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54歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

「おやおや、大妖精のライトさんとダークさん。里の外に出てきて宜しいのですか?」

「そう言う貴方こそ死界を管轄する神じゃないですか。何故こんなところにいるのですか?」


「死界の神っていう事はお前さんはブライドだったか?」

「いかにも。俺はブライドだ。それで、バンデスが言った最初の質問だ。何故お前たちが里の外にいる?」


「なーに、わっちらの里の前でドンパチやってる奴らに灸を据えてやろうと思ってな。こうしてわざわざ出向いてきたのじゃ。」


 傷だらけのバンデスはブライドの肩を借りながら大妖精2人に話しをした。そして、それをダークが答えていく。ライトはその間にリーフとクラリスから事情を聞き出すのだった。


「それで、リーフちゃん。クラリスちゃんの暴走とこの山がボロボロの原因を教えて頂けるのでしょうか?ああ。その前にそこの怪我人を助けましょう……か……?」


 ライトがフロールの顔を見て顔色が急変する。


「リーフちゃん!わたくしがあなたのポジションに変わるからあなたがその子に回復魔法をかけて!絶対にその子を死なせてはダメよ!」


「えっ⁉︎なんなの急に……」

「いいから!事情は後で説明します!」

「でも、クラリスも酷い怪我なの!」


「分かっております。ですがこの子は不老不死、そして、私が近くにいる限り不幸にはならないので安心しなさい。そして、そこで、気絶してる子は一緒に陣の中へ。魔力不足の様なので一緒に回復させます。」


 そう言うとライトはクラリスを近くにいたエールに預けて、リーフと代わった。そして、リーフは気絶しているニコラを陣へと入れる。その直後、強力な光魔法で回復魔法を強化した。


「ダーク、そっちは任せるわよ。」


 未だに口喧嘩をしていたダークにライトはそっちは任せたと伝える。


「なんだ?そんなにまずいのかい、そちらの小娘は?」

「バカ!口を慎みなさい!この方は妖精界の姫君よ!」

「ん?そんな顔してたか?」

「あの頃は幼かったから仕方ないわ。でも、この魔力は変わらない。間違いないわよ。」

「まぁ、いいわ。こっちは任せなんし。」

「ええ、任せたわ。」


 ダークはバンデス達に向き直る。


「それで、わっちの相手はどちらがしてくれるのじゃ?」

「ヘッ、お前さんの相手なんかするわけねぇーだろ?俺はコイツを回収出来れば良いんだからよ。」

「ふーん。そんな勝手が許されるのかのー?」

「許されるだろう、俺様達は神だからよ!」

「そうか……それじゃあ!」


 ダークは黒い魔力弾を神達に向かって振りかぶる。


「死んで詫びよ……」


 鋭い目つきで言うや否や黒い魔力弾を量産し一斉射撃を行う。


「うおっ!なんだこりゃー⁉︎結構重いぞ!」

「貴様は誰と対峙してると思うておる。大妖精にして闇魔法を司っておるダーク様じゃぞ!」


 ダークの発言はもはや妖精ではなかった。悪魔に近かったのであった。


「チッ、調子乗りやがって……」

「ブライド、隙を作りなさい。私が亜空間の扉を開きます……」

「おいおい、神力足りるのか⁉︎」

「足りますよ……私は創造神ですからね……」


 神々がコソコソ話をしていたが……


「おやおや、逃げられると思っておるのか……?逃すわけなかろう!」


 そう言うとダークは魔力弾を一旦止めて空へと集めた。そして……


「開け……虚無の扉よ!」


 そこには夜の闇よりも深く、死界よりも禍々しい瘴気を放つ世界があった。


「な、な、なんじゃこりゃー⁉︎」

「こんな魔法……私どもは知りませんよ……」

「当たり前じゃ、神々と戦争する時の切り札じゃからな。貴様らが最初の入国者になってもらうぞ。」


 驚愕する神々に対してさも当然の様に言い放つダーク。


「我が()()()()()、クラリスを殺そうとした事は万死に値する!虚無の世界で己が消えるまで猛省するが良い!」




 ダークの言葉に4()人がこめかみがピクっと動いた。


「今、フロールが動いたわよ。」

「みたいね……死にかけてるのに恋する乙女は凄いわね。」

「リーフも少し動揺してたわよね?」

「な、なんで分かるのよ⁉︎」


 ニコラの指摘にリーフはギクッとなってた。

 そして、残りの2人は……


「ライトさんもクラリスさんが好きなんですね。」

「ええ、今はクラリスちゃんが気絶してるから言うけど、リーフちゃんを含めてクラリスちゃんの事を知ってる妖精はクラリスちゃんの事が大好きなのよ。もちろん恋という意味でね。」

「クラリスさんどんだけたらしなんですか⁉︎」


 エールはクラリスの好かれ様に驚いていた。ニコラはと言うとこの世の終わりの様な顔をしているのだった。おそらくライバルが増えた事による絶望感なのだろう。



 一方ダークの方は……


「さて、そろそろ終いににするか……フンッ!」


 ダークは腕を上に伸ばすと虚無の扉からの吸引力が上がりバンデスとブライドは空へと浮き上がる。


「おのれ……おのれ!」

「こうなっては仕方ありません……ブライド、あなたの力を貰います。」

「はぁ?何を言ってやがる!んな事出来るわけ……」


グシャ……


「こうすればできます……」


 バンデスはブライドの心臓を手刀で貫いた。


「な……何を……しやがる……」

「あなたの神力を得てこの場を逃げ切ります。」

「テメー……それでも神かよ……」

「ええ、ですがこのまま2人であの中に入ってしまえばもう戻れません。しかし私なら再びあなたを復活させられる。」


「ふざけんなよ……殺した相手の下で働くと思うのか!」


 血反吐を吐きながらブライドはバンデスの胸ぐらに掴みかかる。しかしバンデスはその手を再び手刀で切り落とし、ブライドは虚無の穴へと吸い込まれていく。


「安心してください。次に復活した時には今日の事をあなたは覚えてはいません。私が消しますからね。」

「ちくしょょぉぉぉー‼︎」


 そのままブライドは虚無の穴へと吸い込まれて行った。そして残されたバンデスは虚無の扉を手刀で一刀両断した。そして、それを見たダークは落ち込む事はなく。まだまだ改良の余地ありというご満足な様子だった。


「おやおや、ご自分の魔法が壊されたのにニコニコしてるとは変わった方です。」

「なーに、次への楽しみが増えたんじゃからな。笑いたくもなるじゃろ?」

「フッ……変わった方ですね。では、またお会いしましょう。」

「おっと、その前に……」


 ダークはパチンッと指を鳴らした。するとバンデスの右腕が腐り始める。


「クッ……腐敗の魔法か……」

「あの男は虚無の世界へ旅立った。じゃが貴様には何の罰もない、それでは不公平じゃろ?もう一本の腕も置いていってもらおう。」

「おのれ……フンッ!」


 左腕はニコラが焼き尽くしていた為、バンデスは風魔法でもう片方の腕を切り落とし、消えて行くのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は12月25日土曜日午後15時ですお楽しみに!


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