53歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ。
「クラリス、あんたの剣でアイツの障壁壊さなかったわね。」
「ええ、対魔剣だから本来魔法障壁は斬り裂けるはずなんだけどね。」
「それは私が神だからですよ。皆さん!」
クラリス達はマグマの方から声がするのを聞いて驚いた。まさかと思って振り返るとそこにバンデスはいた。右腕は溶けていたが他は服が焼けた程度で済んでいた。
「何を驚いているのです。あの程度のブレスで神を殺せるなど思っていないでしょう?」
「それでも腕は吹き飛んでるじゃない!」
「そうですね……もし完全復活していればこんな事にはならなかったでしょう。」
バンデスは消えた右腕を見ながらしみじみ感傷に浸っていた。だがその顔には不敵な笑みを浮かべていた。
「ですが、私は創造神、自分の腕を生やす事くらい造作もないのです。それでも半月はかかりますがね。」
クラリスとリーフはフロール達を守る為に前に出る。
「つまり、アンタはまだ戦えるって事よね?」
「片腕を失っても容赦はしません!」
「ははは。流石にここで貴方達と戦うつもりはありませんよ。ただし……」
バンデスが再び腕を上げたのでクラリスとリーフは魔法障壁を張った、しかし……
パシュー……
その音はあまりに弱い音だったがクラリス達の防御障壁を貫通していた。そしてその先にはフロールがいた……
「「「「フロール!」」」」
4人は同時にフロールを見た。フロールの胸には小さな穴が空いていた。
「これでおあいこです。それではまた……」
それだけを言い残して消えていった。
「クラリス!回復魔法を!クラリス!」
クラリスは放心状態だった。だが、急に目から光が消えた。
「あああ……あああぁぁぁぁ!」
「クラリス落ち着いて!まずはフロールの手当てを!クラリス!クラ……リス……」
クラリスはリーフを払い退け、静かに歩き出しながら漆黒の魔法剣を作った。
「そこ……」
覇気もなく視点もあってはいない……だけど。クラリスには何かが見えていた。そしていきなり魔法剣で虚空を斬ったのだ。
「なに⁉︎」
斬った先にはバンデスがいた。バンデスは何故分かったのかという疑問の顔を浮かべていた。
「空間……断絶……」
「クラリスさんはそんな事できないんじゃ……」
「そんな事いいから!フロールの手当てしてよ!」
後ろからウールの泣き叫ぶ声が聞こえた事でリーフ達は我に帰る。そして、素早く回復の陣を描きリーフは発動させた。回復はウールが行っていた。そして、その後ろではエールが魔法障壁を張って4人を守っていた。
場面は変わってクラリス……
「なんだ貴様は!どうやって貴様は私の魔法を斬り裂いた!」
「うああああぁぁぁ!」
クラリスは答えないもはや答える気持ちや思考すらない。何故なら暴走していたからだ。
「おのれ、獣め!業火に焼かれ己が罪を清算せよ!ホーリーバーニング!」
バンデスの後方に8つの魔法陣が出来た。その瞬間白い炎がクラリスへと襲いかかった。そしてクラリスはその中に躊躇いなく突っ込んだ。そして……
「はああああぁぁぁぁぁ!」
スパーーーン……
クラリスは魔法剣で炎を斬り裂いた。そして斬り裂かれた炎は漆黒の剣に吸い込まれていく……
「なんと……これでも止まらぬのか……ならば!」
バンデスは次に残っていた左腕空へと向けた。
「星達よ!我が難敵を撃て!メテオシャワー!」
すると曇り空から火の玉が落ちて来た。全てクラリスに向かっていた。だが、クラリスはそれでもお構いなしだ。そして、クラリスがバンデスを斬り付ける前にバンデスは空へと逃げた。
「堕ちろ獣!星の雨に打たれてな!」
「グルル……」
そこで初めて空から迫り来る隕石に気づいたクラリス。だがクラリスはおもむろに魔法剣を空へと掲げた。
「はああぁぁぁぁ!」
すると魔法剣から白い炎が噴き出した。先程吸収した炎を放ったのだ。そして迫り来る隕石を全て消し飛ばしたのだ。
「バ、バカな……何者なのだ……貴様は……」
クラリスは質問に答える事はなかった。バンデスの背後を一瞬にして取り蹴落とした。お前に空は似合わないと言いたげな目で……
地面に叩きつけられたバンデスはすぐに立ち上がり再び魔法を唱えようとしたが既に上空にクラリスは居なかった。
「何処に行った?」
バンデスがクラリスを探しているとバンデスはいきなり後ろから斬ら捨てられた。
「ば……バカな……私より速いだと……」
「……」
クラリスは無言だった。しかし目には涙を溜めており眉間には皺が寄っていた。その表情は守れなかった悔しさと怒りであった。
そして、もう動けないバンデスにクラリスは魔法剣を振り上げる。そして、そのまま振り下ろした。
「……がはっ!」
しかし、それがバンデスに届く事はなかった……何故ならその後ろからクラリスをナイフで刺した者がいたからだ。
「残念だったなお嬢ちゃん。敵はそいつだけじゃねぇーんだぜ。」
クラリスはそのまま前のめりに倒れた。そしてその後ろには巨体の男が立っていた。
「クラリスさん!」
エールの叫びにリーフが振り向いた。そこには倒れたクラリスにトドメを刺そうとする棍棒を持った大男が居た。それでもリーフは動けない。動けばフロールが死ぬ……でも、動かなければクラリスが……
だが、リーフは動けなかった。ここで動いてフロールを死なせてしまえばクラリスはきっと後悔する。おそらくそれはフロールも同じなはずだが。それでも動けないのはリーフがクラリスと居た時間が長かったからだ……
リーフは目を背けた。クラリスが死ぬのを見たくなかったのだ。いくら不老不死とはいえ、頭を砕かれれば死ぬ……それを分かっていたリーフは目を瞑ってフロールの回復に努めた。
しかし、急に現れた白い光と黒い光にクラリスは間一髪助けられた。
「誰じゃ……わっちらの里の前で暴れとるのは……」
「困るんですよね……わたくしどもの里の前で暴れられると……」
そこにはクラリスを脇に抱えた白い服を来た女性と黒い着物を着た女性が立っていた。
「ライト……、ダーク……!」
リーフは泣きながら2人の名前を呼ぶのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
うすうす勘づいてると思いますがこの小説内でクラリスはまだ最強ではありません。でもいずれは強くなるのでクラリスたちの成長を見て行って頂けると幸いです。
次回の更新は12月22日水曜日の22時です。お楽しみに!




