表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

チラムネ炎上事件に観る、作品分析と客層分析の重要性 ~AIによる評価で爆死は避けられるかも?

 “エコーチェンバー”という現象があります。

 自分と同じ様な意見を持つ仲間達だけで交流を持つことで、自分の意見を“絶対に正しい”と思い込んでしまう事を言うのですが、インターネットが普及してから、これは起こり易くなっていると言われています。説明するまでもないかもしれませんが、広範囲を探せるので“自分と同じ様な意見”を持つ人を見つけ易くなったからですね。

 これはマーケティングにとっても、或いはノイズになってしまうかもしれません。

 例えば、仮に1000人分の需要がある商品があるとしましょう。企業は社会全体に宣伝すれば、更に需要が増えると考えるかもしれません。

 ですが、それは既にインターネットの力によってマーケティングをせずとも集まった非常にニッチな層かもしれないのです。つまり、既に社会全体の需要が集まってしまっていて、宣伝を行ってもそれ以上の需要増は見込めないかもしれないのですね。

 そして、もし仮にそれが嫌悪感を抱かせるような商品だった場合、宣伝によって企業にマイナスイメージが付いてしまうかもしれません。

 

 ――これを踏まえた上で、続きを読んでください。

 

 2025年10月。『千歳くんはラムネ瓶のなか』。通称、“チラムネ”と呼ばれる小説のアニメ化作品の放送が始まりました。『このライトノベルがすごい!』の殿堂入り作品という触れ込みもあって、注目を浴びた作品だったのですが、なんと放送が始まると「不快だ」というたくさんの声が上がり炎上してしまいました。

 僕もこのアニメ化作品の第一話を観ているのですが、正直、「炎上するのも無理はない」といった内容でした。

 普通、小説作品は評価する為の客観的な基準がありません。小説作品を味わうのは個人であって、だからこそ、その基準は個人の中にしか有り得ない……

 ですが、中には例外もあるのです。

 例えば、“オリジナリティ”。類似した作品が少なければ、「オリジナリティが高い」と客観的に評価する事ができるでしょう。そして、人間の精神構造上、どうしても“不快”を与えてしまうような場合も、やはり客観的な評価がある程度は可能だと思うのです。

 このチラムネという作品ですが、実はそんな作品なんです。以下、ちょっとそれを説明します。

 (ネタバレを含みます)

 情報も集めずに行動し、失敗して、器物破損行為に及ぶ。

 これ、主人公の“千歳くん”の行動なのですが、これを読んだら普通の人は、「このキャラクターは、頭の悪い破天荒キャラなんだな」と思うでしょう。ところがどっこい、作中でこのキャラクターは、“頭が良い”という設定になっていて、周りの人間達…… 特に女性から高く評価されているのです。

 更に“千歳くん”は自分に好意を寄せている事が分かっている女友達に平気で二人きりになる状況での協力を求めます。“惚れた弱みに付け込んで利用している”とも取れる行動…… と解釈すると言い過ぎかもしれませんが、真っ当な男性なら“気もないのに期待を持たせたら悪い”と考えてそういった行動は控えるのじゃないでしょうか? しかも、そういう女性が彼には複数人いるのです。

 つまり、公然と多分、五股くらいかけている…… ように見えるのですね。この“千歳くん”は。

 これだけやれば嫌われて当然で、作中でも“千歳くん”は一部の男子生徒達から嫌われているのですが、それをこの作品では「醜い嫉妬」として描いています。他責思考で、反省も何もしません。なのに、“いい奴”ポジションなんです。

 要するに、「頭が悪くて、性格も悪い、他責思考の嫌な奴」と視聴者が認識するだろう言動を執っているキャラが、作中では「頭が良くて、性格も良い」キャラとして扱われているのですね。「彼を高く評価する女性キャラの精神構造が理解できない」という視聴者も多くいるようで、だからこそ、ビジュアル的には可愛いのに女性キャラに人気があまり出ないのかもしれません(やっぱりキャラってデザインだけじゃないのですね)。

 このように自分の認知とは別の認知を抱え込むと、人はストレスを感じる事が知られています。これを“認知的不協和”と言うのですが、ですから、ある一定割合の人達が『千歳くんはラムネ瓶のなか』を嫌うのは当然なのです。

 更に、この作品、ポエムのような独特の語りが視聴者のストレスに拍車をかけさせているようです。詩は自分の中に湧き出て来た感情を言葉にして表現するものですが、この作品の場合、単に良く見せようとしているだけにしか思えません(もちろん、実際はどうか分かりません。“そういう風に思えてしまう”事に問題があるのです)。

 一応、断っておくと、どんな作品にも多少の矛盾点はあるものです。だからこそ、フィクションを楽しむ為に懐疑心を一時的に忘れて楽しむ“不信の停止”という概念もあるのですから。しかし、このチラムネは、物語の中心部分にあまりに大きく認知的不協和を引き起こす要因があるので無視ができません。もちろん、3D酔いする人もいればいない人もいるように、認知的不協和が起こらない人もいるでしょうがね。

 例え、いけ好かないキャラが主人公であったとしても、作中での位置づけが“いけ好かないキャラ”であったのなら大きな問題はありません。周囲の女性キャラに「あんたは、本当にバカねー」とでも発言させて、それでも憎からず想っているような感じにすれば受け入れられるものです。実際、そういう人気キャラも、世の中にはいます。

