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34. 漢字多めの話し言葉

 漢字多めの話し言葉。

 熟語を多用する口語。


 言い換えてみましたが、わかります? 厳密な言い換えではありませんが、なんとな〜く同じことを言っていますよね。なのに印象がちがう。

 まあ、「漢字多め」とかいいながら、どちらの文も漢字は6文字になっちゃいましたが。それはちょっと例文のチョイスを間違えました。例文が例になっとらん。


 でも伝わりますよね? 「多め」は柔らかく、「熟語」は硬く響きます。


 こういうの、小説を書くときにはかなり意識するかと思うのですが、普段のおしゃべりで常に意識している人は少ないんじゃないかと思います。少なくとも私はいちいち気にしてません。自然に出てくるものです。たぶんみんなそうなんじゃないかな。ちがうのかな? みんな、もっと頭使ってしゃべってるのかな?

 えーとね。私は考えながらしゃべるのが苦手でして。だからひとりごととか言えない。言おうと思って言うものじゃないだろうけど。

 ちょっと話がそれちゃったけど、私にとって話し言葉は、書き言葉と違って、自然に出てくるものってこと。


 だから話し方に個性が出るし、そこに好悪の感情も出てくる。そう思うんですね。もちろん声質や抑揚とかも好きな感じがありますけども、今回は言葉に絞ってみます。


 たとえば、そうですねぇ……。

 私だったら「明日考えるね〜」と言うところを「明日検討する〜」と言われると、おお!かっこいい!と思います。検討なんて言葉、私は書き言葉でしか使わんよ!

 さらっと熟語が出てくるのって賢そうです。……てか、もうこの発言が賢さゼロですね。


 ものすごく感覚的な印象なのですが、熟語を使う人は論理的な考え方をする人が多い気がします。なので、小説を書くときでも、デキル人には熟語とか漢字多めでしゃべってもらいます。逆にやわらかな印象の女性キャラには感じ少なめで。和語と漢語の違いといいますか……。


 そういうのを意識して書かれている方は多いと思うのですが、それでも地の文には作者の個性が反映されていたりしますよね。実際にお会いしたことのある方も結構いらっしゃいますが、書かれる文体とイメージの異なる人はほとんどいませんでした。書き言葉と話し言葉の印象がちがう!と思ったのは、たぶん一人だけです。


 特に、小説ではなく、コメントやメッセージ、ツイッターなどでお話した印象はまず変わりません。文体ってすごいですよね。人が得る情報の8割は視覚情報だっけ? なのに、声質でも口調でもなく、その人が選んで発する言葉が強い印象を形づくるんですよ。


 ……えっと。で、なんだっけ?


 ああ、そうだ。漢字多めの話し言葉でした。

 いつの間にか書き言葉の話をしておりました。


 考えながらしゃべるのが苦手と言いましたが、考えながら書くのも苦手でしたね。それって、考えるのが苦手なんじゃ……?

 なんかもうねぇ、集中力がなくって困りますわ。すぐ意識がふらふら~とどっかに行っちゃって。ちょうちょみたいな感じですかね。花から花へと……って、だから、そういう話じゃなくて。(こうして話が長くなる)


 やっぱねぇ、あれですよ。自分にないものに魅力を感じるってやつですね。私がこんな調子ですから、理路整然と論理的に話す方に出会うと、おお!と思うわけですよ。そういう話し方って、えてして熟語が多いんですよね。(どうだ、話がもどったぞ! えへん!)


 理路整然、論理的、というと、シャープなイメージがありますが、話の中で熟語が多く使われると、骨太な感じがします。


 そして、ここからが大事なのですが、それを話し言葉で使うってかっこよくないですか?

 だって、書きながらならともかく、リアルタイムで熟語が出てくるってすごい。話すときって仕事相手でもない限り、ほとんど無意識で言葉を選んでいますよね? 

 ということは、普段から熟語が似合う考え方をしているということになるわけで。そう、そこ! そこなんですよ! 発する言葉に熟語が多いということ自体よりも、熟語が似合う、漢字多めの考えをしている人間性がかっこいいと感じるのですよ! けしてきちんとしているという意味ではなく……うん、そう、骨太な感じね。まさに漢字が多く並んだ文章の字面。そういう線の多い字面を目にしたときの印象にグッとくるんです!


 ねぇ、わかる!? 伝わっているのかなぁ?


 ああ、私も漢字多めで話す人のように、漢字多めで語ることができたらきっと伝わるんだろうなぁ。無念。

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