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第108話 袁紹との決戦の準備をしておこうか

 さて俺は益州南部には皇甫嵩を、揚州南部には朱儁をそれぞれ派遣し、問答無用で攻撃してくるものは打倒し、従う意志があるものには役所への登用などを積極的に行わせ、それぞれの場所を安定させるように命じた。


 その際に皇甫嵩には鍾繇・鍾演兄弟や劉備一行を、朱儁には陸儁に加え孫策と周瑜などを同行させ彼等を実地で鍛えて貰いつつ、統治の仕方などを参考にしてもらおうと思ってる。


 後は皇甫嵩や朱儁には現地での人材の拾い上げも許可している。


 このなかでも特に孫策は史実では父である孫堅に似て強引に武力で揚州を制圧したために現地民などの反発も強かったようだしな。


 そのせいもあって荊州や揚州南部の安定的な支配にはかなり時間がかかっていたりする。


 戦いに強いのはこの時代ではとても大事だがあまり反感を買いすぎるのもそれはそれで問題だ。


 皇甫嵩につけた鍾繇・鍾演兄弟であれば統治もうまく補助してくれるだろう。


 劉備にも皇甫嵩や鍾繇などの統治方法をうまく学んでほしいと思う。


 そして俺は恐らく公孫瓚を倒すであろう袁紹との決戦に備えて兵の訓練を怠らないようにしつつ、農地開墾などを進めて富国強兵に務めることにする。


 実のところ俺の支配地域は広いが総人口はそこまで多くない。


 司隸は霊帝の治世では全部で300万人ほどだったが度重なる悪政などにより、河南の人口は100万人から半減し、洛陽は50万人いた人口は10万まで減っている。


 もう一つ袁紹が抑えてる河内が80万人ほどだから合わせて130万ほど。


 で、俺が抑えてる河東は60万人ほど、弘農が20万人ほど、長安を含む京兆が25万人ほどでそのうち長安は15万人、馮翊が14万人で扶風が9万人ほどなので合計して134万ほど。


 面積はともかく人口では袁紹とさほど変わらない。


 その他として袁紹の支配地域になるだろう幽州は200万人ほど、冀州が600万人ほど、兗州が405万人ほどで青州が380万人ほど。


 一方で俺の支配地域は并州が70万人ほど、揚州が350万人ほど、荊州が625万人ほど、益州が724万人ほど、涼州が50万人ほど、交州が120万人ほど。


 袁紹と俺がほぼ半々な徐州が280万人ほど、豫州が620万人ほどだからそれぞれ140万人と310万人ほどになる。


 となると袁紹の要する人口は2165万人ほど、俺は2523万人ほどと総人口では多少勝ってるが、そもそも俺の抑えてる地域は袁紹の押さえるだろう地域の3倍から4倍くらいに広さがあって、なおかつ并州・涼州・揚州・荊州・益州・交州の半分から四分の一ほどは異民族であるだろうことに対して、袁紹のいる中原は幽州を除けばほぼ漢民族ばかりだから実質的に動員できる兵数はむしろこっちの方が少ないかもしれないんだよな。


 そして袁紹との戦いではおそらくお互いに20万程度の大軍での決戦となるだろう。


 抱えられる兵士はお互い50万程度はなんとかなるだろうが、それを全部最前線へ投入するにはいかないからな。


 だとしても20万人の食料補給を行いつつ軍を進め決戦を行うというのは並大抵ではない。


 山賊のように略奪で賄えばいいと考えれば史実の反董卓連合軍、実際には反袁術連合軍のように兵糧不足で自壊して現地民に恨みを買うだけだろう。


 そうなっては今までの苦労も水の泡だ。


「荊州から司隷や豫州に至る道に関しての大車(輸送馬車)が確実に運用できるような整備と食料などを備蓄できる建物の建設も進めておくべきか。

 可能ならば農業用水の確保もできるようにしつつ運河を整備したいところではあるが……」


 賈詡が俺の言葉にうなずいて言う。


「道の整備と同時に進めるとなると民の負担も大きくなりますな。

 もっとも水を引くことで商業農業ともにより豊かになるとなればやる価値はあると思いますが」


「うむ、賦役に対して日当や食料の支給を行わせよう。

 司隷では生活できぬと逃げてきたものに対しても職は必要であるからな」


「ふむ、労役における食費などは自己負担が普通ですが……そうした方が人を増やせるかもしれませぬな」


「値方を課してくれる人の数の多さそのものこそが結局は最強の力だ。

 なればそこに必要なだけ銭や食料をつぎ込んでも元が取れれば良い」


「かしこまりました、ではそのように触れを出しておきましょう」


 今後は後方の補給部隊による兵站を計画的に運用して行かねば勝てないだろう。


 今のうちにその基礎を築いておかねばな。


 まあ、山羊や羊などを連れて歩き乳が飲めればそれを飲み、いざとなればさばいて食べるというのもありだとは思うが。

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