28歩目
お待たせしました。
それでは本編をどうぞ!
「おぬし、また迷惑をかけておるのか……」
「偉ぶりやがって、今日こそ、お前を殺す。」
「そう言っていつも返り討ちにあっておるじゃろうに、まぁよい、クラリスちゃんたち客人にまで手を上げる者を許しておいてはこの里の恥じゃ、しばらく動けぬよう仕置きをしてやろう。」
そういうと、バースの魔力が身体の表面に現れる。
「嘘、あれ…魔力なの。」
「ドラゴンならあれくらいは出来るわよ。でも、バースさんのはみんなのとは桁が違うよ。」
驚いてるニコラにエールが解説してくれた。
「2人ともこっちにもっと寄って、防御魔法展開するからしっかり入ってて、リーフは結界の増幅魔法をお願い。」
戻って来たクラリスがみんなを守る為に結界を展開させて守りを堅める。準備を終えるとバースさんに合図を出す。バースはクラリスからの合図を見るとクローズに攻撃を仕掛けた。
「フンッ!」
「ぐはっ!」
バースは人の姿のままドラゴンの姿のクローズに飛び込んで一撃を入れる。
だがクローズも直ぐに体制を立て直し空へと逃げる。
「逃がさぬぞ!」
「なに⁉︎」
「せいっ!」
「ぐああー…」
バースの鉄拳によりクローズは地面に叩き堕とされた。そして、地上にいたクラリスたちは砂煙に襲われた。
「ゲホッ、ゲホッ!凄い!ニコラさん以上の速さとパワー…そしてあの跳躍力。さすが最強のドラゴンですね…」
「私たちも本気のバースさんは見た事ありませんでしたからどのくらい強いのかは想像でしかありませんがここまでとは…」
フロールとエールはウールとニコラを抱き抱えつつバースの戦闘力に驚いていた。
「いいえ、まだまだウォーキングアップですよ。バースさんはまだ本気じゃない…」
クラリスの言葉に5人は絶句した。
「クラリス、アンタ私が居ない時にバースさんと戦ったの?」
「戦ってはいないわ。共闘したの……そして、あの時よりスピードは落ちてるけど、キレは上がってる。だからまだ本気ではない事はわかるの。」
「でも、クラリスとバースさんが共闘したのって150年前でしょ?流石に衰えてるわよ。」
リーフの指摘に無言になるクラリス。そして再びバースとクローズの戦闘に目を向ける。そこにはゆっくりとバースが空から戻って来ていた。
「おぬしが人を嫌っておるのは知っておる。じゃがな、関係の無い者にまで危害を加えるなといつも言っておるじゃろ。あの子たちはニコラを救ってくれた恩人じゃ、何も知らなかったとはいえ里の者を救ってくれた人間に対し貴様の行為は非道としか言えん。」
そこで一旦言葉を切ってクラリスたちの方を見た。
「クラリスちゃん、すまぬことをした。この者にも謝罪させる。なので許してはもらえんか…?」
「はぁー?何を言って…」
バースの言葉にリーフが何か言おうとしたがクラリスが手で制した。
「私は良いので、エールとニコラに謝ってください。それで私は許します。私の事は気にしないでください。」
それを聞いてバースは会釈をした。
「ああ言ってくれておる。今謝れば許そう。じゃがそれも出来ぬ様なら…今ここでお前を殺す。」
(クソ、クソ!身体が動かねー…)
「身体を動かそうとしている様じゃが、無駄じゃよ、わしが打ちこんだ場所は一時的に身体全体を麻痺させるツボの様なもんじゃ、2、3日は動けんぞ。さぁ、答えを聞こう。」
(クソが!人間とその辺の雑魚ドラゴンに頭を下げるくらいなら死んだ方がマシだ!)
クローズはそんな事を思っていると、昨日の事を思い出す。
『この薬を飲み、この呪文を心の中で唱えればあなたは覚醒します。』
『フンッ、じゃあもう飲んでおこう。そして、この呪文だな。』
『ええ、効果はあなたが死ぬまで続きます。つまり発動すれば元のあなたには戻れません。それを覚悟して下さいね。』
『弱くはならないんだろ?ならばより強い俺を手に入れられる。やらない手はないだろ?』
クローズは貰った瓶の魔水を一気に飲み干した。
『それでこの呪文を唱えれば良いんだよな?』
『ええ、ですが。まだ使わない方がよろしいかと…』
『はぁ?何言ってんだテメー!』
クローズは殴りかかる勢いで青年を問い詰めた。
『今のままだとまだ完全に身体には行き届いていません。それなら少し時間を空けて、クローズさんがピンチの時に使って、相手を動揺させその隙に殺してしまえばいいのでは?幸いクローズさんの脅威は1人だけの様ですし。』
『フンッ、なるほどな。で、何時間くらいで行き渡るんだ?』
『あの月が沈み、日が昇る頃には行き届いてるかと。』
『そうか、ならばそれまでは休むとしよう。』
(今がその時じゃねぇーか!)
「無言か……プライドを捨てきれず、命を堕とすとは哀れな……」
バースが拳を振り上げた時、クローズの口元が動くのが見えた。
「我は神なり…」
「ようやく謝る気になったのか?」
バースにはクローズの声が聞こえておらず、謝罪と勘違いして拳を戻してしまった。
「我は崇高なドラゴンなり、我は崇高な神なり…」
「何を言ってあるのじゃ…」
明らかに謝罪の言葉ではない事に気づきバースは再び拳を振り上げたが遅かった。
「我は崇高な神龍なり!」
クローズの呪文が終わる方が早かった。そしてその瞬間物凄い竜巻が里を襲った。クラリスたちは結界の中にいた為無事であったが里はめちゃくちゃになっていた。
「なんてことを…」
「こんなことって…」
エールとニコラは里の惨状をみて言葉が出なかった。
そして、さっきまで地面に這いつくばっていたクローズは空高く飛んでいた。
「何よあれ…」
「黄金のドラゴン…」
「あれは、神龍…」
ウール、フロール、リーフは空にいた黄金のドラゴンを見て恐怖した。そしてクラリスはというと。
「3人ともエールとニコラと一緒に里のドラゴン達を避難させて、怪我したドラゴンには回復魔法使って逃がてあげて。私はアイツを止めるから!」
クラリスはそう言うと剣を抜き構えるのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
次回更新は10月31日の12時です。
お楽しみに!
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