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シルフィー実家に行く

俺は入院以来起きるのが早くなった。目覚めて隣でシルフィーが寝息を立てているのを見ると、なんだか心が安らぐ。


シルフィーには朝起こしてって言われてるけど、すやすや眠る顔を見てしまうととても起こそうとは思えない。


そんな俺は起こさない様にそっとベッドから抜け出す。何時もそのままシャワーを浴びて朝食の準備をする。


今日は俺がシャワーを浴びて出ると、シルフィーが頬を膨らませてぷんぷん怒ってる。


「もう、どうして起こしてくれないのですか?」


「まだ、朝早いから寝てて良いんだよ」


「ダメです。私が寝ているとレイジさん朝食作っちゃうじゃないですか」


「シルフィーはお城で料理なんてしたこと無いんだから徐々にできる様になれば良いんだよ」


「ダメです。そんな事言ったら何時まで経っても覚えられません」


「分かった分かった。シャワー浴びてきたら一緒に作ろう」


「絶対ですからね。待ってて下さい」


シルフィーがシャワーを浴びている間に俺はコーヒーだけ入れ、テレビを見て過ごす。


『レイジ様私のお願いした事忘れてませんか?」


「イブおはよう、お願いってなんだっけ?」


『忘れてると思ってました。秘密がバレない地下室の有る家が欲しいっと言ったじゃないですか」


あ、忘れてたそんな事言ってたな。


『あ、忘れてたじゃないですよ、私がリストアップしておきましたので決めて下さい。不動産取引はネットだけじゃ出来ませんし、それにご希望もあるでしょうから』


「そうか済まない」


『それとかなり資産は増えましたので見ておいて下さい。あとシルフィー様にスマホを持たせて下さい』


「分かったけどなんでシルフィーにスマホ?」


『スマホが有れば何か有った時私がフォローできますから』


「分かった今日買うよ」


それからシルフィーと一緒に朝食を作った。まっ朝食なんで俺がスクランブルエッグとベーコンを焼き、シルフィーには買って有ったポテトサラダをお皿に移してもらったり、トーストをトースターからお皿に乗せてもらうだけだけどね。


俺はもともと料理は苦手では無い。働いて居た時は休日くらいしかしないけど朝食べるカリカリベーコンは大好きだ。


カリカリベーコンって家だと難しそうだが実はちょっとした裏技で簡単に作れるのだ。ベーコンの表面にちょっと砂糖をまぶすして焼くだけ。たったそれだけなのだが砂糖がカラメルに成り見た目も良いし味も甘塩っぱく成って美味しい。


朝食も食べゆっくりしてから、スマホと実家に持っていくお土産を買いに出かける。


スマホを買って使い方を教えるが直ぐにイブがシルフィーのスマホに入ってきて、元々入ってるAIよりなんでも出来てしまうので教える事が無くなってしまった。


ちょっと早いが青山のマカロンが有名な店でケーキを買って実家に行く事にした。


実家は兄が結婚した時に隣の土地を買い増し二世帯住宅を建ててから俺は用が無ければ行く事は無かったし、親父に会いたく無いのでほとんど寄り付かなく成っていたので久しぶりの実家だ。


