表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄桜記 2~現~【うつつ】  作者: 綾乃 蕾夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/24

紅桜 1

 あまりの衝撃に声も出ないまま、私たちはお互いの顔を合わせて戸惑いです。

「今のは、初めて見たな」

 至先輩の一言に駆先輩が大きく頷きます。


「このはちゃんはわかった? 鬼の意味」

「はい」

 駆先輩に応えた声は、自分でもはっきりと震えていたのが分かるくらいです。

 見た目は20代の男性と何ら変わりない感じでしたけど、そのオーラっていいますか。

「人じゃない気配がものすごかったです」


 え。あれ。

「あの、ああいうのと、戦うんですか。私」

 突き詰めるとそういうこと、ですよね。

 日本刀なんて持ったこと、どころか見たこともないです。


 戸惑とまどいの私に、先輩方は顔を見合わせています。


「それに関してはね、俺達もいろいろ思うところがあって。

 世に言う『物の怪』と核ミサイルってどっちが強いと思う?」

「核?

 えと、核ミサイル、ですかね」

 突然の駆先輩の一言に思わず答えてはみたものの。

「だよね。

 つまり、昔昔ならいざ知らず、この令和の世の中で科学と鬼は戦えるのかって話なわけよ」


 何だか、なるほどです。


「学校にいるヤツらみたいにのんびり生活している『物の怪』がいる以上、ヤツらの存在を否定はしないけど、そんなに力の強いヤツは返って今の世の中は生きづらいだろうね」

 まるで桜の樹に向かって話しかけているみたいな駆先輩はちょっと寂しそうに見えてきます。


「ともかく、今日は桜の樹が見れてよかった。

 この世でまたそろっちゃった顔ぶれなんだろうな。

 時代錯誤もはなはだしいよ」

 至先輩の瞳も桜の樹を愛おしむように見つめたまま、あの優しい微笑み。


「ところでさ、このはちゃんは知っている?

 紅桜べにざくらの行方」


 駆先輩の一言に、通り過ぎた風が桜の樹が大きく揺らして行きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