71歩目
お待たせ致しました。
それでは本編をどうぞ!
クラリスとリーフからボタンの話を聞いたツバキであるが、なかなか信じてもらえなかった。
「あなた方から悪い気はしません。もちろんその……ボタンというキツネからもです。ですが、話を全て信じる訳には行きません。ここは神聖な神域。そこに獣を住まわすなど許されません。」
「うーん……やっぱり簡単には信じて貰えないわね。」
「リーフ、あの魔法使う?」
「ん……?あー!確かにあの魔法ならいけるかも!」
クラリスとリーフが盛り上がっていたがツバキは何の話をしてるのか分からなかった。
「あ、あの……魔法ってなんですか?」
「えっ?魔法知らないの?」
「はい……全く……」
「例えば。こうやって水を出したりとか……」
「こんなふうに火を付けたりとかよ。」
クラリスとリーフの実演を見てもなお信じられない顔をしていた。仕舞いには……
「お、お2人は神様なんですか?」
この始末である。なので説明は後回しで2人は外へ出て陣を描き始めた。そして陣を完成させる。
「ほら、ボタンその陣に入って。」
「う、うん……」
怯えながらもボタンは陣の中へ入った。そしてリーフが詠唱を開始する。
「彼の者を映し出し。その真の姿を我らに見せよ。ミラージュ!」
すると……
「この子がクラリスさん達が見ていた子なんですね。」
どうやらツバキにも見える様になった様だった。
「成功ね。」
「陣の中にいる間しか見れないけど、初めて会えたんだからこれからは無闇に追い出したりしないでしょ。」
そこからはツバキとボタンで話をしていた。そしてクラリスとリーフは今晩はここに泊めてもらう事になった。これから山を下るのは危険だと判断した為である。
「ふぅー……あったまるわね。」
「凄いわね。お湯を溜めて入るなんて、しかもめちゃくちゃ広い!」
クラリスとリーフは今お風呂に入っていた。普段シャワーで済ませてる2人には初めての体験である。
「露天風呂はいかがですか?」
「ツバキさん。」
「気持ち良すぎよ〜全身の力が抜けちゃいそう〜」
「もー、リーフ。腑抜け過ぎよ。」
「ふふふ。お風呂は疲れをとってくれますからね。でも、長く入ってると溶けちゃうから気をつけてくださいね。」
「「えっ⁉︎」」
「ふふふ。嘘ですよ。でものぼせちゃうので長湯には気をつけてください。」
ツバキの言った事が本当かと思って青ざめた2人であったが嘘だと知りホッとするのだった。
風呂から上がるとツバキが夕飯を作ってくれていた。
「おおー……これはまた……」
「見たことのない料理ね。」
「お米を釜で蒸した、白ごはんとお味噌汁です。いわゆる和食というやつです。」
2人はとりあえず座布団に座り食べてみる。
「あっ、美味しい……」
「私この料理好きかも!」
「お2人はお米を食べた事ないのですね。」
「ええ、私たちの国ではパンが主食ですから。」
「そうなんですね。私はパンを食べた事ありませんのでよく分かりませんが……」
「そうなんですね。」
「だったらお礼に少し分けてあげる。確か収納に何個か非常用の食べ物を……あった!」
リーフは収納から白いパンを取り出す。
「これがパンなのですね……」
「おっと、ちょっと待ってね。このままでも食べられるけど、焼くと更に美味しいからね。」
そう言うとリーフは弱火の火を出して軽く焼いてあげた。
「さぁ、どうぞ!」
今度はツバキがパンを一口食べてみた。
「あっ、美味しいですね。サクッと感が良いです!お礼にそのパンあげるわ。ボタンと食べて。」
「良いんですか?ありがとうございます!」
こうして夕飯を食べているとボタンが血相かいてやってきた。
「皆さん逃げてください!物凄い邪気が迫って……ふぎゃ……」
「誰が邪気じゃ小狐。滅するぞ。」
「「ダーク!」」
「どうしてここに?」
「フンッ!」
「「ぎゃ!」」
クラリスとリーフの質問には答えずダークはすぐさま2人を拘束した。
「あの……あなたは一体……」
「こやつらが世話になったな……わっちらはこやつらを探しておったのじゃ。」
「は、はぁ……」
「貴様ら、王はなんと言っておったかの?あの場から動くな。離れるなと言われてたおったよな?」
「「は、はい……」」
ダークの顔が怖くて2人とも反論する事が出来なかった。
「それなのになぜこんな山奥におるのじゃ!説明せよ!」
そして縛られたクラリスとリーフはこれまでの経緯を話した。話さなければ拷問に遭うと分かっていたからだ。
「なるほどの……事情は分かった。」
「分かったのならこの黒縄を解いてよー」
「そうよ。不可抗力だったんだから!」
「ならんな……お主らは今から連れて帰る、フロール姫達も待っておるからの。」
「「だったら……1人で飯食ってんじゃないわよ!」」
「お嬢さん、ウチのものが世話になったの。久しぶりの和食はやっぱりよいの。梅干しなどあるなら欲しいんじゃが。」
「ありますよ。今持ってきますね。」
「ツバキさん、言うこと聞かなくていいですよー!」
「そうよ!大体私たちの分まで食べないでよね。」
「お待たせしました。梅干しです。」
「うむ、ありがとう……うーむ、よく染み込んでおる。」
「「話聞けー!」」
結局、ダークが食べ終わるまでホールドされていたクラリスとリーフであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は1月29日土曜日15時です。お楽しみに。
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