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第153話 鄴攻防戦の前段階

 さて、季節は巡って冬になり、河が凍結して馬や徒歩でそのまま河を渡れるようになった。


 そして引退した皇甫嵩に変わって車騎将軍となっている盧植、前将軍の董越、左将軍となった張郃、牙門将軍の陶謙、偏将軍の黄忠、裨将軍の張遼もそれぞれ1万の兵を与えられて、黎陽の大将軍である董旻に合流しその軍勢は10万以上となっていた。


「これで大きな争いが終るとよいのですが」


 盧植はそういうと董旻はうなずいた。


「全くですな、我々が先陣に立つのはこれで終わりになってほしいものです」


 その下には于禁や楽進、梁習、徐晃、郝昭なども新たに加わっている。


 そして董旻は全軍に指令を出した。


「よし鄴をおとすために前進するぞ」


「おお!」


 華陀やその弟子などが従軍していることもあって疫病の発生なども起きておらず、全軍は黎陽からの補給も受けて速やかに前進が行われており、豫州から兗州を制圧した孫堅は冀州東部へ、徐州の臧覇は青州へそれぞれ攻撃をかけて、冀州東部や青州方面から袁紹本体への合流を妨げており、幽州方面から冀州北部にかけては劉備が後方攪乱を行っている。


 しかし袁紹の方も未だに軍の数は負けておらずその数は10万であった。


 袁紹のもとには高覧、臧洪、朱霊、張楊、韓荀、韓猛、眭元進、韓莒子、呂威璜、趙叡といった武将もまだ残っていた。


 曹操は鄴城の周辺の物資集積地や糧道について董旻へ情報を送っていた。


「なるほど、まずは周辺からの糧道を潰すべきか」


「ではその役目は私に」


 そういったのは張遼である。


「わかった、この際は騎兵のほうが有効だろう。

 たのむぞ」


「はっ」


 董旻は鄴城に向かいつつ、張遼を別働隊として邯鄲に向かわせて、冀州北部からの物資輸送を断絶させた。


 普通ならば長征で食料に苦しむのは攻撃側であったが、曹操やそれに通ずる逢紀と許攸により袁紹陣営の情報は筒抜けであり、袁紹は青州との連携も取れずに冀州にて孤立しつつ董卓の軍を迎え撃たねばならなかった。


「こうなれば短期決戦にて董卓の軍を打ち破るよりありませぬ。

 敵を破りさえすれば離反した県や郡もすぐにこちらに戻りましょう」


 郭図がそういうと辛評も同じようにいう。


「今であれば兵もまだ動けます。

 しかし時間が経てば動けなくなり離反するものも増えましょう」


 袁紹は二人の言葉にうなずいた。


「うむ、私自ら出て敵を蹴散らすよりあるまい」


 こうして袁紹が総大将となって董旻率いる董卓の軍と10万という大軍同士での最終決戦が始まろうとしていた。



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