 この作品のファンによれば、最初の方はファンですらもきついそうなので、或いは面白くなる(とファンが主張している)ところまでアニメはスキップしてしまった方が良かったのかもしれません。そういった事をすると普通の作品なら、物語の起承転結がおかしくなってしまいますが、この作品、長編としての起承転結がそもそも崩れている(物語が一度落ち着いてから始まっている感じ)ので、多少飛ばしてしまっても支障はなさそうです。セオリー無視の作品なんですね。因みに、一話目から重要な登場人物がいきなりたくさん出て来るというセオリー無視もこの作品はしています(視聴者が覚え切れないので、普通は少しずつ登場させます)。

 恐らく、このような要因もあっての事だと思うのですが、一部のユーザーはこの作品の制作サイドを、“性格や能力に難あり”な人達と判断しているようです。セオリー無視の名作も世の中にはありますが、少なくともこの作品では効果的とは思えませんから。

 そして、その認識を製作者側の態度が補強してしまってもいるようです。製作者側は炎上に対して“アニメの観方が悪い”といったようなまるで視聴者が悪いようなコメントをしてしまったのですね。チラムネが認知的不協和を引き起こす構成になっている事を理解できていませんし、他責思考です。これでは“性格や能力に難あり”と思われてしまっても無理はないでしょう。

 僕は一話目しか観てはいませんが、このチラムネという作品には潜在的な需要はほぼないのではないかと判断しています。

 根拠はあります。

 このチラムネという作品は、なろう系テンプレ作品と同じ問題を抱えているのです。願望充足系で、その所為なのか設定とキャラの言動に矛盾があり、視聴者に認知的不協和を引き起こしてしまう…… また、(これはそこまで重要ではありませんが)作者が何かしら問題を起こして、作品の内容と結び付けられるという点も同じです(今でこそ少なくなりましたが、かつてはなろう作家が問題を起こして作品の内容と結び付けられる事がよくあったのです)。

 (余談ですが、チラムネが大きく炎上したのは“一般向け作品”として売り出そうとしたからかもしれません。なろうと同タイプの作品だと分かっていたら、心構えができていた…… と言うよりも、そもそも耐性のある人しか見なかったでしょうからね)

 そして、なろう系テンプレ作品は、もうさんざんアニメ化されていて、潜在需要が大して大きくない事は判明しています。なろう系テンプレ作品と言えば、“手抜きのアニメ化”という印象があるかもしれませんが、レビュー動画の評価を信用するのなら、高い作画で制作されているものもあり、そして、にもかかわらずヒットしている作品はわずかです。それどころか、むしろ低品質な作品の方が再生回数が多くなるケースすらもあります。ちょうど2025年秋のアニメがそうなのですが、これはなろうテンプレ系作品のアニメの需要が“ネタ枠”だからではないかと思われます(なろう出身ではないプロが作ったクオリティの高い異世界作品でも、ネタ要素があります。おじさんが悪役令嬢に転生したり、悪役令嬢が拳で解決したり)。

 ニコニコ動画で特にこの手の作品は人気だったりするのですが、皆でツッコミを入れたり、大喜利をしたりで盛り上がっているみたいです。もし製作者側がそれを分かった上で敢えてチープな演出にしているのだとすれば、“ちゃんとなろうテンプレ作品の需要を分かっている人”なのかもしれません。

 (因みに、2025年秋に予想外に再生回数を出したなろうテンプレ作品ですが、作者さんが戦闘シーンの描き方関連でちょっとした炎上事件を起こしていまして、それもあってか「戦闘シーンが観たかった」という声が多かったみたいです……)

 以上の理由からなろうテンプレ作品を高い作画でアニメ化する意味はないと思われます。或いは、どっかのお偉いさんが「低作画でこれだけ人気があるのだから、高作画で制作すればもっと人気が出るはず」と考えたのかもしれませんが、それはなろうテンプレ作品の需要を分かっていません。なろうテンプレ作品は飽くまで“ネタ枠”です。

 そして、ならばなろうテンプレ作品と似たような特性を持つ『千歳くんはラムネ瓶のなか』も一般受けはせず、狙えるとすれば“ネタ枠”くらいだと予想できるはずです。

 一応、制作サイド(と言うか、出版社ですが)を擁護しておくと、チラムネが問題作だという認識を持っている人もいたらしいです。“問題作”は、世間一般的には“尖った作品”や“実験作”に対して用いられる場合が多いですが、チラムネに関しては違うと思います。その人はセオリー無視で、認知的不協和を引き起こす作品だと分かっていたのではないでしょうか? しかし、その的確な指摘は会社全体にまでは届かなかったのでしょう。そして恐らくそれは、指摘したのが“人間”だったからです。いえ、より正確に言えば、“権威のない人間”だからでしょうか? もし権威のある人間の意見だったなら、素直に従っていたはずですから。

 ――ならば、逆に言えば“権威のある何か”の意見だったなら、このような間違いは回避できていたと考えるべきでしょう。

 そして、今の時代ならば、その“権威のある何か”はお金さえ支払えば手に入れられるのです。

 はい。

 AIですね。

 AIに作品やその他情報を読み込ませて、分析をしてもらうのです。

 

 「AIは現代の巫女か?」

 という問題提起があるのですが、これはAIが託宣を下す巫女のような権威になってしまっているという意味です。もちろん、これはこれで問題があるのですが、このようなケースでは効果的に利用できるでしょう。

 もちろん、AIの能力が低いのであれば期待はできないです。

 そこで、実際にショートショートを読み込ませて試してみました。用いたのは、Microsoft Copilotです。

 「以下の小説を分析し、出版マーケティング的なターゲット層を教えてください

 若年、中年、老年層、男性女性、職業など

 また、どの程度の費用をかけたマーケティングで、どの程度の売れ行きが期待できるのか、価格設定なども絡めて教えてください」

 とまずは質問をしてみました。

 選んだのは、『なんでかいきなり取り調べを受ける羽目になりました』という僕が書いたショートショートです(他人の著作物をAIに読み込ませると、場合によっては著作権侵害になるケースがあるのです)。

