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第141話 俺の暗殺は失敗に終わったよ

 やがて何顒と伍瓊は俺への目通りを求めて南陽へやってきた。


「ふむ、来たか」


 史実において何顒は董卓暗殺計画の中心を担ったというが、実のところ何顒には本来的にはそういった計画の中心になれるほどの家柄や財力、人脈や官位はない。


 何顒(かぎょう)伍瓊(ごけい)と共に周毖(しゅうひ)は袁紹が洛陽から逃げ出したときに、董卓を宥め、袁紹を勃海太守に任命させたが、周毖は何顒・伍瓊とは違い涼州の出身で父は周慎(しゅうしん)だが、184年の涼州大乱で涼州で羌族が漢人の辺章と韓遂を首領にかついで反乱を起こしたとき、当初は左車騎将軍の皇甫嵩と中郎将の董卓が追討の任にあたったが、185年になっても反乱を鎮圧することができなかったことを理由に朝廷は皇甫嵩を罷免し、董卓を破虜将軍に任命したうえで、改めて車騎将軍として張温を派遣し、このとき盪寇将軍の周慎は執金吾の袁滂と共に張温の討伐軍に随行し、反乱軍が総崩れとなり、董卓の追撃を受け散々に打ち破られ、城に逃げ延びたのちに周慎は張温の部下の孫堅と共に城攻めにあたったのだが、孫堅が敵を兵糧攻めにすべきと進言したのに、周慎はその進言を聞き入れなかったため、逆に兵糧を断たれてしまい敗北した、その後の周慎がどうなったか記録がないが、おそらく負けたことで将軍の地位は剥奪されたのだろう。


 そしてそのために史実では周毖は董卓の側近となって、宦官を取り除くことを董卓を焚き付けたのであろうし、董卓が宦官を取り除いたら、自分が改革を中心となって行うのだみたいな多くの士大夫から見れば見当違いの態度になったのものもおそらく周毖の影響だろう。


 彼は、何顒や伍瓊と違って何進の配下であったことはないし、袁紹とのつながりもないはずだが洛陽にいたときに個人的に伍瓊と親しかったりしたのかもしれないな。


 まあ今は周毖がどこで何をしてるかわからないが。


 俺は現状の親衛隊隊長である許褚と典韋を伴って彼らに会うことにした。


「許(褚)仲康と典韋よ、俺は何顒・伍瓊と会うが、彼らの動きを見て、必要であればその場で捕らえよ。

 なるべく俺は高名なお二方にお会いできて光栄です、みたいに会話で褒めて心を開いて心酔し油断しているように見せかけるつもりだ。

 そして最悪その場で斬って殺しても構わん」


「かしこまりました」


「御意」


 そして俺は何顒・伍瓊と対面した。


「お初にお目にかかります。

 私は何(顒)伯求でございます」


「同じく伍(瓊)徳瑜でございます」


「ふむ、漢全土にその名が響く名士として名高い、あなた方に会えたことは誠に喜ばしいですな。

 歓迎いたしますよ。

 そしてどうか私の行っている政策などであなた方の助言をいただければと思います」


「うむ、私で良ければ相談にのりましょう」


「そうですとも」


 そして俺は彼らと政策などを話し、彼らは的確に応答しているので流石ですなと褒めて持ち上げておく。


「なるほど、実に参考になったですよ。

 できればまた話を聞きたいものですな」


 会見が無事終わったあとで俺が後ろを向くふりをすると、彼らは服の中から短刀を取り出して、俺へ向かってきて俺の背中にそれを突き刺そうとした。


「またの機会などないわ!」


「逆賊が! 死ねい!」


 それに対して許褚と典韋もすばやく動いた。


「痴れ者が!」


「やはりな!」


 結果としては許褚と典韋があっさり二人を取り押さえた。


「貴様らはなぜ俺に対して謀反をおこした?」


 俺がそういうと伍瓊が言った


「お前は私の主君ではないし、私はお前の臣ではない!

 ゆえに謀反ではない。

 お前は天子の位を奪い、悪逆の限りを尽くしている。

 だからこうしてお前を殺し市場に晒しに来たのだ。

 残念なのは失敗したことだけよ」


「ふむ、悪逆の限りを尽くしているときたか。

 背後関係を洗いざらいはかせるためにも、両名はとりあえず獄へつないでおけ」


 さて背後には誰かいるのかいないのか。


 王允は関係してるのかしてないのか。


 いろいろ面倒なことになりそうだ。

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