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第112話 孫の董白が成人したので後宮に入れたよ

 さて、孫の董白もそろそろ成人を迎える。


 15歳の誕生日に髪結いの儀式であり、家長や世話役となるものが女児の髪をまとめ上げ、笄を髪にさす笄礼(けいれい)を行って成人とするのだ。


 それまでは三つ編みなどで垂らしていた髪型を結い上げてまとめることで大人の仲間入りして、他家への嫁入りが許される。


 周代以降は特に貴族の女子は婚約後から結婚までの間に笄礼を行うとされ、一般には15歳で行われたが、他家との婚約が成立しない場合は最終的には20歳で行われる。


「うむ、そろそろ、お前も大人の仲間入りか」


「はい、お祖父様、どうかよろしくおねがいしますね」


 そして成人と言うのは男は仕事ができる年齢、女は結婚がして出産ができる年齢と考えられているわけで当然、婿探しをしなければならない。


 なお後漢における名家の男児の成人は20歳で誕生日に礼儀作法に関してのテストでもある元服式で冠を被りそこから出仕して官庁で働き始める。


 例外は周の王室や諸侯の時代から王室や皇室では12歳の2月に加冠元服を行い、そこから自ら政務をとることになっている。


 実際には11才から17才の間くらいで一定してはいなかったりするが。


 一般庶民の男性の成人や結婚はやはり15才くらいで行われていたようだが、戸籍上で租税・徭役の対象となる成年男子の年齢は23歳からとされていたりもする。


 羌族のように漢民族ではない異言語異民族の場合は成人年齢や成人になるための通過儀礼はまた違ったりもするし、成人年齢は現代ほど厳密なものではなかったようだ。


 そして董白の結婚相手なのだが……まあ政治的に考えるならば天子の後宮に入り皇后となってもらうのが一番良いのではあるのだが……権力に関わると考え方も不純になってくるよな。


 もっとも婚姻を結ぶにあたって家の格のようなものは考慮しなければならないが、嫁本人の意志自体はそこまで考慮されないのではあるがな。


「白、お前が絶対イヤだというのであれば無理強いはしない。

 だがお前には天子の後宮に入り中から天子の思想を変えてほしいと思う」


「後宮の中からですか?」


 俺は大きくうなずき言った。


「ああ、天子は宮殿の中から外にでず、側仕えの言葉だけを聞いて指示を出すこともあるし、指示がそもそも天子の言葉であったか怪しい部分もあった。

 そして霊帝の治世の銅臭政治で民心は王室から離れ、袁術と袁紹の争いで官位をかってに名乗っても朝廷には何もできないというのもわかってしまった。

 漢の権威を復興したいやつもたくさんいるが実際はもう無理だろう。

 だとしても反乱が起きたら鎮圧すればいいと言う考えのままではいつまでも平和にならない。

 だからな、そうではなく民に反乱を起こさせないのが政治というのは大事なのだと天子へ話してほしいんだよ」


「そうすれば争う者は居なくなるのでしょうか?」


「すぐそうはならないかもしれないがな。

 でもそうなっていく可能性は高いと俺は思ってる」


「わかりました、お祖父様、私は後宮に入って天子とお話をいたします。

 それでお祖父様の望む平和な世の中が来るのであれば私も嬉しいですし」


「うむ、ありがとうな」


 そして俺は曹操・賈詡・荀彧・蔡邕・劉表・張昭・張紘・皇甫堅寿・陳宮・徐庶・張邈・王允・楊彪・郭嘉などを集めて彼等に言う。


「この度成人する我が孫娘を天子の後宮へ入れ、後宮より世の中の状況や民の状況を伝えてもらおうと思うのであるがいかがであろうか」


 賈詡はうなずいて言う。


「それは良きことかと。

 天子が奸臣の言葉に惑わされ洛陽の民の様子すら知らぬのがそもそも黄巾の乱のもととなったものでありましょう」


 そこへ王允がいう。


「董卓相国は天子をないがしろにされるおつもりですかな?」


 おれは首を横に振る。


「天子をないがしろにするくらいなら、そもそも洛陽からの脱出を手伝わないで見殺しにしているさ。

 だが霊帝の時代に何が起こったかを考えれば反乱が起こったら鎮圧すればいいという考えでは駄目だと思うぜ」


 とはいえ見殺しにしていれば、劉寵が新たな天子となっていた可能性は高いんで、そうなると俺はかなり政治的に不利になったと思う。


 とはいえ王允は一応納得してくれたようだ。


「なるほど、たしかにそうでございましたな」


「というわけで孫娘の笄礼は盛大に行いたいと思う」


 王允はその言葉にうなずいた。


「うむ、天子のところへ行かれるのでしたら当然ですな」


 ということで、誕生日の笄礼における加笄の儀式を行う際には、最高級の絹の衣服で身を飾り、化粧で顔色を整えて儀式にのぞみ、髪型を三つ編みから編み上げた髪型へ変えて笄を挿す。


「うむ、立派だぞ」


 この後は後宮で様々な儀礼がいつ行われそれに参加する必要があるとかないとかなどの教育を受け、後宮における人との接し方など品得礼儀を叩き込まれることになるのだな。

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