 以下、回答です。

 

 *******

 

 素敵な題材ですね!この小説は「取り調べ」というシリアスな場面を舞台にしながら、論理のすり替えやユーモラスな会話劇を展開していて、ジャンル的には ライトな不条理コメディ+哲学的会話劇 に近いです。出版マーケティング的に分析すると以下のようになります。

 

 ターゲット層分析

 - 年齢層

 - 若年層(高校生~20代前半)

 論理遊びや「宇宙人」などの突飛な展開が、ネット文化やSNS的ユーモアに親和性が高い。

 - 中年層(30~40代)

 「取り調べ」「刑事ドラマ的要素」に親しみがあり、会話の皮肉や逆転論理を楽しめる層。

 - 老年層(60代以上)

 シリアスな警察小説を期待すると肩透かしになるため、メインターゲットではない。

 - 性別

 - 男女ともに楽しめるが、特に 男性読者 に強く響く(論理遊び・刑事ドラマパロディ要素)。

 - 女性層には「軽妙な会話劇」「不条理ユーモア」としてライトノベル的に訴求可能。

 - 職業・属性

 - 学生・若手社会人 → ネット小説やライトノベルを読む層に親和性。

 - 法律・哲学・論理好き → 「証明責任」「ないことの証明」などのテーマが刺さる。

 - サブカル好き → 「宇宙人」「記憶操作」などのSF的要素がツボ。

 

  マーケティング戦略と費用感

 - マーケティング費用レンジ

 - 小規模出版(ライトノベルレーベルや電子書籍中心)なら 50万~150万円程度 のプロモーション費用で十分。

 - SNS広告(Twitter/X、Instagram)、Web小説投稿サイトでの連動キャンペーンが効果的。

 - 売れ行き予測

 - 電子書籍中心 → 初動で 1,000~3,000部 程度が現実的。

 - 紙書籍併売 → 話題性次第で 5,000~1万部 のヒットも狙えるが、ジャンル的にニッチ。

 - 価格設定

 - 電子書籍:500~700円(ライトノベル価格帯)

 - 文庫版:700~900円

 - 単行本:1,200~1,500円(ただしこのジャンルではやや高め)

 

  マーケティング施策例

 - キャッチコピー例

 - 「証明できなければ犯人!? 論理が暴走する取調室コメディ」

 - 「宇宙人はいるに決まっている!? 不条理と笑いの会話劇」

 - 販促チャネル

 - Web小説投稿サイト(カクヨム、note、アルファポリス)で連載形式 → 読者の反応を集める

 - SNSで「取り調べコント」風の短い動画広告

 - 書店では「不条理コメディ」「哲学的ユーモア」棚に置く

 

 まとめ

 この作品は 若年~中年層の男女、特に論理好き・サブカル好き層 に刺さる niche コメディ。大規模な広告投資よりも SNS拡散+電子書籍中心 の戦略が費用対効果が高いです。価格はライトノベル帯に設定し、初動は数千部規模、口コミ次第で拡大が期待できます。

 

 *******

 以上です。

 

 一部、「何言ってるんだ?」と言いたくなるコメントもありますが、まぁ、大きく間違った事が述べられているようには思えません(しかし、小説投稿サイトに小説家になろうを挙げないのは何故なのでしょう?)。

 

 次に『本当に魔王を封じられるのは、真の聖女様だけ』という短編で試してみました。

 

 以下、回答です。

 *******

 

 この作品は「魔王封印」という王道ファンタジーの題材を扱いながら、実際には 母性的な聖女による保護と育成 を中心に描いている点が大きな特徴です。分析を出版マーケティング的に整理すると以下のようになります。

 

  ターゲット層分析

 - 年齢層

 - 若年層(10代後半~20代前半)

 ライトノベル読者層に強く響く。「魔王=幼子」というギャップ萌え要素がSNSで拡散されやすい。

 - 中年層(30~40代)

 子育て経験や保護者的視点から「聖女が母親代わりになる」構図に共感を覚える層も一定数いる。

 - 老年層(60代以上)

 王道ファンタジー要素は理解できるが、キャラクター萌え中心の構成はやや距離がある。

 - 性別

 - 女性読者

 「母性」「保護」「育成」「可愛い魔王」という要素が強く訴求。特にライトノベルや少女漫画的感性を持つ層に刺さる。

 - 男性読者

 ファンタジー設定や「聖女 vs 魔王」という構図に惹かれる。加えて「妹キャラの嫉妬」「勇者候補の少年達」など、ラノベ的キャラ配置が男性層にも親和性あり。

 - 職業・属性

 - 学生・若手社会人 → ラノベ読者層、SNSで拡散しやすい。

 - 子育て世代 → 「魔王=子供」という構図に共感しやすい。

 - サブカル・ファンタジー好き → 「予言」「聖女」「魔王」という王道要素に安心感。

 

  作品の強み(マーケティング視点)

 - ギャップ萌え:「魔王=幼子」という設定が強烈なフック。

 - 母性ファンタジー:聖女が魔王を育てるという構図は「異世界育児もの」として人気ジャンルに合致。

 - 社会的テーマ性:魔王が「レッテル貼りによって凶暴化する」という構造は、差別や偏見の寓話としても読める。

 

