あの木の下で 4
途中、私を見つけたことを至先輩に連絡していただけあって、理科準備室には二宮さんを除く関係者全員がすでに集まっていました。
始めて見る方もチラホラ。
「始めて見るヤツは追々説明していくけど、ここにいるのは信用できるヤツだけだから」
私の心の内が顔に出ていたんだと思います。
すぐに至先輩の一言が飛んできました。
だって、おトイレや音楽室あたりで有名そうな感じの方とか、そんなこんなな方たちがぁ。
「夾竹桃のところで倒れた彼女なんだけどね、保健室から消えちゃったんだよ」
「消えた?」
駆先輩の言葉に思わず振り返りました。
「鏡子も気にして見張ってくれていたんだけど、ちょっと目を離した隙にいなくなっていたらしくて」
しょんぼり顔の鏡子ちゃんの頭に、至先輩は優しく手を添えてあげています。
「上履きも置いたまま、教室の荷物もそのまま。
で、声かけられるヤツ等に学校内と、今ニノが外を探してくれている。
どう見ても、夾竹桃が絡んでいる気がしてならないんだ」
細いあごに手を掛けた駆先輩が私に顔を向けてくれました。
「巻き込んじゃって悪いんだけど、声かけられる人間がこのはちゃんくらいしかいなくてさ。
ちょっと手を貸してもらえないかな」
あ。
「巻き込まれただなんて、思っていません。
私もお手伝いさせてください」
「そう言ってもらえると助かるよ」
笑って下さった駆先輩の顔。
紅桜の行方を気にしていました。
どうにかする手段がないと言っていた至先輩。
やっぱり、お二人も鏡子ちゃんやみんなのことを心配しているんですよね。
うん。
「あの、あのですね。
先日ちょっとお話が出た紅桜のことなんですけど、宮司をしている祖母に聞いてみたんです」




