 さて、曹操の地元でもある豫州沛国譙県から、名医である華陀を呼び寄せたことで、年をとって体が弱っていた皇甫規や李膺の体調も良くなったようで何よりだ。


「お二方とも体調がよくなったとはいえ、あまりご無理はなさらぬようにしてくださいな」


 二人はハハと笑いながらいう。


「まあ、そのくらいのことはわかっておるよ」


「我々が年をとっているのは事実だしな」


 一方、俺の養子同様に育った呂布と上の兄弟である董超と董越はかなり仲良くなったようだ。


「お前さん達、何ならこの機会に義兄弟の契りを結んだらどうだ?」


 呂布が嬉しそうにいう。


「うむ、それはいいな」


 俺の息子たちもいう。


「ああ、それはたしかに良いですね」


「自分も良いと思います」


「じゃあ、生まれた順だと董超・呂布・董越の順番でいいか」


 呂布が息を小さく息を吐いたあとでいう。


「俺の生まれは正確にはわからないがそれでいいならそうしてほしい」


「父さんがそういうなら我々に否やはないです」


「ええ、力では彼のほうが上ですしね」


 というわけで早速宴会を開きつつ義兄弟の契りを結ばせる。


 まずは祭壇を造り飼育している黒牛白馬を生贄として神に捧げたあとで俺は3人に文字を書いた紙を渡す。


「よしお前たち、これに書いてあるとおりに皆で声を合わせてくれ」


 3人はなになにと読んだあとでうなずいた。


 そして酒盃を掲げたあと皆で声を合わせていった。


「我ら三人、生まれし日、時は違えども兄弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。

 上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。

 同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、同年、同月、同日に死せん事を願わん。

 皇天后土よ、実にこの心を鑑みよ。義に背き恩を忘るれば、天人共に戮すべし」


「うむ、これで誓いはなったな、まずは酒を皆で回し飲みするがよかろう」


 用意したのは上級の酒だ。


「おお、これは良いものですな」


「うむ、たしかに」


「これで俺たちは兄弟だぜ!」


 酒だけではなく羊羹なども出しての宴会は盛り上がった。


 史実における董卓の死因の一つには、涼州と并州の派閥争いがあって、長安に移動したあとは并州出身者が不遇な扱いを受け、牛輔の部曲ばかり優遇されていたからと言うのもあるようだしなんとかそう思われぬようにしていかねばな。


 そんな折に鮮卑の檀石槐(だんじゃくえ)が率いる兵が国境を超えて攻撃してきた。


 檀石槐は優れた軍事と政治の才能を持った男で、匈奴が支配していた地域を現在支配しており、張奐とも度々戦っている。


「父上、我らも兵にくわえてくだされ」


「そうですとも、我らも戦う時が来たのです」


「きっとお役に立ってみせますぞ」


「わかった、では皆で戦おうぞ」


「おおっ」


 俺は皇甫嵩と連携して檀石槐を迎え撃った。


 膠で煮固めた鎧も一部には身につけさせている。


 副将は弟の董旻、参謀は賈詡、部曲の長には馬騰・韓遂・牛角などを配置し息子や呂布・曹操は弟の下に、荀彧などの一族は賈詡の下へと配置する。


「相手の指揮官を集中して狙え、ある程度の損害をあたえたら、逃げ出すように見せるぞ」


「ああ、わかってるぜ兄者」


「お前たちは俺たちを追いかけてきた連中に矢を射かけてくれ」


 呂布たちはうなずく。


「おう!」


 まずは的に突っ込んで族長らしいものに矢を射かけて、戦力を削ぎつつ、後退しながらパルティアショットでやはり相手にちまちま損害を与えて、呂布や董超・董越などが待機している場所に、敵を誘導して、そこで追いかけてきた鮮卑の騎兵に集中して矢を射かけると敵は潰走した。


 もっとも鮮卑の弓騎兵に歩兵で対抗をしようとするのはかなり難しいだろうな。


「まあなんとか勝てたか」


 この功績により俺は并州刺史から并州と接する司隷の一郡である河東郡太守に出世することになった。


 あんまり司隷には近づきたくはないが洛陽に行くわけではないからまだいいか。


 俺は并州から一旦離れることになるが涼州や并州の部曲はそのまま連れて行くことにする。


 とりあえず并州の守りは皇甫嵩将軍がいればなんとかなると思うが、だからといって役人をあんまりあちこち転任させるのはどうかと本当おもうんだけどな。

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