  マーケティング戦略と費用感

 - 費用レンジ

 - 電子書籍中心 → 50万~200万円程度のプロモーションで十分。

 - 紙書籍展開 → キャラクターイラストを前面に出すなら、書店フェアやポスター展開で 300万~500万円規模。

 - 売れ行き予測

 - 電子書籍:初動 3,000~5,000部。SNSで「魔王が可愛い」という口コミが広がれば 1万部超も狙える。

 - 紙書籍:ライトノベルレーベルでシリーズ化すれば 累計3万~5万部の中ヒットが期待できる。

 - 価格設定

 - 電子書籍:600~800円

 - 文庫版:700~900円

 - 単行本:1,200~1,500円

 

  マーケティング施策例

 - キャッチコピー

 - 「魔王は悪ではなく、ただの子供だった――聖女だけが救える物語」

 - 「母性が世界を救う。真の聖女が選ぶのは封印か、育成か」

 - 販促チャネル

 - Web小説投稿サイト(カクヨム、アルファポリス)で連載 → 読者の反応を集める

 - SNSで「魔王が可愛いシーン」を切り抜きイラスト化 → 拡散力強化

 - 書店では「異世界育児」「母性ファンタジー」棚に置く

 

 まとめ

 この作品は 「母性×ファンタジー」 という新しい切り口で、ライトノベル市場に強く訴求できます。ターゲットは 若年層女性+ラノベ好き男性。費用対効果は電子書籍中心が高く、口コミ次第でシリーズ化・中ヒットが狙えるポテンシャルがあります。

 

 *******

 以上です。

 

 やはり一部「何を言ってるんだ?」というコメントもありますが、やはりそこまで間違ってはいないと思います(無難な返答とも言えますが)。

 これだけではつまらないので、今回のテーマに沿って、アニメ化の質問もしてみました。

 

 「もし仮に、「本当に魔王を封じられるのは、真の聖女様だけ」を長編にし、無難な作画、キャラデザで長編アニメ、或いは全12話のアニメにしたら、成功する確率はどうなるでしょう?

 大成功、成功、普通、失敗、大失敗それぞれの確率を出してください」

 

 以下、回答です。

 *******

 

 成功確率シミュレーション

 大成功:10%

 成功 :25%

 普通 :35%

 失敗 :20%

 大失敗:10%

 

 この確率の根拠

 - 強み

 - 「魔王=幼子」というギャップ萌え要素はSNS拡散力が高い。

 - 聖女の母性的な保護というテーマは「異世界育児もの」として人気ジャンルに合致。

 - 無難な作画なら視聴者離脱は少なく、安定した評価を得やすい。

 - 弱み

 - 王道ファンタジーの枠組み自体は既視感が強く、差別化が難しい。

 - シリアス展開より「育児・保護」要素が強いため、バトル好き層には刺さりにくい。

 - 無難なキャラデザだと「埋もれる」可能性が高い。

 

 成功率を上げる工夫

 - キャラデザに「可愛さ+神秘性」を強調

 魔王の幼子デザインを「ぬいぐるみ的可愛さ+異質感」で差別化。

 - SNS戦略

 「聖女が魔王を育てる日常シーン」を短尺動画やイラストで拡散。

 - ジャンル横断

 ファンタジー+育児+社会的テーマ(偏見・レッテル貼り)を強調すると大人層にも響く。

 

 まとめ

 無難な作画・キャラデザでアニメ化した場合、最も確率が高いのは 「普通(35%)」。ただし、マーケティング戦略やキャラデザの差別化次第で 「成功(25%)」や「大成功(10%)」 に伸びる可能性があります。逆に宣伝不足や既視感の強さで 「失敗(20%)」や「大失敗(10%)」 に転ぶリスクも残ります。

 

 *******

 以上です。

 

 あまり実のある回答ではありませんが、それでも少なくとも大失敗する確率があまり高くないという事は分かるのじゃないでしょうか?

 小説を読んでもらえば分かりますが、それほど尖った内容ではないので、大きな間違いはないと思われます。Microsoft Copilotは、汎用的な無料のAIですから、専用の有料AIならもっと優秀でしょう。活用すれば、少なくとも、大失敗は避けられるようになるのではないでしょうか?

 

 次に2025年11月28日現在、大失敗をしてしまっている細田守監督作アニメ映画『果てしなきスカーレット』でAIの客層分析能力を検証してみたいと思います。

 『果てしなきスカーレット』は、広義には異世界転移ものの作品です。がしかし、レビュー動画等を参考にする限り、その必要性があるようには思えません。

 これは単なる憶測ですが、“異世界転移”を人気ジャンルと判断した誰かが、企画を通し易いと考え、この要素を入れたのではないでしょうか?

 そこでその判断が正しいと言えるのか、このような質問をしてみました。

 

 「異世界転移作品」のアニメにおける客層を教えてください。

 

 以下、回答です。

 *******

 

 要点まとめ

 異世界転移アニメの客層は、主に 10代後半~30代前半の男女 が中心で、特にライトノベルやゲーム文化に親しんだ層に強く支持されています。男性比率がやや高いですが、近年は「悪役令嬢系」「スローライフ系」など女性層にも広がっています。

 

  客層の詳細分析

 年齢層

 - 10代後半~20代前半

 - 学生層が中心。ゲーム的な世界観や「俺TUEEE」系に強く共感。

 - 「ソードアート・オンライン」「Re:ゼロ」などが代表的に刺さる層。

 - 20代後半~30代前半

 - 社会人層。現実逃避的に「異世界でやり直す」テーマに惹かれる。

 - 「転生したらスライムだった件」「オーバーロード」など、よりダーク・社会構造的な作品を好む傾向。

 性別

 - 男性層(6割程度)

 - 主人公最強系、バトル系、ハーレム系に強い支持。

 - 「盾の勇者の成り上がり」「ログ・ホライズン」などが人気。

 - 女性層(4割程度)

