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第120話 排泄物の処理などのため豚などを連れて行かすか

 さて、袁紹との決戦に向けての軍編成などの準備は弟の董旻や息子の董超・董越、呂布などに行わせている。


 後漢と言うか古代中国の軍編成はかなり組織的になっていて、将軍を頂点として、副官である軍師、事務担当である長史、監察官である司馬、上級参謀である従事中郎、祭祀を行う閣祭酒、命令書や帳簿の作成を仕切る主簿、各部隊への命令伝達を担う参軍、上奏、報告、記録を担当する記室督、人事担当の曹掾などの事務方と千人ほどの集団指揮官である部の指揮官である校尉、その下の五百人ほどの集団指揮官の曲の指揮官である軍候、100人の集団指揮官である伯長、50人組の屯の指揮官である隊長(屯長)、10人組のリーダーの什長(火長)、最小単位の五人組のリーダーである伍長と基本は5名単位、10名単位の組織が整備されている。


 ただし実際に運用される兵数はそれほど多いものではなく、将軍でも1万人程度、その下の裨将軍で5千人くらいだったりするが、その下のリーダーを誰にするかまで細かく決めるのは当然俺の仕事じゃない。


「俺にできるのは兵站を破綻させないための助言をすることぐらいか」


 戦闘で勝つことばかり考えて補給を疎かにするのは何も太平洋戦争の日本軍だけではなく、古今東西の軍にはよくあることではあるが、鉄道により人員や食料の大量輸送が可能になるまでは船か馬車もしくは人に頼るしかない。


 人を集めるのはたやすくてもそれを食わせていくのは大変なのは現代の会社でも同じだな。


 そして袁紹はこの時代の人間としては補給に対しての考えや兵士に対しての鎧の装備率は良い方であったりする。


 袁紹が世間に思われているくらい無能のボンボンだとしたら、冀州に逃げ出したとしてもその後何もできなかっただろうが、実際は少なくとも勝ちやすくするための方策はいろいろ取っていたりする。


 官渡の戦いのあたりになると情報の取捨選択に良くない物も増えていた気もするがな。


 そして補給とともに、考えないといけないのが陣地での死体や排泄物処理などの衛生処置だ。


 曹操が赤壁の戦いにて敗北した理由は実際のところは呉の火計ではなくて陣中での疫病の蔓延であったようだが、これは淮河以南の温暖湿潤な地域で、10万もの大軍の陣地において飲水の煮沸消毒や病死したものの死体や排泄物処理をキチンと行わなかったことによるものであるらしい。


「なるべく移動中は兵士を密集させぬようにしたほうが良いな。

 そして飲水は必ず煮沸消毒し、排泄物処理と食料確保のため豚や狗を連れて行かせるのがいいかもしれんな」


 人間の大便を豚や狗に食べさせるのはこの時代では普通に行われていることだ。


 そういった豚や狗を俺は正直食いたいとは思わんが。


 そして遊牧民族は羊などを伴って軍事行動をするため、補給にはあまり気を遣わなくても良かったりする。


 もっとも遊牧民の場合は略奪をするというのもあるが、何れにせよ乾燥しており気温も低い中国北部であればそこまで問題にならない衛生問題も大軍を動かすとなると大きな問題になりかねない。


 俺は弟の董旻や息子の董超・董越、呂布などにそれを伝えた。


「今度の決戦に際してはなるべく移動中は兵士を密集させぬようにしたほうが良い。

 そして飲水は必ず煮沸消毒し、排泄物処理と食料確保のため豚や狗を連れて行かせよ」


「なるべく兵を密集させないのですか?」


「ああ、陣中での大便の量が増えるほど疫病も発生しやすくなるだろうからな。

 そして大便を食わせた豚や狗を食うときは必ず炙り芯まで火を通すようにせよ。

 そうでなければ虫によって命を落とすものも出よう」


「わかりました、兄上」


「煮沸するための薪の確保などもまた大変だろうがよろしく頼むぞ」


 こういったことを口で言うのは簡単だが実行するのは大変だ。


 とはいえ実行しなければ戦う前に戦えない状況になるかもしれないしな。


 その辺はわかってくれるだろう。

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