月に行く③
マスクが無くなりそうで困った。今日探し回ったけどどこにも無い、あと5枚しか無いんだけど会社休む口実に成らないかな。
アトランティス文明は、地球ではまだ人類が誕生したばかりの頃、我々と違う星からの移民が、誕生したばかりの人類との子孫を作り文明を与えたけれども、元々地球に誕生した人類は闘争心が高かった為に、文明を与えた者に戦争を仕掛けて滅ぼされたらしい。
そのせいで、地球で我々の連合が子孫を残す時は、扱い切れない技術と魔法技術を与えない事が決められたらしい。
日本人の祖先にあたるイザ国はかなり遅れて地球に来たために、その決まりを守って日本に子孫を残したようだ。
「でも、今更なんで俺に教えてくれるんだ?」
「前にもちょっと話したと思うけれど、人類が滅亡の危機にあるからよ。それに我々イザとしては、レイジさんにはナギをシルフィーさんにはナミを継いでもらう事を決めたからよ」
「何だよ、そのナミとかナギとかって?」
「ナギとは日本で言えば王で、ナミとは女王なのだ」
「そんな滅んだ国の王だの女王だの貰ったって、意味なんか有るのかよ?」
「元々地球は色々な星の文明が居る為に、どうしても一つには成れない。我々は同じ過ちを犯さない為に様々な星の遺伝子を持つ人間を作り繁栄を願ったけれど、闘争心と民族意識が強すぎて、肌の色やちょっとの違いで搾取や差別が横行する世界に成ってしまい、それでも成熟してくれば治まるだろうと見守って来たが、滅亡へのカウントダウンが始まってしまった。そこで地球から16光年離れたところに地球とほぼ同等なテラフォーミング済みの惑星が有るので最悪移住してもらい、そこでイザの再興をお願いしたい。
ただ、連合での決まりもあるので、地球の滅亡も阻止して頂きたい」
「それじゃあまた、レイジさんを働かせるんですか?もうレイジさんを無理矢理働かせないで下さい」
「シルフィー、俺は大丈夫だよ。地球は俺の産まれたところだし。それに家族や友人が居るから多少は働くよ、それに今はシルフィーが居るし未来の子供の為にもな」
「我々もレイジさんを一人で働かせる事はしない。もし、失敗しても移住出来る星が有れば不安は無いでしょう?」
「確かにイブが手伝ってくれるからな、安心だ」
『有難う御座います。レイジ様。これからも精一杯お手伝いさせて頂きます』
「あれ?イブの声?」
「イブは元々イザ国の旗艦のAIで、今はイザ国の議会に席を置く、AIなので月には本体が有りますよ」
「へぇ~イブの本体って旗艦って事は宇宙船なんだ」
「そうですよ、後で案内しますね。それよりこれからの事を話しましょう」
それから、まだ確定では無いが地球の未来の事を聞いた。
オリンピックで核テロが起きる未来から、あるウイルスの蔓延により世界恐慌が起こり。日本は隣国から戦争を仕掛けられ、台湾をめぐる戦争にも巻き込まれて大戦争に発展する。そして沈黙を守っていたロシアのプーチェンが皇帝に即位してロシア帝国が復活する。そして、滅亡へのスイッチが押され人類の殆どが死滅する。
滅亡の切っ掛けは都内で起きる核テロだ。そして対馬侵攻からの戦争。すでに中東では戦争が起きており、アメリカの日本の戦争への対応が後手後手に回ってしまい、それを見た中国が台湾進攻をして世界はもう収拾がつかない状態に成り、皇帝に即位したプーチェンがヨーロッパに戦争を仕掛けた。
もう中東は始まってるから、対馬防衛と核テロを抑えれば延命は出来る。
「でも何でそんなに未来が変るの?」
「それはレイジさんが潰した研究所が有ったでしょう?あそこの会社でウイルスの抗体を作れたのよ。それが潰された事により、本来中国に有る研究所で抗体が造られるはずだったのが、無く成ってしまったの」
「じゃあ、技術有るんだから日本で作らせちゃったら?」
「それには賛成だけど、日本は作っても直ぐには承認されないから、承認されたころには世界で7万人の死亡者だして経済はボロボロよ」
「なんでそんなに死亡者を出す事態になったの?」
「実際に発表される死亡者数はもっと少ないわ。検査しないからインフルエンザで死亡したとされた人は大勢いたし、検査しなければカウントされないからね。それに最初に発生した国への忖度で誤魔化したところも有るからね」
「それで俺は何をすれば良いの?」
「会社を創るから社長をやってもらいたいの。それで最初の仕事が関西特殊化学の海外流出阻止。
あの会社は新しいステルス塗料が有るし、まだ利用価値が解っていないが空気抵抗が抑えられる特殊塗料が有るは。あの会社が中国に奪われれば兵器技術でアメリカに勝ってしまい大変な事に成るは。
それにアメリカを牛耳ってた者たちも中国に加担し滅茶苦茶よ」
「そんな会社だったんだ」
『レイジ様、大丈夫ですよ。もう捕まった社長の家族で持っていた株はこちらで取得する事が決まりましたし。社長の借金の53億は肩代わりして返済して起きましたので』
「マジで仕事早いね、イブは」
『ただ、ちょっと逆恨みでレイジ様に賞金が掛かりました。テヘペロ』
「ふざけんなよ、何がテヘペロだよ、これから結婚式も有るのにふざけんなよ」
『大丈夫です、命令を出した者も実行しようとした者も消えてもらいますので。それでも、収まらなければ軍上層部に星が降るでしょう』
「天照様、イブがこんな事言ってるけど本当に大丈夫?」
「大丈夫ですよ、そんなに大きな隕石落としませんし、ついでにあの地域の大気を浄化する隠れ蓑に成るから一挙両得ですね」
俺、すげー不安しか無いんだけど、本当に大丈夫なのか?もっとまともな人が管理してれば滅亡なんて無かったんじゃ無いのか。