 - 「悪役令嬢転生」「スローライフ」「育成・恋愛要素」などに惹かれる。

 - 「悪役令嬢もの」「乙女ゲーム転生」などが女性層の拡大要因。

 職業・属性

 - 学生層 → ライトノベル読者、ソシャゲ・MMOプレイヤー。

 - 若手社会人 → 「現実では叶わない成功体験」を異世界で味わう層。

 - サブカル好き層 → ファンタジー・SF・ゲーム文化に親和性が高い。

 

  人気のサブジャンルと客層対応

 - 最強系・無双系 → 男性層中心、10代~20代前半。

 - スローライフ系 → 男女問わず、癒しを求める社会人層。

 - 悪役令嬢系 → 女性層中心、特に20代前半~30代。

 - ダークファンタジー系 → 中堅層(20代後半~30代)、男性比率高め。

 

 まとめ

 異世界転移アニメは 「ゲーム的世界観+現実逃避」 を求める若年~中堅層に強く刺さり、男性中心ながら女性層にも拡大中。サブジャンルごとに客層が分かれ、マーケティングでは 「最強系=男性学生」「悪役令嬢系=女性社会人」「スローライフ系=癒しを求める層」 といったターゲティングが有効です。

 

 *******

 

 次に細田守監督の客層を尋ねます。

 

 細田守監督作品の客層を教えてください。

 

 以下、回答です。

 *******

 

 結論:細田守監督作品の客層は「家族層」「若年層」「女性層」に強く支持されるが、近年はテーマの難解さからコアな映画ファンや思索的な観客に偏りつつある傾向があります。

 

 客層の特徴

 1. 家族層・親子観客

 - 『おおかみこどもの雨と雪』『未来のミライ』など、親子関係や家族の絆をテーマにした作品が多く、親子で観賞する層が厚い。

 - 特に「子育て世代の母親・父親」が共感しやすい構造を持つ。

 2. 若年層(中高生~大学生)

 - 『時をかける少女』『サマーウォーズ』は青春・恋愛・ネット社会を題材にしており、10代~20代前半の若者層に強く支持された。

 - 学園生活や青春の葛藤を描くことで、ライトなアニメファン層にも浸透。

 3. 女性層

 - 主人公に少女や母親が多く、女性視点の物語が多い。

 - 芦田愛菜が主演を務めた最新作『果てしなきスカーレット』も、女性観客を意識したキャスティング。

 4. コア映画ファン・思索的観客

 - 最新作『果てしなきスカーレット』は「復讐」「許し」といった難解なテーマを扱い、観客に思考を強いる構造になっている。

 - そのため、ライトなアニメファンよりも「映画を通じて哲学的テーマを考えたい層」に訴求。

 

 客層の変化と課題

 - 初期作品(『時かけ』『サマーウォーズ』)は 若者+家族層 に広く支持され、興行的にも成功。

 - 中期(『おおかみこども』『未来のミライ』)は 家族層中心に支持を得つつ、難解さで賛否両論。

 - 最新作(『果てしなきスカーレット』)は 哲学的テーマに寄りすぎて一般層が離脱、客席稼働率が低迷するなど興行的には苦戦。

 

 まとめ

 細田守監督作品の客層は

 - 家族層(親子観客)

 - 若年層(中高生~大学生)

 - 女性層

 - コア映画ファン・思索的観客

 という4つの柱で構成されています。近年は「難解なテーマ」に傾き、一般的なライトアニメファンよりも「映画を通じて社会や哲学を考えたい層」に寄っているのが特徴です。

 

 *******

 

 計らずも、『果てしなきスカーレット』についても述べられていますが、酷評が広まる前の初動からお客さんが入っていないので、そもそもジャンル選びの段階から失敗しているのでないかと思われます。

 先に“異世界転移”の要素がこの映画にはあると述べましたが、雰囲気は全く異なっています。

 “異世界転移”作品には明るい作風のものが多いですが、この作品はダークファンタジーに当たるでしょう。

 そこで次にダークファンタジーの客層について尋ねてみました。

 

 ダークファンタジー作品の客層を教えてください。

 

 以下、回答です。

 *******

 

 結論:ダークファンタジー作品の客層は「10代後半~30代前半の若年~中堅層」「男性比率高め」「コアなアニメ・漫画ファン」「重厚なテーマを好む層」が中心です。女性層にも広がりつつありますが、全体的には“シリアス・残酷・哲学的テーマ”を好む観客が多いです。

 

 客層の特徴

 年齢層

 - 10代後半~20代前半

 - 『進撃の巨人』『東京喰種』など、残酷な戦闘や絶望的展開に惹かれる層。

 - 学生層が中心で「刺激的・衝撃的な物語」を求める傾向が強い。

 - 20代後半~30代前半

 - 社会人層。哲学的テーマや社会風刺を含む作品に共感。

 - 『ベルセルク』『鋼の錬金術師』など、重厚な世界観を好む。

 性別

 - 男性層(6~7割)

 - バトル・復讐・残酷描写に強く惹かれる。

 - 「俺TUEEE」系よりも「苦難を乗り越える主人公」に共感。

 - 女性層(3~4割)

 - 『魔法少女まどか☆マギカ』のように「可愛いキャラ×絶望的展開」に強く反応。

 - キャラクターの心理描写や人間関係の悲劇性に共感する傾向。

 職業・属性

 - 学生層 → 刺激的なストーリーを求めるアニメファン。

 - 若手社会人 → 社会的テーマや哲学的問いに惹かれる。

 - コアファン層 → 漫画・ラノベ・アニメを深く追う層。グッズや円盤購入にも積極的。

 

