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第121話 大規模な戦闘を行うための調練風景

 兵士の敵前逃亡や進軍停止は古代から大規模な軍隊には付き物である。

 とくに戦時に臨時に徴兵されただけの兵士は専任の兵士と比べれば、敵前逃亡や進軍停止が頻繁にある。

 そして大規模な部隊を規律正しく運用するためには移動開始や停止のための合図をしっかり定めそれを全ての兵が理解しなくてはならない。


 董卓が反乱鎮圧のために後漢辺境の南北の地域で戦っていたときはそれまでに組み込んでいた地元の豪族や異民族の長をそのまま部隊の長として使い、細かい指揮は豪族や異民族の長に任せていた。

 しかし、袁紹との決戦にあたっては徴兵した歩兵を主力として全面に当たらせなければならない。


 呂布は練兵の指揮を取っていた。


「お前らよく聞け!。

 まず大きく太鼓が一度鳴ったら、全ての兵は装備を確認し整えよ!」


「はっ!」


「二度目の太鼓が鳴ったら騎兵は乗馬し、歩兵は伍長の元に急ぎ、各々陣形を整えよ!」


「はっ!」


「三度目の太鼓が鳴ったら定まった順番で進軍せよ!。

 偵察部隊は先発して地形の広狭を確認し本隊へ報告せよ。

 本隊は報告を受けるまでその後ろに止まり、その輜重部隊はその後方に集結するのだ」


「はっ!」


「各部曲の長は、部下に平常な心を保たせることを心がけよ。

 しかし隊列を乱したり、進もうとしなかったり、敵前逃亡を行うなど命令を無視するのが明白な者はその上の長が斬れ!」


「はっ!」


「戦に臨んでは、兵は雑談私語を慎み、各々が太鼓の音を明瞭に聴き取れるようにし、長による前後左右の進退の指示に従い人を乱さぬように移動せよ。

 命令を聞かずに勝手に進退する者がいれば、伍長がこれを殺し、伍長の中で進まぬ者がいれば、什長がこれを殺し、什長の中で進まぬ者がいれば、都伯がこれを殺し、都伯の中で進まぬ者がいれば部曲将が殺す。

 将軍が進軍の指示とともに抜刀した際、命令を聞かずに進まぬ者は斬る。

 ひとつの部が交戦しているにもかかわらず、手が空いている部がこれを救わない場合は、部の長を斬る。

 また将の軍令なく妄りに動く者は斬る。

 妄りに大声を上げる者は斬る!」


「はっ!」


「定まった順に従わず前進して戦った者は、功があっても恩賞は取らせぬ。

 隊が前進する時、後ろの兵が前の兵の前に出て功を上げても恩賞は取らせぬ。

 順番は遵守せよ!」


「はっ!」


「では実際に模擬戦を開始する!」


「おおっ!」


”ドン”


 太鼓の音が鳴り響き兵が剣や刀、盾や弓弩などの装備を確認する。


”ドン”


 更に太鼓の音が鳴り響き、伍と呼ばれる五人組の隊列を横に並べて陣を組む。


”ドン”


 先頭にいた偵察部隊が地形を確認した後戻ってきて呂布のもとへ地形に問題がないことを報告する。


”ドン”


「全軍進め!」


”ザッザッザッザッ”


 こうやって一万人単位の集団が乱れずに陣形を保ったまま動けるように少しずつなっていくのであった。


「まだまだだが、だいぶまともにはなってきているか」


 袁紹との決戦も間近である。

 それまでには将軍の指示通り全軍が一糸乱れぬように指示通りに動くようにしておかねばならないのだ。

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