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34歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ。

「ふぅー、よし完成!」


 クラリス、エール、ニコラの3人でテントを張り終わった。

今まではクラリス1人で張っていたので3人でやれば結構早く終わった。


「それでは、ワタシは木の枝を集めて来ますね。」

「エール、その必要ないよー。リーフ。」

「はいはーい。」


 エールが木の枝を取りに行こうとしたのをクラリスが止めた。代わりにウールの隣で休んでいたリーフを呼んだ。


「リーフお願い。」

「任せて、」


 そう言うと、リーフは手に魔力を込めて地面に向けた。

すると……細い木がニョキニョキと生えてくる。


「こ、これは……」

「す、すごい……私も使いたい!」

「無理よ、これは樹木の妖精とその契約者だけよ。」

「という事は、クラリスさんも使えるの?」

「もちろん。初歩の初歩だからね。」


「何言ってるのよ、クラリスはこの初歩がなかなか出来なかったのよ、しかも使えたと思ったら暴走するし、この子大丈夫なのか心配になったわよ。」


 エールとニコラがクラリスをジト目で見てくる。クラリスはなんのことやらという表情をしていた。


「ねぇ、他にはどんなことあったの?」

「他にはねー……」

「わあああーー!謝るから言わないで!」


 ニコラはリーフにクラリスの過去を聞き出そうとしたがクラリスが泣きながら止めるのであった。


「分かった、分かった言わないから泣かないでよー。」

「うぅー……」

「クラリスさんって意外と泣き虫ですね。」

「ほんとー、意外。」


 泣いてるクラリスをリーフが慰めてるのを見てエール姉妹が驚いていた。


「この子は昔から泣き虫でねー、負けたり、失敗したらすぐに泣いてたのよ。それでもここぞって時は1番前で戦ってくれるのよ。頼もしいでしょー」


 リーフの言葉にやれやれという顔でエールとニコラがクラリスを見ていた。


「今の姿では頼もしさのかけらもありませんね。」

「あはは……でも、確かにクローズと戦ってる時はカッコよかったもんね。」


「ギャップがありすぎるんですよ。」


 そんな2人に休んでいたフロールとウールが話しに加わる。


「それでも、そんなクラリスさんだから私たちは付いてきたんでしょ?」

「そうそう、優しい人は涙脆いのよ。フロールもそうだもんねー。」


「余計なこと言わないのー!」

「いひゃいいひゃい……」


 フロールは口が過ぎるウールの頬っぺたを摘み上げるのであった。


「さてと、クラリスさんはリーフに任せて、私たちは夕ご飯の準備しましょう。エールさんとニコラさんはお料理出来ますか?」


「ワタシは出来ますが……」

「私もできるよー」


 フロールはエールの引き攣った顔を見て何かあるのだと悟った。


「エールさんどうしたんですか?」

「お姉ちゃん、どうしたの何か心配事?」


「ニコラ、あなたの料理は焼くだけでしょ、それじゃあ料理が作れるとは言えないのよ。」


「なんで?生物(なまもの)は焼けば食べられるでしょ。」


 この言葉にフロールは……

(あっ、この子クラリスさんタイプだ……)

と気づいた為、少し考えて。


「ニコラさんは今日は休みにしておきましょうか?2人居れば大丈夫ですからね。」


「えー、それならお姉ちゃんが休んだら疲れてるでしょ?」

「ふふふ。心配ありがとう。大丈夫よ。ここはお姉さん達に任せてウールさんと遊んでなさい。」

「はーい!」


 ニコラは返事をするとウールと共にテントの中へ入って行った。ウールもさっきのニコラの発言を聞いていたので率先して遠ざけてくれたのである。


「流石お姉さんですね。妹さんの扱いが上手いです。」

「そりゃー50年も姉妹をしてれば慣れますよ。それで何から始めますか?」


「そうですね。まずは鍋に水を入れて沸かしますので火を起こして下さい。水は私が魔法で出します。」

「分かりました。」


 そう言うと、エールは先程リーフが出してくれた木を手刀で切り分ける。そして、薪にしてしまうとブレスで火を起こした。


「出来ましたよ。」

「改めて見るとやっぱり凄いわね。エールさんは私にはそんな事出来ないもの……」


 フロールはそう言いつつ水の入った鍋を火の上に置いた。


「ふふふ。それでいくとワタシも魔法で水を出せませんからフロールさんが凄いと思いますよ。」


「お互いにこうやって支え合ってこれから旅を続けて行くんでしょうね。私たち……」


「そうね。そして何故か分からないけどたぶんまだまだ仲間が増えそうな気がするわ。」


「私もそんな気がします。そして、長い旅になる気もします……」


 フロールとエールはリーフに膝枕をしてもらってるクラリスを見てそう思えて仕方なかった。


「そういえば、フロールさんはいくつなんですか?」

「私ですか?私はですね。生まれて100年前後ですよ。エールさんより少し年上です。」


「そうなんですね。ではウールさんは?」

「あの子はエールさんと同じくらいだと思いますよ。仲良くしてあげてくださいね。」

「はいもちろん!」

「ふふふ。じゃあそろそろ野菜とお肉を切りましょうか。」


 水が沸騰してきたのを見てフロールは料理の続きを始めた。


「ワタシは何をしましょうか?」

「エールさんは火が使えるので私が切ったお肉を焼いて塩コショウで味付けしてもらえます?私はその間に野菜を茹でますので。」


「分かりました。」


 そうしてフロールは野菜を茹で上げると、一旦水を捨ててもう一度沸かし麺を茹でる。その間エールは茹でた野菜とお肉をフライパンで混ぜながら炒める。そして最後に麺と野菜とお肉を混ぜて再び炒めるのであった。


「皆さん出来ましたよー!」


 フロールがそう言うとクラリス、リーフ、ウール、ニコラが集まった。

「それじゃあ食べましょうか。」

「はい!」

「「「「「「頂きます!」」」」」」


 こうして初めての6人での夕食を楽しんだクラリスたちであった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新は11月10日午後21時です。お楽しみに。


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