69歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ。
「ねぇ、リーフここ何処だと思う?」
「分からないわね。でも、魔力は美味しいわよ。汚されてない上にかなり純度も高いわ。妖精の里より綺麗かも。」
「リーフがそこまで言うんならよっぽどなんでしょうね。」
クラリスとリーフは焚き火に当たりながら話をしていた。久しぶりに2人だけの夜である。
「久しぶりの2人っきりね。」
「この前フロールも同じ事言ってたわ。」
「ねぇ、クラリス。」
「何、リーフ?」
「そろそろ拠点を持たない?何処かいい所があればさ、もう500年も放浪したんだからそろそろいいんじゃないかな?」
「まだダメよ。私はまだ止まれないわ。本当に平和になるまでは私の旅は終わらないのよ。」
「ねぇ、クラリス。今幸せなの?」
「えっ?うん、幸せよ。リーフがいて、フロールがいて、ウールがいて、エールがいて、ニコラがいる。騒がしいけど、楽しいわ。それにみんなそう簡単に死なない。それだけで私は嬉しいわよ。」
「嬉しいと幸せは違うわよ。クラリス。」
「えっ?」
「嬉しいは一瞬で終わっちゃう。でも幸せは嬉しいも辛いも全てを感じても幸せなものなの。それを踏まえて幸せなのかしら、クラリス。」
「なるほど、その考えならば私はリーフと会ってからずっと幸せよ。」
クラリスの言葉にリーフは少し驚いただけどその目は確かに幸せだと物語っていた。
「それってプロポーズじゃん!クラリスは私と結婚するつもり?」
「何言ってるのよ。そんなつもりないわよ。でも、一生私に付いてきて貰うわよ。」
「プロポーズしといて、なんで私が振られてるのよ!」
「私プロポーズなんてしてないわよ!」
その日の夜は2人で笑い合うのであった。
次の日、2人は空高く飛んでいた。
「この辺には街や村がないわね。」
「ほんと、見渡す限り平原ね……」
2人は空から人が居そうな場所を探していた。妖精の里で買い出しはしてきたとは言え、いつかは食糧も尽きる。加えて、フロール達がいつ来るかも分からない。ならばその前に村か街を探すという判断に至ったのだ。
「しょうがないわ。一旦テントの場所に戻りましょう。」
「そうね。もしかしたらフロール達が来てるかもしれないわね。」
2人はテントに戻るもまだ誰も来ていなかった。
「はぁ……まぁ直ぐに来れるはずないわよね。」
「そうね……クラリス!」
「ええ、何かいるわね……」
リーフが何かの気配を感じ、クラリスを呼ぶ。そしてクラリスも気づいたらしく声を潜めた。
出てきたのはガイコツだ。しかも鎧を着ており手には刀を持っていた。
「これ瘴気も含まれてるわね。」
「ええ、それよりあの剣は刀よ。」
「という事はここは和の国ね。」
「しかも1体や2体じゃないわよ。どうなってるの?」
クラリス達が困惑していると、ガイコツ達はいきなり襲ってきた。
「ぐっ……コイツら死んでるのになんてパワーなの……」
「リーフ!気をつけて!コイツら瘴気をかなり吸い込んでるからあまり長居してるとこっちもガイコツの仲間入りよ!」
「分かってるわよ!クラリス空へ逃げて焼いて!」
「分かった。リーフ手伝って!」
「任せて!」
そうして思いっきり力を入れてガイコツから距離を取ると2人は空高く舞い上がる。
「ふぅー……空気が美味しい。」
「馬鹿言ってないで早く!」
リーフに急かされてクラリスは詠唱を始める。
「炎よ、罪深き者に業火の罰を!ダークフレイム!」
「土よ、炎を炎炎と燃やす土台となれ!オイルシャワー!」
クラリスとリーフの合体技でガイコツ達を焼き払う。そして、黒く焼かれた大地に降り立った。
「流石にやり過ぎたわね……」
「アレやろうか。」
「やらないとこれは流石に隠せないわよ。」
リーフとクラリスは自然を元に戻す事にした。2人は手を握り魔力を高めていく。
「爛れた大地よ……」
「我が罪を赦したまえ……」
「我が罪を認め、我はあなたに魔力を渡します……」
「どうか、元のお姿へお戻り下さい。」
「「グランドグラス!」」
詠唱が終わると、地面から若葉が出てくる。そして、雨が降り出し、植物の成長が進んでいく。そして……
「ふぅー……なんとか元に戻ったわね。」
「この魔法は魔力使いすぎてキツイわね。」
「リーフ、もう一仕事しないと……」
「そうね……やっておかないとまた出てくるもんね。」
「「降り頻れ鎮魂の雨!」」
ポツポツと雨が降り出した。この雨は死者が二度とこの地に戻らない様にする浄化作用を持ちつつ、死者に安眠させてくれる雨なのだ。
「この魔法、覚えておいて良かったわね。」
「ええ、死んでまで戦うなんて悲惨だからね。」
草原に寝転がって雨が止むのを待つ2人。雨が上がり、日が出てきた頃にはもう日が傾き始めていた。
「「あちゃー……」」
2人が見ていたのはボロボロになったテントである。
「これは……やらかしたわね。」
「布とかある?とりあえず雨風は凌げるように直すわ。」
「こういう時、復元の魔法とかあるといいのにね。」
「今度開発してみるわ。」
2人はそんな話をしながらテントを修復していると……
「あれ?こんな所に人がいますね……」
「「‼︎」」
振り向くとそこにはキツネの耳を頭に生やした女の子が立っていた。
(何こいつ!全く気配が無かった……)
(えっ?いつから後ろに……?)
クラリス達は手を止めて距離をとった。
「あわわ、警戒するのはわかりますけど、安心して下さい。私はここに瘴気が現れたから浄化しにきたのです。」
「浄化?その割には遅くない?」
「すいません。他にも3箇所で瘴気が起こっていましたので、おそくなったんです。本当にごめんなさい……」
リーフが敵意剥き出しで言い放ったので耳をペタンと倒れて反省していた。
「……悪かったわ。あなたが悪い訳でもないものね。」
「すいません。ところであなた方はどうしてこんな所で何を?」
クラリス達はとりあえず警戒を解いてこれまでの経緯を話すのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は1月23日日曜日午後15時です。
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