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36歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

「おっ、街が見えてきたわね。」

「街というより村かしらね……」


 クラリスが街が見えたと言うがリーフからは村と見えたらしい。


「そうね、あれだと村ですね。」

「村ね。」

「村ですね。」

「村だー!」


 5対1……クラリスの敗北である。


「いいじゃん。私には村に見えたんだから……」

「はいはい、わかったから泣かないの!」


 リーフがクラリスの頭を撫でながら村へと歩いていく。時刻は夕方である為、村の家の窓から光が見えていた。

村へ入ると少し違和感を覚えた……


「何かしら……この淀んだ感じは……」

「血生臭いですよね……」

「ごめん……私、無理みたい……」


 ウールは謝るとすぐに消えてしまった。


「ちょっと、ウール⁉︎」

「無理よフロール、私でも逃げ出したいくらいだもの……」

「ちょっと、この村を出ましょうか……瘴気(しょうき)がキツすぎる……」


 クラリスがそう言うと4人は頷いて村の外へ出た。


「ちょっと何よあの村は!」

「分かりません……ただ言えるのは私たちは入れないという事ですね。」


 リーフの苛立ちにフロールは冷静に答えた。


「しょうがないわ。少し離れた所にテントを立てて、そこで一晩過ごしましょう。」

「賛成……」


 クラリスの意見に賛成したニコラですらこの有様だ。顔には出してないがリーフとフロール、エールも同じなのだろう。


 クラリス達がもう少し離れようと山の方へ歩くと村から太鼓や笛の音が聞こえた。


「嘘でしょ……?」

「あの中に人がいるの……」


 ニコラとエールが絶句した表情をしているとクラリスが歩きだす。


「ちょっと、クラリスさんどこ行くんですか⁉︎」

「決まってるでしょ。助けに行きます。」

「待ちなさい!」

クラリスはツカツカと歩いて行くのをリーフが止めた。


「どうして止めるの、あの村は危険って知ってるじゃない⁉︎」

「だから止めたのよ。」


 リーフはクラリスの目を真っ直ぐ見据えた。


「あの中に人が居たとしてどうやって助けるつもり、あの空気の中で戦闘になったらクラリスでも大怪我、最悪生きているのに身体が動かせない事になるかもしれないわ。」

「だからって見捨てるの⁉︎」


「クラリスさん、私もあの村に戻る事には賛成しかねます。」

「エールまで……」

「この瘴気はドラゴンであるワタシたちですら意識を保てないレベルに濃いです。人であるクラリスさんでは滞在時間が短過ぎて助けられないと思います。」

「………分かったわ。」


 ここまで言われてようやくクラリスは止まった。


「ここまで来れば瘴気の影響は無さそうね。」

「ええ、風上なので瘴気が来る事もないでしょう。」


 クラリス達が話してる途中でニコラも倒れてしまった。なのでエールがドラゴンに戻って4人を乗せて安全な場所まで戻っていた。暗くなっているので人目には付かないだろうという判断でもあったし、ニコラをおんぶしながら暗い山道を歩くのも危険だと思ったからだ。

 急いで火を起こして魔物などが来ない様にする。火を起こすとフロールは少し遅めの夕飯を作り始めた。


「それにしても、さっきの村はなんだったのかな……?」


 焚き火に当たりながら目を覚ましたニコラが話し始めた。ウールはまだ戻って来ていない……


「分からないわ。少しだけあそこの瘴気を持ち帰ってきたけど……」


 リーフは小瓶に詰めた瘴気を見せた。


「無色ね。」

「開けてみたら?」

「ニコラ、馬鹿な事言わないの、この辺り一帯が瘴気に蝕まれたらどうするんですか!」

「そ、そんな事ないでしょー、生きてるんじゃないんだし……」

「いえ、この瘴気……生きてるわよ。」

「「「えっ⁉︎」」」


 リーフの一言に聞いていたクラリス、エール、ニコラが驚いた。


「私もさっき気づいたんだけど、この小瓶を割ろうとしてるの、まぁそう簡単に割れたりしないんだけど小瓶からコツコツと小さい音がするのよね。」

「さっきから聞こえる音はそれだったんですね。」

「良かったー、私お化けかと思ってビクビクしてたんだよ。」


 リーフとエールとニコラが話を進めている中クラリスは取り残されていた。


「あの、私には聞こえないんですが……」

「クラリスには無理よ。人が耳をすませて聞こえる音じゃないもの。」

「でも、それがワタシたちの体内に入ったって事は……」

「大丈夫よ。私とクラリスがいる以上樹木の加護で徐々に浄化してるから……」


「「あっ!」」

その言葉にリーフもクラリスも大声を上げた。


「フロール、今すぐウールを呼んで!」

「えっ、分かりました。ウール!」


つむじ風が起こりウールが現れる。


「「やっぱり!」」

「ちょっと、どうしたのウール⁉︎」


 リーフとクラリスの予感は的中しており、何が何やら分からないフロールは叫びを上げた。

 ウールの指先、顔は瘴気に蝕まれて黒く変色していたのだ。呼吸も絶え絶えである。


「急いで応急処置するわよ。まだ間に合うから!クラリスは浄化魔法、フロールは回復魔法を!」

「分かったわ!」

「はい!」


 リーフの指示にクラリスとフロールは急いで浄化魔法と回復魔法をウールにかけた。


「エールとニコラは火を強めて、体温を奪われると身体の中の瘴気が強まるから!」

「「任せて!」」


 リーフはエールとニコラに指示を出してウールの治療にあたるのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は11月14日の15時です。

お楽しみに!


宜しければ、ブックマークと評価よろしくお願いします。

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