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第119話 自分たちが勝つ確率を少しでも上げるのは当然のこと

 さて袁紹との正面決戦は弟の董旻や息子の董超・董越、呂布などに任せているが、董旻もこの決戦が終わったら引退かもしれない、そろそろ息子たちの世代に役目は譲り渡すべきなのだ。


 もっともこの時代では歳をとっても家長が現役を続行するのが普通だったりはするのだ、それが原因で魏では曹丕の統治年数を短くさせ間接的に魏を滅ぼす原因にもなり、呉では孫権の老害政治につながっていったわけであるのだ。


 俺は曹操や賈詡などを集めて裏での袁紹陣営の切り崩しに関しての話を行う。


「すでに麴義や劉和をこちら側に引き込んだことで袁紹の戦力や名声を切り崩しに成功はしているがまだまだその勢力は強大だ。

 正面決戦を行っても負けることはないとは思うが勝つ確率を大きくするに越したことはない」


 俺の言葉に曹操がうなずく。


「そうですな。

 孫子いわく”兵は拙速を聞くも、未だ巧久を睹ざるなり”と申します。

 大軍を動かすとなれば輜重の負担もその分大きくなります。

 ゆえに速やかな勝利こそを最高と見なして、決して長期戦を高く評価したりはしないものです」


 曹操の言葉に俺はうなずく。


 孫子いわく算多ければ勝ち、算少なければ勝たず。而るを況や算なきに於いてをや。


 兵は詭道也と言うが戦争は最終的にはだましあいである。


 相手には弱いように見せかけ油断させたり、兵が敵の近くにいても相手の遠くにいる様に見せかけたり、傍や人形を用いて兵を多く見せかけたり、遠くにいても相手の近くにいる様に見せかけ、相手にとって有利と見せては相手を攻撃しやすい場所に誘い出したり、流言で敵を混乱させたり、相手が怒り易ければ怒らせて判断を誤らせて消耗させ、団結していれば離間させるのが勝利の道なのだ。


「うむ、長引けば長引くほど糧秣を浪費するのは事実だ。

 だからといって力攻めが良いと言うわけでもない。

 勝つための条件は戦う前になるべく整えておくべきであろう」


「はい、袁紹の陣営は必ずしも一枚岩ではございません。

 田豊は袁紹に対して諫言し投獄されているとのこと」


「ふむ、田豊を脱獄させこちらに引き込めば袁紹の陣営は更に割れるであろうな。

 できるか孟徳」


「は、やってみせましょう」


「うむ、頼むぞ、また可能ならば物資の集積地についても調べてくれ」


「かしこまりました、可能なら奪い、奪うのが無理であれば燃やしてしまいましょう」


「ああ、頼むぞ。」


 袁紹の配下で涼州出身の麴義が外様扱いされているのはわかると思うが、それ以外にも豫州派閥と冀州派閥、荊州派閥の間の仲は良くない。


 豫州派閥は郭図や辛評などで、冀州派閥が田豊や沮授、審配など、荊州派閥が逢紀や許攸だ。


 もっとも審配は郭図や逢紀などと同じ意見で行動していることが多く、もともと田豊や沮授とは反りが合わなかったのだろうな。


 出身地による派閥争いというのはこの時代の中国では珍しくない。


 それとともに食料調達のための方策の一つを行わせよう。


「商人を向かわせて豫州北部や冀州東部、兗州や青州で食料の買い付けを行わせよ。

 価格は通常の倍でも構わぬ」


「かしこまりました」


 孫子は敵国を攻める時は食料の輸送に莫大な費用がかかるから、食料は現地で調達すべきだとも言っている。


 だからといって敵地とはいえ略奪を行えばその後の統治に大きな支障が出る。


 ならば戦国時代の羽柴秀吉のように金にあかせて予め食料を買っておけばいい。


 そして買った食料を袁紹が強奪したら商人に恨みを買うだろうが、商人の横のつながりは侮れんからな。

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