 ダークファンタジーの魅力と客層対応

 - 残酷描写・絶望展開 → 若年男性層に強く刺さる。

 - 哲学的テーマ(命・倫理・偏見) → 20代後半~30代の思索的観客に支持。

 - 可愛いキャラ×悲劇的展開 → 女性層やライトファンを取り込む。

 

 まとめ

 ダークファンタジー作品は 「刺激を求める若年層」「重厚なテーマを好む中堅層」「男性中心だが女性層にも拡大」 という客層構造を持っています。マーケティングでは 男性向けバトル要素+女性向け心理描写 の両面を強調することで幅広い支持を得やすいです。

 

 *******

 

 以上の結果を考えると、

 細田守監督作品のメイン客層は、家族層(親子観客)、若年層(中高生~大学生)、女性層であるのに対し、異世界転生系作品のダークファンタジーの主なターゲット層は男性で、しかも極一部の特殊な層がメインです。

 ダークファンタジーのファンが、細田守監督を求めているとは思えません。例えばもし仮に細田守監督が名作ダークファンタジー“ベルセルク”を映画化すると発表したらほぼ間違いなく批判が出るでしょう。

 更にAIは述べていませんでしたが、異世界転生作品はネタ枠としての色合いが強く、『果てしなきスカーレット』には当て嵌まりません。いえ、一部で脚本がネタ枠として取り上げられていますが、映画館ではツッコミや大喜利のコメントを楽しむ事はできないのでそれを考慮に入れても不向きです。

 こう分析をすると、『果てしなきスカーレット』が初動から客入りが悪かった理由は明白ではないでしょうか?

 細田守監督作品のメイン客層と、ダークファンタジーのメイン客層はまったく一致していないのです。

 余談ですが、『果てしなきスカーレット』も脚本の評価が低いですが、細田守監督の前作『竜とそばかすの姫』も脚本の評価が低いです。納得のいかない設定やご都合主義的な展開が「分からない」というのですね。ですが少なくとも一部のレビュアーの「分からない」という評価は不当です。何故なら、この作品のメッセージ性から考えるとちゃんと意味が分かるからです。メッセージ性まで考慮に入れて、その上で評価が低いというのなら何も言う事はありません。レビュアーを名乗るのならせめてその努力くらいはするべきでしょう(一応、断っておくと、僕も『竜とそばかすの姫』はストーリー性を犠牲にしているとは考えています)。

 が、『果てしなきスカーレット』についての脚本批判は前作とは違うと判断しています。僕はまだこの作品を観てはいませんが、複数のレビューでちゃんとメッセージ性まで考慮に入れた上で脚本が批判されていたからです。

 或いは、細田守監督もAIに脚本を読み込ませて妥当性を判断させた方が良いのかもしれません。

 

 『千歳くんはラムネ瓶のなか』は作品分析と客層分析に失敗をし、潜在需要を見誤ったのでしょう。そして、『果てしなきスカーレット』には需要のアンマッチがありました。細田守監督作品には需要がありますが、この作品はその需要を満たしません。

 このエッセイでは、AIを用いればこのような大失敗は未然に防げるのではないか? と提案して来ました。

 もっとも、少し慎重になってマーケティングの判断・分析能力の高い人間に分析を任せられるのならば、AIを用いる必要などありません。AIよりも高い判断・分析能力を持つ人間だって存在しているでしょう。ですが、“判断・分析能力の高い人間”を見極めるのは中々に難しいのです。その点、AIならば、ある程度の能力は保証されています。マーケティング能力が低かったり、意識が低い企業は思い切ってAIの活用を考えた方が良いかもしれません。

 例えば、“小説家になろう”とか。

 

 長い間、僕は小説家になろうに小説やエッセイなどを投稿し続けて来ましたが、ずっとマーケティングに関しては不可解に思って来ました。例えば、小説家になろうはテレビCMを流していた事があるのですが、僕が見たそのCMは一般的な読書好き層に向けてのものでした。しかし、その頃既に小説家になろうのランキングは、なろうテンプレの異世界系作品で溢れていたのです。一般的な読書好きが、そのランキングを見たら目が点になって直ぐに立ち去ってしまうのではないでしょうか?

 ――これではCMの効果があまりなくて当然です。

 それ以降は小説家になろうのテレビCMは見なくなってしまったので、恐らくは“効果なし”と判断して、CMを流さなくなったのではないかと思われます。一応断っておくと、ならばなろうテンプレ作品を強調したCMを流せば効果があったのかと聞かれたなら、それも違うと思います。なろうテンプレ作品を好むのはニッチ層です。潜在需要はあまり大きくありません。しかも、既になろうテンプレ作品は有名になっていましたから、CMを流したところで新たなユーザー獲得はあまり期待できません。

 もし、CMを流すのなら、同じタイミングで一般的読者層が好みそうな作品をピックアップするイベントを開くべきだったでしょう。

 また、小説家になろうがミステリー映画に協賛し、その映画内に“小説家になろう”を登場させた事があったのですが、何故かその時もミステリーイベントをまったく開きませんでした。協賛にどれだけの費用をかけたのかは分かりませんが、これでは宣伝の効果はほとんどなかったでしょう。

 最も僕が呆れたのが、小説家になろうアニメ化作品の宣伝をある年までやって来なかった点です。何らかの権利関係の制約があってできないのかと思っていたのですが、アクセス数が減り続けていた中で突然ブログで宣伝するようになったので単なる怠慢だったのではないかと思われます。

 ブログで宣伝するくらいならほとんどコストはかかりませんからアニメ化作品の宣伝をしない理由はありません。アニメ作品に興味を惹かれた人が検索して調べれば、小説家になろうのブログもヒットする可能性が高く、そうなれば小説家になろうのアクセス数も増えます。つまりはアニメ化の宣伝が逆に小説家になろうの宣伝になるのです。