インターホンを押すと玄関が開き母さんが仁王立ちにし待ち構えていた。


「ただいま……」


「レイジ、結婚したってどう言う事」


「初めてお目にかかります。レイジさんと結婚しましたシルフィーナと申します。今後ともよろしくお願いします」


青いフレアスカートに白いブラウスで膝を折り綺麗なカーテシーを決めた。


母さんは面食らって玄関に座り込んでしまった。


「シルフィーナさん初めまして。このバカ息子の母です。こちらこそよろしくお願いしますね」


「そんな事より早く上がらせろよ」


「さあさあ上げって」


「はい」


リビングにシルフィーを案内するが俺を廊下に一旦引っ張り出す。


「あんた、あんな若い子騙したんじゃないだろうね」


「そんな訳無いだろ」


「どうみてもまだ10代だよね、こないだ女子高生の如何わしいビデオ見つけたけど犯罪じゃないだろうね」


「あれは友達にたまたま貰った物で別にシルフィーの親にも許しをもらってるから」


「本当だね分かったわ信じる。ちなみにお腹には子供は居るの?」


「兄貴とは違うからまだ子供は居ないと思う」


何故か母さんに睨まれリビングに行くと妹とシルフィーが話していた。


「あっ、お母さんシルフィーナさんまだ18歳に成ったばかりらしいよ。レイにいって犯罪者だね」


「シルフィーナさん本当にこんな奴で良いの?」


「はい、レイジさんじゃ無きゃダメなんです」


リビングで何故か俺が責められていると親父が犬の散歩から帰って来ました。


「お前就職は決まったのか?」


「決まってねーよ。就職はもうする気が無い」


「ふざけるな、結婚するんだろどうやって生活していくんだ。金は貸さんぞ」


「結婚するんだじゃなくてしたんだよ。それに一生遊んで暮らせるほどの金ならあるよ」


「その金はどうしたんだ?」


「投資で稼いだんだよ、うるせーな」


「うるせーとは何だ親に向かって」


俺と親父が喧嘩に成っているところに兄夫婦と麗華ちゃんが2階から降りてきて兄に止められた。


「シルフィーの挨拶の為顔出したけど歓迎されて無いから帰るわ」


「あんた達いい加減にしなさい。お父さんも祝えないならどっか行って下さい」


普段絶対に親父に逆らわない母さんがスゴイ剣幕で怒り出した、珍しい事に親父もそれに従ってる。


不思議そうな俺を見て妹がこっそり教えてくれました。


「お父さんね、天下り先で暇だからどっかのホステスと浮気してたの。土下座して謝ってたけどまだお母さん許して無いの」


「マジ?」


「とっととお母さんも別れちゃえば良いのに」


仕事ばかりで家の事何もしてない親父には誰も味方がいないんだろうな、ざまーみろ。


俺たちはソファーに座りシルフィーと結婚までの本当の事を話した。


「レイにいテレビの見過ぎ」


「こんな話聞いても信じられないだろうけど、これ見て」


そして俺は皆の前で手から氷を作りだした。


「これが魔法だ!他にも色々使えるけどな。そうだシルフィー、母さん足を去年骨折してから痛むらしいから治してやって」


「はい、義母様痛いところを教えて下さい」


シルフィーは立ち上がり母さんの元に行くと。


「えっええ…膝が痛むのよね」


その言葉を聞きシルフィーが膝に手を当てる。シルフィーは俺が使えない聖魔法が使えるので、治療ができるのだ。


「義母様どうですか?」


「暖かいわ……ちょっと立っても良いかしら」


「ゆっくり立ってみてください」


母さんはゆっくり立ち上がるとその場で屈伸をして痛みが無い事に驚いた。


「痛く無い、痛く無い……シルフィーナさんありがとう」


「いえ良くなって良かったです」


「おまえ本当に異世界に行ってたのか?」と兄が真剣な顔で俺を見た。


「だからそう言ってるだろ」


「じゃあレイにいは16歳のシルフィーさんと婚約したのもホントなの?」


「ほんとだ」


「やっぱレイにいはロリコンだったんだ」


「なんでだよ」


「普通に犯罪でしょ16歳は」


「婚約しただけで何もしてないよ」


それから何故か母さんにまで責められその分シルフィーは可愛がられているから良いか。親父は完全に蚊帳の外だ。


「俺の大事なシルフィーに嫁いびりなんかしたら許さないからな」


「私はそんな事しないから、アロナさんとも楽しくしてるし」


「小姑もシルフィーをいじめるなよ」


「ここっ小姑って誰が小姑じゃ」


その後は母さんの料理で楽しい夕食に成ったが、しかし何を思い付いたのか母さんが突然。


「怜志、式は何時するの?家は?指輪は?」


「家は買ったけど指輪は忘れてた、式は決めてない」


「じゃあ今日は泊まっていって明日指輪を買いに行きましょう。それと式はシルフィーナさんのご両親やお友達を呼ぶ事は出来ないでしょうから、ハワイで身内だけでしましょう」


「披露宴は盛大にして俺の職場関係も呼ぶぞ」


「ふざけんな。ハワイで挙式は良いが親父の職場の人なんか呼んでやるか。そんな事務的な披露宴なんて絶対やらねーよ。兄貴の結婚式だって兄貴が会ったことも無い人間が居て親父見てて馬鹿じゃないかと思ったよ。兄貴の結婚式まで利用して出世したいのかね」


「あなたも怜志も黙ってて、披露宴はしなくていいわ」


「政治家や局長を呼べば今後の助けにもなるし」


「はーあ誰の助けに成るってんだよ。もう出世レースから外れて退官したくせに」


「怜志も余計な事言わない。俺の結婚式を悪く言うな。アロナの両親も喜んでくれたんだから」


「兄さんアロナさんごめん」


「話を戻すけどハワイで式はするのね、じゃあお盆休みに家族だけで行きましょう。お金は出してあげるから」


「シルフィーは俺と結婚式したい?」


「したいです~」


「そっかじゃしようか。それと金は俺が全額だすから良いよ」


それからシルフィーは母さんと妹とアロナさんと麗華ちゃんと楽しそうにしてたが、こっちは男3人で親父はヨークシャーテリアのキャンディーにまで逃げられ、1人寂しくテレビを見てるし、兄貴には目を輝かせて俺に異世界の話をしろとせがまれるしで帰りたい。



お読み頂きありがとうございました。

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