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第128話 呂布の官渡の戦い野戦編

 さて、呂布がようやく陳留の復興を終えた頃には冬を感じる季節になっていた。


「よし、冀州へ向けて兵を進めるために官渡の砦を落とすぞ」


「はっ!」


 官渡は黄河から南東へ流れる官渡河の南にあり、その他にもこの地は濮河、陰溝河やその支流が複雑に交差する天険の地である。


 だが陳留から袁紹の本拠地である鄴に攻め込むためには、この地に存在する砦を落とさなければならない。


「できれば黄河が凍って河を船を使わずに馬に乗ったまま渡れる間に陥落させてしまいたいものだ」


「そうですな、しかし、そう簡単には行かぬでありましょう」


「この際攻城兵器を惜しみなく投入するしかあるまい」


「そうですな。

 出し惜しみして機会を逸しては意味がございません」


 攻城兵器は製造、維持、移動や運用に多大な資金と労力を要するのだが、ここで出し惜しみして兵を無駄に損耗するよりはずっとましであろうと呂布は判断したのだ。


 様々な攻城兵器を移動させながら呂布は官渡砦へと兵を進めた。


「もうそろそろか……偵察部隊を出せ!」


「はっ」


 やがて偵察を行い戻ってきた偵察部隊の報告によれば袁紹もこの守りには力を入れているようで守備兵力は約2万と呂布の率いている兵力とほぼ同数であった。


 袁紹軍の武将顔良が率いる部隊は砦を出て横陣を布いていた。


「こちらも陣を組め!

 中央は頼むぞ」


 呂布は高順へそう指示を飛ばすする


「了解であります!

 必ずや敵陣を足止めしてみせましょう」


 それぞれ伍長の支持で歩兵5名は縦隊の編成を行いそれが横にズラッと並んでいく。

 最前線のものは盾と短兵器である刀や手鉾を、二列目のものは長い鉾を、3列目4列目は弓や弩をもち最後列の伍長は長い鉾を持っている。


 そしてお互いがジリジリと近づきながらまずは弓をい掛け合い、次第に距離が縮まるとお互いの長い得物で殴り合い、そして、更に近づいたら先頭兵の白兵戦に移行する。


「このまま押し続けよ!」


 鎧の装備率などから呂布の兵のほうが損害は少ないがその目的は敵の陣を崩す事ではなく敵の進行をとどめて置くことだ。


「よし横から攻撃をくわえるぞ!」


 呂布は軽装弓騎兵を率い顔良軍の隊列の側面まで迂回移動し、そこから弓をいかけた。


 ”うわー”


 伍を用いた横陣は正面からの圧力には強いが横や後方からの攻撃には弱い。


 古今東西で使われる鎚と鉄床戦術の完成により顔良の陣は打ち崩されて官渡砦へと逃げていくことになった。

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