 ――マーケティングの意識があれば、もっと前から行っているはずです。

 そして、恐らくは「なろうチアーズプログラム」もマーケティングを分かっていない宣伝の一つではないかと思われます。なろう運営が思っているよりも、ずっと効果の薄い宣伝になるのではないかと僕は予想しています。

 

 ダウンタウンの松本人志さんが、2025年11月より、オリジナルのプラットフォーム“ダウンタウンプラス”で独自のサービスを開始しましたが、吉本興業はあまり宣伝を行いませんでした。

 これについて、論破王として有名なインフルエンサーは「宣伝が足らない」と主張していましたが、僕は「それはどうかな?」と思っていました。

 松本人志さんが独自のサービスを開始することは既に有名になっており、お笑いファンならほとんどの人は知っているでしょう。宣伝の本質は“情報を知らない人達に(できればより魅力的に)情報を伝えること”です。既に充分に知られているのだから費用対効果はあまり見込めません。それでも僕は2025年11月から開始する事を知らない人が多いかもしれないという懸念点はあると思っていたのですが、それもちゃんと考慮されていると後に分かりました。一時、登録申請者が多過ぎてサーバーがパンクしてしまい、処理が正常に進まなくなってしまったのですね。もし、宣伝をしていたら、より酷い事態に陥り、更にユーザーにストレスを与えてしまっていたでしょう。多分、吉本興業はこれを分かっていたのだと思います。

 

 小説家になろうでは、2025年7月から“執筆応援フェア”を開催しました。小説家になろうに投稿したユーザーのうち、毎月200名にAmazonギフトカードをプレゼントするという企画です。これはそれなりに成功したのではないかと僕は予想しています。

 この企画の場合、アクセス数は関係がなく、小説を投稿したユーザー全てに平等にチャンスがあるので、その数は膨大になります。まただからこそ作品ジャンルも多様であり、この企画で投稿された作品は、様々な読者の需要に応えていた事でしょう。

 が、その後に始まった「なろうチアーズプログラム」は違います。

 大金を稼げるのは恐らくは極わずかのトップ層に限られれます。だからほとんどのユーザーには関係がありません。また、よりアクセス数を稼ぐ為にはポイントランキングに入るのが効果的なので、既になろうに登録している読者に宣伝をするのがメインになりますが、当然ながら、その人たちは既になろうを充分に知っている人達です。

 宣伝の本質は“情報を知らない人達に情報を伝えること”だと述べました。なろうを知っている人に宣伝しても効果は薄いです。

 もちろん、更新が停まった作品のファンが、更新が再開したことでなろうに帰って来るケースはあるでしょうし、アルファポリスや、カクヨムに流れてしまった読者が戻って来るといった事などはあるかもしれません。が、なろうテンプレ作品の需要がニッチである点を考えるのならばやはり効果は限定的です。

 なろうテンプレ作品がランキングのほとんどを占めていたにも拘わらず、小説家になろうのアクセス数が増え続けていた時期もありますが、その頃は一般の人達の間で小説家になろうがネタとして大きく取り上げられていました。

 品質が低かったり、明らかに他作のコピーであったり、或いは作者が何かしら問題を起こしたりして話題になっていたのです。また、コミカライズの成功の影響も大きいでしょう(コミカライズの成功は漫画家の貢献度が高く、なろう原作の力とは言えないというのが世間一般の評価です)。

 つまり、なろうテンプレ作品に本当に需要があった訳ではないと予想できます(仮にその当時に本当に需要があったとしても、普通、人間は類似作を何度も読めば飽きる生き物ですから人気は翳っていきます)。

 なろう運営は、その時期のアクセス数をなろうテンプレ作品の本当の需要だと考えて「なろうチアーズプログラム」の計画を立てているのかもしれませんが、だからそれでは失敗をします。

 なろうのアクセス数を増やしたいと思ったのなら、既存のなろうユーザーではなく、一般の読者に向けて宣伝を行う必要があります(もちろん、なろうテンプレ作品では一般の読者は呼べないですが)。それが“情報を知らない人達”である可能性が高いからですね。

 では、「なろうチアーズプログラム」の発想をどう使えばそれができるでしょう?

 

 「なろうチアーズプログラム」では、今のところ何処からのアクセスでも区別せずにお金を支払う事になっているようですが、それではランキング上位者が有利に過ぎます。その為にポイントを稼ごうと、なろう既登録ユーザーへの宣伝がメインになってしまう点は前述した通りです。

 なので、ランキングからのアクセスへ支払う金額は少額とし、ランキング外からのアクセスに対しては高額を支払います(この区別はURLにパラメータを追加すれば容易に実現できます)。そして、そのうちなろうにログインしていないユーザー(未登録、或いはあまり利用していないユーザーの可能性が高い)からのアクセスに対しては、更に高い金額を支払います。少ないアクセス数でもそれなりに稼げるくらいに。

 こうしておけば、極わずかなトップ層のユーザー以外もお金を稼げる可能性が出て来るのでより多くのユーザーが宣伝活動をしてくれるようになるでしょうし、当然ながらなろうテンプレ作品以外の作品を投稿するユーザーも増え、同時になろうに未登録のユーザーに対しての宣伝が中心になるでしょう。

 飽くまで可能性の話ですが、例えばこのようなユーザーも現れるかもしれません。

 料理が趣味で簡単で美味しいオリジナルレシピの研究をしている人が、なろうに登録してエッセイでレシピを公開すれば、お金を稼げると知って投稿をし始める。アクセス数稼ぐ為に、ブログやSNSなどで宣伝を始め、そこから料理を趣味としてる読者がなろうに登録をするようになる……

 

