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81歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

 おはぎを食べていたクラリス達であったが、5人で食べていると、流石に食べ終えてしまった。


「あれ?チヨちゃんがいないね。」

「チヨなら旦那様を呼びに行って貰っています。皆さんはゆっくりしてて下さい。」


 クラリスの質問にチヨの母親が答えてくれた。


「あの……チヨちゃんが心配じゃありませんでしたか?」

「心配でしたよ……でも、この辺りでは子供の命は軽いんです……」


「殿様のせいですか?」

「いや、殿様はまともな人なんですよ……その家来達の問題かと……」

「そうなんですか?」


「ええ、前はここまで武士の方が暴れていませんでしたから、家臣を纏めてる方が代わってからこうなってしまいました。」


「そうなんですね。」

「皆さんもこの先に行かれるのでしたら気をつけてくださいね。」

「はい、ありがとうございます。」


「ただいま!」


 クラリスがチヨの母親と話終わると、戸口からチヨの元気な声が聞こえてきた。


「おかえりなさい。お父様は?」

「もうすぐ帰ってきます。農具を持って走るのは辛いみたいだよ。」


「分かったわ。チヨは中でお客さんの所にいなさい。私はお昼の準備をしますから。」

「はい。」


 クラリスがリラックスしていると、チヨがパタパタとかけてきた。


「お姉さん達、もう少し待ってて下さい。今から母様がご飯を作ってくれるそうです。」

「お主性格変わったな、先程とはえらい違いじゃ。」


「だって、母様達にもう一度会えたのですから!もう会えないと思っていましたので、嬉しくてしょうがないのです。」


「あはは。まぁ不安ではあったでしょうね。」

「ねぇ、お姉さん座って良い?」


「えっ?いいけど?」

「ありがとう!」


 クラリスはチヨが座って良いかと聞いてきたので許可を出した。しかし座った場所は……


「あの?隣にじゃないの?」

「うん。お姉さんのここが良いの。」


 クラリスの太ももの上にチヨは座っていたのだった。


「まぁいいわ。チヨちゃんは今いくつなの?」

「7つだよ。読み書きは今練習してるの。」


「そっかー、学校とかは行かないの?」

「がっこう……?」


「クラリスよ、この国には学校という機関はない、あるのは寺子屋という学習塾じゃ、村にはあるじゃろうがこの辺りには少なかろう。」


 クラリスは改めてチヨを見ると、よく分かっていなかったようなので説明した。


「へぇー、お姉さん達の国ではそんなのがあるんだ。行ってみたいなー。」

「大きくなったら連れて行ってあげるよ。」


「ほんとー!やったー!」


 チヨは喜んでいるけど、本当は連れていけない。チヨが大人になる頃にはクラリス達はもうこの国にはいないのだから。でも、チヨがこんなに喜んでいるのなら小さな嘘をついた意味もあったのかもしれない。


「皆様、旦那様が帰られましたので、こちらへどうぞ。」


 チヨの母親に促されクラリス達は畳の部屋へと入っていった。そこには少し老けたおじさんが座っていた。


 クラリス達は彼の目の前に座るとチヨの父親は深々と頭を下げた。


「この度は娘を助けて頂き感謝する。」

「いえ、当然の事をしたまでてす。」


「そう言ってくださいますか。かたじけない。なにぶん家は広いのですが、見ての通り人はおりません。ゆえに娘に買い出しを頼んだのでしたが……まさか武士達に襲われていたとは……改めて娘を助けて頂きありがとうございます。」


「あ、頭をお上げ下さい。何はともあれ、無事に戻られたのです。娘さんを大事になさってください。」


 クラリスはチヨの父親に頭を上げる様お願いした。


「ありがとうございます。少ないですがお礼ばかりの昼食です。お召し上がり下さい。」


 という事で、クラリス達は昼食を摂ることにした。

「白米ですか、これは貴重でしょうに。」

「えっ?そうなの?この前は普通に食べてたじゃん。」


「そうか、クラリス達は知らんかったな。本来農家は米を国に納めており白米は貴重なんじゃ。本来はあわやひえという物を食べるんじゃ。」


「そうなの?そんな貴重な物を……」

「いえいえ、お礼ですので、お気になさらず。ささっ、食べてください。」


 旦那さんに勧められクラリス達は食べ始めた。


「「「「「頂きます。」」」」」


 そして食べ終えてから小一時間ほど休憩をした後、チヨ達の家から出ることにした。


「ごちそうさまでした。とても美味しい料理でした。」

「いえいえ、こちらこそチヨを救って頂きありがとうございました。また近くに寄る事がありましたら寄って下さい。チヨも喜びます。」


「はい!その時はまたお世話になります。」


 クラリス達が出発しようとした時、チヨちゃんから声がかかった。


「お姉さん達行っちゃうの?」

「うん。お仕事だからね。」


「また来てくれる?」

「うん。チヨちゃんが良い子にしてればね。」


「じゃあ。良い子で待ってる。」

「うん。待っててね。」


 クラリスはチヨの頭を撫でてあげた。


「チヨよ。」


 クラリスと話していると今度はダークが話かけた。


「これを渡しておく。」


 ダークはクラリスにそっくりの人形をチヨに渡した。


「もし、寂しくなったら声を吹き込めるといい。もしかしたら奇跡が起こるやも知れんぞ。」

「……分かった。大切にする!」


「うむ。では行くぞクラリス。」

「え、ええー……ではまた。」


 こうして、クラリス達はチヨと別れて旅へと戻るのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。


次回更新は2月19日土曜日の15時です。

お楽しみに!


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