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第113話 宦官の出世に制限をかけようか

 さて、董白の笄礼は無事終わり、今後は後宮でさまざまな教育を受けることになるだろう。


 後1年か2年先になるだろう天子の元服が行われるまでには、それも終わってまずは貴人として天子のそばに仕えることになるだろう。


 董白を後宮に入れることで天子に対して民を見たうえでの政治を行わせるように誘導しながら、それとともに史実の曹丕に習っていろいろ変えていこうと思う。


 まずは後漢の権威喪失の根本の原因である宦官に対しての対処だ。


 俺は曹操・賈詡・荀彧・蔡邕・劉表・張昭・張紘・皇甫堅寿・陳宮・徐庶・張邈・王允・楊彪・郭嘉などを集めて彼等に言う。


「さていくつか大事なことを決めていきたい。

 まずは宦官には中常侍の地位に就かせないことを定める。

 また宦官を天子や皇后などの身辺の世話係にさせないことも定める。

 これらはすべて宮女が行うものとする」


 結局天子や皇后の身の回りを世話するのは宦官なんだが、それによって天子や皇后などの不安につけ込んでやりたい放題したのが問題であったわけだ。


 実際三国志で問題とされる十常侍の役職は中常侍だが、彼等は常に皇帝の傍に侍り、命令や総上文の取次や皇帝に直接進言を行うことができた。


 また、禁中への立ち入りや宿衛が厳しく規制されていた、皇帝の質問に備え、身辺に侍する役職である侍中と異なり、宦官である中常侍は常に自由に出入りする事ができたことから大きな力を得るに至ったわけだ。


 もっとも後漢において政治権力を振るうことが可能であった宦官は現職の中常侍だけではあったのだが。


 蔡邕は大きくうなずく。


「そうですな、宦官が天子や皇太后などに取り入って政治を壟断したのが現状に至った最大の原因でありましょう」


「また、天子を通さずに皇太后へ直接の上奏を禁止とする」


 現状では皇太后はいないがな。


 王允がうなずいて言う。


「うむ、それも大事でありましょう」


「また私刑や仇討ちを禁止し、大逆罪以外の密告も禁止とする。

 土地の揉め事などはすべて県や郡などへの訴えをもって解決することとする」


 曹操がこれにはうなずいた。


「それも必要でありましょうな」


 後漢にも裁判制度は一応ちゃんとあって刑事と民事の双方はちゃんと司法機関で裁かれるようになっているのだが、何しろ荒廃のひどい時代ではそれがまともに機能していたとは言い難く、密告によって冤罪で殺された無辜の民もかなりも数に上っているようだ。


 ただ曹丕が制定した九品中正法は官位による上下の序列がわかりやすくなったのとともに、結局は上位の官位には力のない寒門からはつくことは出来ず、力のある勢族から下位の官位にはつく者はいないと言う不公平を招き、曹丕が兄弟の権力を削ぐことに腐心している間に、司馬懿は自分の息のかかった人物を権力中枢に登用する手段として用い、結果として魏は晋に対して禅定する事になった。


 もっとも晋の司馬炎は中国を統一したもののその後は女色にふけり、皇族を各地の王に封じた上でそれぞれに軍権を与えたことでそれが皇族間の争いを誘発することとなり、異民族を巻き込んだ八王の乱の遠因となり最終的に晋は滅亡し五胡十六国の戦乱の時代へとまた突入していくことになる。


 それを考えるとなかなか難しいものだがやはり中道というものが大事なのだろう。


 秦は完全な中央集権制だったが、その制度をある程度引き継いだとはいえ、後漢は名目は天子を頂点とする中央集権制だったが、事実上は有力豪族に頼る封建制だったわけだしな。

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