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29歩目

お待たせしました。


それでは本編をどうぞ!

神龍……それは神話に出てくるドラゴン。


そして、創造神唯一の失敗作として伝えられている。

その見た目は通常のドラゴンとは違い、通常種よりひと回り大きく、日に当たると黄金に輝き、月の光に当たると白銀へと見た目を変えた。何より知性に優れていた。神龍は創造神が最後に作った生き物だった。それゆえに人やエルフ、妖精、魔物、そしてドラゴンの生体や知性を作る段階で組み込まれていた。そして、その他の生物の助けになる様に魔力の保有量も力も通常種のそれよりはるかに上回っていた。


それが何故失敗作と言われたのか…それは……

誰にも制御が出来なかった事だった。創造神ですら暴走した時の制御をする事が出来なかったのだ。

暴走した理由は諸説あるが、もっとも有力な理由は地上にいた全ての生き物に絶望したからと言われている。

自分が守ろうとした者同士が争いどちらについていいか分からなくなった神龍は全てを破壊する事を決めたのだった。

神話の中では、誰も倒す事が出来ず。その為、神々が封印したとされている。それでも多くの犠牲者が出たのであった。


「ちょっとクラリス、無理に決まってるでしょ!」

リーフの一喝にクラリスは淡々と答えた。

「無理なのは百も承知よ。でも、私が戦わないとみんな死んじゃう。私は不老不死…死ぬ事がないわ。それなら私が前に出るしかないでしょ!」


クラリスは言うや否や神龍となったクローズに立ち向かうのであった。


「もぅ…あの子ったら!」

「リーフ、今はクラリスさんを信じましょう。私たちはなるべく早くみんなを避難させて、すぐにクラリスさんの助けに行きましょう。」

「……あーもう!しょうがないわね、後でクラリスには文句めちゃくちゃ言ってやる!」


リーフは悪態をつきながらも放心状態のエールとニコラを離れた場所へ避難させた。


「バースさん!」

クラリスは砂煙が舞っている闘技場にて、倒れていたバースを見つけた。

「ほっほっ…少し油断したの。ワシもまだまだじゃの…」

「何言ってるんですか⁉︎頭から血が出てますし、右腕が…」

「おお…通りで右腕の感覚がないわけじゃな。」


バースの右腕は消し飛んでいたのだ、そこからはおびただしい程の血が出ていた。

「少し待って下さい。今止血して回復魔法をかけますから。」

「クラリスちゃん…頼みがあるんじゃ。」

「それは後ででお願いします。今は傷を治す事を優先させてください。」

「ワシのことはもう良い…それより里の者を頼む…ワシが片腕を失ったのはもうクローズは知っておる。ならばこの砂煙が薄まれば止めを刺しにくるじゃろ…じゃから…」


「チッ、砂煙で何も見えねー…まぁいい。身体に魔力が馴染んできてるのが分かる。元々あった様なこの感覚…これが待たせた結果という訳か…」


クローズは上空から砂煙の舞う里を見ていた。


「煙がはれたらフルパワーでバースの野郎とあの人間ども、そして逆らってきた穏健派と中立派。全て殺してくれよう。ははははー!」


高笑いをするクローズがそこにいた。そして砂煙を割いて現れる者が居た。


「クローズ!あなたには死んでもらいます。覚悟してください。」

クラリスである。

「なんだ貴様か……という事は、バースは死んだか。」

「……」

「その反応は図星の様だな!フンッ、案外呆気なかったな。はーはっは!」

「アンタだけは許さない!はーー!」


クラリスは魔力弾数発をクローズへぶち込む。


「フンッ効かんわ。」

もちろんダメージを与える為ではなく、撹乱などの一手に過ぎない。


「流石に硬いわね…」

(やっぱり油断してくれた。)

「貴様の攻撃は緩い(ぬるい)。攻撃とはこうするのだ!」


クローズは口から赤い閃光のブレスがクラリスに向けて放たれた。それをクラリスはなんとか避ける。しかし、行動が読まれていた為、クローズに先回りされた。


「フンッ!」

「ぐっ…」


クローズは腕をクラリスに向かって薙ぎ払った。クラリスはなんとか木刀2本作り出し重ねて守った。更に腕が飛んでくる方向と逆に避ける事でダメージを軽減させた。

しかし、それでもクラリスの腕は痺れてしまった。持っている木刀にも力が入らず落としてしまう。木刀はクラリスの魔力から出来た物なので手から離れた瞬間消えていった。


「その巨体でなかなか速いわね。」

「フンッ、時間稼ぎか…分かっているぞ、貴様の腕が両方使えないことはな!」


再びブレスを打つ為に口を開いた。

(まずい…死ななくてもアレを喰らえばひとたまりもない…)

クラリスはそれでも諦めず防御魔法を詠唱し始める。

しかし!


「ゴフッ!」

「えっ?」


いきなりクローズの首が跳ね上がったのだ。クラリスは何が起こった変わらず少し混乱した。


「私たちの里は…」

「ワタシたちで守ります!」

「…ニコラ……エール!」

「私たちの里です。クラリスさんだけに戦わせる訳にはいきません!」

「里のみんなに酷いことしてワタシ怒ってるんです。クローズ、あなたを倒します。」

「2人とも逃げて……アイツは生半可な強さじゃないわ。私が時間を稼いでる間に…いてっ!」


クラリスが喋っていると後ろから誰かに小突かれた。


「だ、誰?」

「私よ!全く無茶苦茶して!フロールもウールもカンカンよ!」

「リーフ!」

「フロール達は里のドラゴン達の治癒に当たってるわよ。あと2人からクラリスが元気そうなら1発殴っておいてと言われたからやっといたわ。」

「フロールまで!……これは後からの方が怖いのかも……」


クラリスはこの戦いの後の方が怖いのではと思ってしまった。


「私も怒ってるわよ!終わったら覚悟しなさいよね。」

想像が確信へと変わるのであった。


「おのれ…小娘ども……」

「さぁ、第2ラウンドよ!」

4人は戦闘体制を取るのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

次回更新を変更します。


時間は10月31日午後6時です。すいませんがよろしくお願いします?


宜しければブックマークと評価をよろしくお願いします。

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