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月に行く④

俺達はイブの本体が有る、宇宙戦艦を見学させてもらう為に最初に訪れた宇宙船ドックに向かっていた。


「天照様、ちょっと聞きたいんだけど、この月って確か地球より重力が小さいと思うんだけど?」


「この施設はほぼ地球と変わらない重力に調整してあるからね」


「そんな事出来るんですか?」


「重力制御技術が確立してるんだよ」


「こんな大きな施設全体の制御が、出来るのってすごいですね」


「重力制御、ナノマシーン技術、核物質除去技術、宇宙開発などコア技術は秘匿するけど、レイジさんの会社で売り込んでもらうつもりだから。


「そんな物公表したら余計に戦争が起こってしまうんじゃ無いの?」


「だからコア技術部分はブラックボックス化させた製品を売るんだよ。色んなところからちょっかいを掛けてくるだろうけど、隠れてる悪意を炙り出すのに丁度良いからね」


「そんな事になったら、家族が危険に晒される未来しか見えないんだけど」


「そこでイブと鬼人達が居るんじゃないか。ちょうど着いたな」


目の前には巨大なサーフボードを厚くしたような真っ白な宇宙船が有った。


それにしても大きい、タンカーを見た事が有るけどそれより絶対に大きいと思う。しかし戦艦って聞いてたけど見えるところに砲門は無いし、宇宙船って言ったら色々ごてごてとついてるかと思えば、表面はつなぎ目どころか傷一つ無い。SF映画で見る宇宙船とはあまりにも違うな。


「宇宙船って円盤じゃ無いんですね?」


「円盤なんて効率悪くて採用してる星なんて無いわよ、昔遊びで作った円盤型宇宙船事故でアメリカに重力エンジンが渡ったけど、その時からUFOと呼ばれる物が円盤になったのね。渡ったエンジンは未だに解析出来てない様だからほうって置いたけどね」


「それってロズウェル事件の事じゃ無いよね?」


「事件の名前までは分からないけど、バイオロイドが数体壊れた様だが旧型だった為に回収も行われなかったようだね」


「地球に干渉しない事にしてるのに、なんでそんな事してるの?」


「彼らは悪戯好きだからな」


「今は月に居ないんですか?」


「彼らは他の銀河に向かってしまい、今では連絡も出来ないよ」


「そうなんですか」


それから宇宙船の中に入るとイブが出迎えてくれた。


『レイジにシルフィー、我が船にようこそ』


「イブの船はすごいな」


『詳しい話がしたいのでブリッジに案内しますね』


「頼む」


ブリッジにはやはり不思議な床に乗って自動で案内してくれる様だ。


「イブ、この船の名前は?」


『イザナギです』


「ブリュンヒルトとかもっとカッコ良い名前が良いのに」


『レイジさんはイザの王に成って、この船の所有者に成ったのですから、変更も可能ですよ』


「変えなくても良いよ」


ブリッジに着くとそこには、ホログラム映像の魔女っ娘姿のイブが居た。


「イブ、その恰好だと威厳も何も有ったもんじゃないな」


『この姿は趣味ですけど、仕事はちゃんとしますからね』


「頼むよ」


『早速ですが、中国から工作員が入って来てますので、情報省に写真とプロフィールを送っておきました。後日連絡が有ると思いますので、私と一緒に対応をお願いします』


「もうイブに直接連絡が取れる様にしてくれないか?」


『それをするには私の戸籍が必要ですが、情報省がレイジさんに張り付いているので、私が戸籍をいじっても記憶まで変えられないから難しいですね』


「そんな事したら大騒ぎになって新婚旅行に行けなくなっちゃう。それは嫌だから止めてくれ」


『でも地球の周回軌道には向かいますけどね』


「そんな事したら大騒ぎになるんじゃ無いの?」


『大丈夫よ、感知すらさせないから』


「何の為に地球に?」


『どこかの国が攻撃して来たら、反撃する為よ』


「この船って砲門が見えないけど、攻撃力ってどれくらい有るの?」


『地球のすべての兵器を相手にしても、10%の出力でも傷一つ付きませんよ』


それから船の中を案内してもらい、鬼人の里から乗って来た宇宙船と同じ船を貰って、次元収納にしまった。


帰りにそれに乗って帰っても良いのだけど、せっかく九州まで来たのにうどんしか食べてないし、博多で美味しい物食べないで帰るなんて考えられないので、帰りも十兵衛さんと一緒に帰る事にした。


しかし、色んな所に居るバイオロイドの皆さんは同じ顔なんで、何か落ち着かない。


それから色んな船を見せてもらい、時間切れになって十兵衛さんたちと一緒に帰って来た。九州は雲に覆われていて、光学迷彩で見えなくしていても雨は当たるので目立ってしまう為に帰りはかなり時間が掛って、何とか無事に着けた。


帰りが思ったより遅くなってしまった為、予定していたホテルをキャンセルして、半十郎さんの家にもう一泊させて貰う事に。


急な宿泊なのに、今日もご馳走を用意し貰い、シルフィーと美味しくいただきました。


しかし、俺はシルフィーを美味しく頂くことが出来なかった。せっかくホテルで良い部屋取ったのに、残念。













友達の結婚式が延期に成ってしまった。コロナ恐るべし。

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[一言] 続きが読みたいです。更新をよろしくお願いいたします。
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