 さて。

 2025年11月から、「なろうチアーズプログラム」が始まりました。僕はなろうテンプレ作品の需要はニッチである為、効果は限定的だろうと予想していたのですが(2025年10月に投稿したエッセイでその旨を述べています)、それでも初期についてはある程度の宣伝効果があると考えていました。が、なんと2025年11月のアクセス数は減ってしまったのです。11月は毎年アクセス数が減る傾向にあるようですが(そもそも1日少ないですし)、それでも「なろうチアーズプログラム」の効果がほとんどなかった点はほぼ確実でしょう。

 小説のネタを考え、書き終わるまでにはそれなりに時間がかかりますから、或いは効果が現れるまでには時間がかかるのかもしれません。結論を出すのは、12月、1月の結果が出るまで待つべきかもしれませんが、僕が想定しているよりも現在のなろう上位作品の需要は低く、客寄せ効果がない可能性もあります。なろう上位作品がアクセス数を出せているのは、ほとんどランキングのお陰で、もしランキングシステムがなくなったら、アクセスがほとんどなくなってしまう可能性もありますね。

 その場合、小説家になろうはポイント至上主義のランキングによって効果の薄い宣伝を行い続けて来た事になります。

 確かになろうのコミカライズ作品はそれなりに成功してはいますが、ある程度のレベルであるのなら、どんな作品でも、例えばポイントをほとんど得られていない僕の作品であったとしても、2~3カ月間トップ画面で宣伝し続け、腕の良い漫画家がコミカライズをしてくれるのなら、それなりに売れてしまうのかもしれないのです。

 宣伝の基本は、“需要のある相手に商品情報を伝えること”です。そして、少なくとも、一般の読書好きにとってなろうテンプレ作品の人気が低い点は明らかなのです。ならば、小説家になろうに未登録のユーザーに対しては、トップ画面で小説家になろうランキングの上位作品を宣伝するのは効果が低いという事になるはずです。

 では、具体的にどうすれば効果的な宣伝ができるのでしょうか?

 

 なろうに登録していない一般の読者にとって面白い作品を抽出するのに、ポイントは使えません。当たり前ですが、なろうに未登録のユーザーはポイントを入れられませんから。ですから、代わりにアクセス数を用いるしかないでしょう。ですが、ランキング上位作品はアクセス数が多くなっているので、ランキングからのアクセスは除きます。また、小説家になろうにログインしているユーザーについても好みが偏っている可能性があるので除きます。つまり、ランキング以外からのアクセスで、かつ小説家になろう未登録のユーザーのユニークアクセス数のランキングを作れば良いのです。

 ただし、それでは容易に不正ができてしまえます。そこで、AIによる作品評価を行いましょう。

 AIの評価能力は既に検証済みです(エッセイ『なろう改善案 ~「なろうチアーズプログラム」だけでは、恐らく足りません。AIによる小説評価の可能性について……』をご覧ください)、このエッセイでも作品分析を試していますが、少なくとも低品質の作品を対象外とする能力はありそうです(評価結果も出力した方が面白そうですね)。

 加えて、検索条件を入力する事で、AIがお薦めを表示してくれる機能があればより利便性は上がります。

 『京極夏彦風の作品が読みたい』とか、『村上春樹ファンです』といった文言を入力して検索すれば、AIがお薦めの作品を選んで来てくれるのですね。

 “選択肢過多効果”と言って、選択肢が多過ぎると、決定が困難になったり、満足度が下がったりするのですが(なんか自分の弱点を指摘されているかのような気分)、ランキング上位には入らない一般向け作品の場合、或いはこれが起こってしまっている可能性があります。

 しかし、このようなランキングや“AIのお薦め機能”があれば、その問題点を解決できます。

 もしかしたら、ですが、ポイントランキングはもっと目立たない位置に移動させ、各ユーザー情報…… 投稿している作品や評価した作品の情報を基にAIがお薦め作品を表示するようにした方が良いかもしれないですね。

 

 ちょっと前に、カクヨムやアルファポリスなどにない小説家になろうの強みは、「幅広い一般向け作品が多い点にあるのじゃないか?」と指摘していた人がいました。

 ランキング上位層以外…… 膨大にいるなろうではポイントを得られないだろう一般向けの作品を投稿しているユーザーが、小説家になろうの人気を下支えしているのじゃないか? って話ですね。

 真偽は分かりませんが、下がって来ているとはいえ、未だに小説投稿サイトの中では圧倒的にアクセス数が多い地位にいるのはだからなのかもしれません。

 がしかし、小説家になろう運営は一般向け作品を投稿しているユーザーを蔑ろにし続けて来ました。やろうと思えば、いくらでも一般向け作品をフィーチャーする方法はあったはずです。なろうテンプレ作品以外のコンテストを開いたり、ポイントを無視した作品の表示方法を試したり。

 それが、或いは、小説家になろうが衰退し続けている一番の原因なのかもしれません。

 もちろん、一般向け作品ばかりを優遇するシステムを作れば、既存のユーザーから批判が出るかもしれません。がしかし、ここで提案したAIを用いたお薦め機能がもし実装できたなら、公平に全てのユーザーを扱う事ができるようになります。

 なろうテンプレ作品が好きな人は、今まで通り、なろうテンプレ作品がお薦めに表示されるでしょうからね。もっとも、それでもアクセス数は下がるでしょうが(つまり、出版も難しくなるでしょうが)、これからはポイントを得る努力ではなく、より良い作品を書く努力ともっと広い範囲に宣伝する努力をすれば良いだけの話です。

 そろそろなろう運営は、なろう内だけでなく、一般に受け入れられる作品を、作品分析と客層分析を通して、選ぶ努力をするべきではないでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