80歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
翌朝……
「おはよー。みんな起きてる?」
クラリスが1番最後に起きてきたのでみんなは既に起きていた。
「クラリスさん、あの少女2人も起きてますよ。助けた子供の方はあの村の子ではないそうです。少し離れた所に家があるそうですよ。」
「そう。じゃあ送って行こうか。」
エールから話を聞き、女の子の元へいくクラリス。
「おはようございます。痛い所ある?」
「おはようございます……ううん……痛い所はないよ……」
少し怯えながらもクラリスと話す女の子。
「じゃあ名前教えて貰えるかな?」
「……チヨ……です……」
「チヨちゃんね。よろしく。」
「よろしく……」
クラリスは手を出してチヨと握手をするのだった。そしてもう1人……
「そして、あなた。」
「私?」
「そう名無しさん。あなたに名前をつけるよ。」
「……そうね。ないと困るものね。」
苦笑いをしながら少女は頷いた。
「では、サクラにしておけ。そやつにはピッタリじゃ」
もう決めてたとばかりにダークが命名した。
「はやっ!何狙ってたの?」
「無論じゃ、そやつの髪色は桃色をしておる。そして肌は白い。桜の花びらにそっくりじゃ。」
「そう聞くと良さそうね。さくらが何かは分からないけど……良いかしら?」
「ええ、結構好きかも。」
サクラの了承も得たので名前が決まった。
「クラリスはさくらは知らんのかの?お主たちが最初に飛ばされた場所にあった木がそれじゃぞ。」
「えー!あれが?確かに綺麗だったわ。この子にピッタリかもね。」
これで大方の事が決まったので行動に移すクラリス達。でもまずは朝食を取ることにした。エールが朝早くに作ってくれてたらしくクラリス以外は食べ終わっていた。
「はい、クラリスさん。」
「えっ?これって?」
「クラリスさんだけ起きてこないので別に作っておきました。これなら歩いてでも食べられますよ。」
クラリスは貰った紙袋を開けるとサンドイッチが入っていた。クラリスはエールにお礼を言うと食べながら進む事となった。
「この道真っ直ぐでいいの?」
「うん……」
今はあぜ道を6人で歩いていた。チヨは今サクラに肩車して貰って案内をしていた。
「あの子、子供好きなのかな?」
「お主も好きではないか。」
「まぁね、今は片手が塞がってるから肩車とかおんぶも出来ないけどね。」
「クラリスさん達の文化では食べ歩きというのがあるのですか?」
ボタンにいきなり変なことを言われた。
「まぁ、急いてる時とかはね。でも、行儀悪いよね」
「そうですよね。私は食べ歩きなんてした事ないので少し驚いています。」
「あー、なるほど。確かに座って食べた方が良いものね。まぁ、特例として見てちょうだい。それと昨日はありがとう。私の暴走を止めてくれたみたいね。」
「はい!どういたしまして!」
あまり悪しき文化を残さない様にしないといけないと思うクラリスであった。
「ところでさ、ボタンはあの2人にどう見えてるの?」
「ん?」
「いや、サクラ達にはキツネに見えてるのかなって?」
「そういう事ですね。大丈夫ですよ。今は人の形で見えてます。そういうおまじないを掛けてるのでクラリスさん達と同じ様に見えてますよ。ただ狐耳だけは見えないと思います。」
「そうなのね。ならいいわ。今から人のいる里に沢山行くからキツネのままだと何かと困るからね。良かったわ。」
クラリスの心配事が消えたので安堵の表情をする。
「あっ!あの家だよ!」
チヨが初めて大きな声を出した。少し安心したのだろうか。そのままクラリス達はその家にむかった。そしてそのまま扉を叩いてみた。
「こんにちは。」
「はーぃ……少々お待ち下さい……」
元気のない女の人の声が聞こえた。
「はい……どちら様で……チヨ!」
「母様!」
やはり一日経っても帰ってこない娘を心配していたのだろう。元気がなかったのはそのせいだったのだろう。サクラはチヨを肩車から下ろしてあげると母親の胸に飛び込んだ。
「ただいま帰りました……」
「おかえりなさいチヨ……」
クラリス達はチヨを見送ったので去ろうとしたが、チヨの母親に止められた。
「お待ちください。チヨを助けて頂きありがとうございました。なんと、お礼を言ってよいやら……」
「いえいえ、気にしないでください。私たちは旅をしておりますので、これで。」
「本当にありがとうございました。ですが、このまま帰しては我が家の恥になります。ですので食事だけでもして行って下さい。」
「は、はぁ……」
そこまで言われてはクラリス達も断る訳にもいかない為、家へと上がらせて貰った。
「どうぞ、粗茶ですが。」
「頂きます。」
お茶を出されたので頂く事にしたクラリス達。
「ふぅー。あったかいわね。」
「渋いわねー。」
「コーヒーよりは苦くないですよ。」
クラリス、ダーク、エールは三者三様の反応をするのであった。そんな中サクラはというと……
「ホッとするなー、あったかいお茶は久しぶりだー」
懐かしんでいるのであった。
「まだ昼食には少し早いのでこちらをどうぞ。」
出されたのは黒いものがお皿に載せられてきた。
「おはぎだー!頂きます!」
「なるほど、渋めのお茶はそういうことかの。」
「わぁ、頂きます。」
サクラとダーク、ボタンはこの食べ物を知ってるので食べ始めた。一方クラリスとエールはというと……
「黒いわね……」
「黒いですね……」
見慣れない食べ物。しかも黒いという事で食べあぐねていた。
「なんじゃお主ら食わんのか?」
「いや、黒いし……」
「ええ、少し抵抗が……」
「そうじゃの、向こうではなかなかないからの。だが、美味いぞ。」
ダークにそう言われて食べてみる2人。
「あ、甘い……」
「美味しいです。中の白いのはなんですか?」
「もち米じゃ、もち米の周りにあんこで包んでおるのじゃ。」
「「なるほどー」」
「ちなみに、これはこしあんだよ。」
サクラにあんこの種類を言われるもよく分からないクラリスであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は2月16日水曜日の21時です。お楽しみに!
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