表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄桜記 2~現~【うつつ】  作者: 綾乃 蕾夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/24

刀隠れ 1

「待って」

 口を開いた私の言葉は、至先輩に一言にさえぎられました。

「話していいの?」

 その一言にはいろいろな重みがあります。


「はい。私もここにいるみんなの役に立ちたいんです。

 鏡子ちゃんだって二宮さんたちだって、せっかく仲良くなれたんですもの。

 お二人のどちらかが白い鬼だって言うなら、それでもいいです。

 もうどちらかに頑張って頂いて、私も一緒にどうにかします!


 ご本人だって、どっちがそうなのかわからないまま何年も過ごしてきているなら、もう人間ですっ」


 むふーっと鼻息荒く語っちゃいました。

「俺らありきなわけね」

 ちょっぴり苦笑い気味の駆先輩に、ちょっと諦め顔っぽい至先輩。

「はい……」

 やっぱりダメですかね。

 ちょっと頑張ったつもりの勇気がしぼみそうです。


「いいんじゃないの?」

 いたずらっ子みたいな駆先輩にため息交じりの声が追いかけてきます。

「まあ、そこに賭けるしかないのかな。

 わざわざ話すってことは、それなりの収穫があったんだろ?」


 もちろんありました。

 大きくうなずいて、息を整えます。


「まず、ご神体ですがこれは存在しました。

 でも鬼呼おにこ神社にあるのはさやだけなんです。

 白木造しらきづくりって言うんですかね、木そのままの装飾のないものです。

 記述によると、あの桜の樹の折れた枝から作られたようですが、大正の頃のことで結構最近です」


 狭い理科準備室に集まる面々の視線が私に集中して、緊張に左の手のひらを胸の前でギュッと握りしめます。


「で、ですね。その鞘を見てやっぱりよくないって言うか。ちゃんとしなくちゃって言うか、あの、初めて桜の樹の夢を見た時に巫女さんが言っていたことが、えと」

「落ち着いて」

 しどろもどろになっちゃって、何を言っているのか自分でもわからなくなっちゃいます。

 至先輩の一言に大きく深呼吸をして、震えそうな左手を右手でギュッと支えました。


「目が覚めた時には何だか悲しい気分で、初めて鏡子ちゃんにあったり環境に変化がありすぎて、心の隅っこの方に……わざと追いやって、忘れようとしました。


 わかったんです。歴代の巫女さんが、隠そう(・・・)とした刀の、紅桜のありか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