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きまぐれ★プレートテクトニクス 〜太平洋を横断した陸塊「大東島」〜  作者: 扶桑かつみ
引きこもりルート・戦後編

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441 Next Stage(2)

 ■21世紀序盤の日本の近隣関係


 日本とアメリカの経済関係は、アメリカ国債の保有量から見えてくるものがある。

 

 21世紀に入る頃、既に累計で約4000億ドルあった対外アメリカ国債の7割を日本が保有していた。つまり、アメリカの財政の一部を日本が支えていたことになる。

 米軍は日本の金で動いていると皮肉られたほどだ。


(神の視点より:数字は史実と同じとしたが、この世界の日本は史実の4倍の国力(経済力)があるので、史実日本の4分の1の規模しかアメリカ国債を買っていない。それだけ、史実ほどアメリカを重視していないし、日本の資産は国内に投資されている。)


 この頃、アメリカ国債を買う日本以外の国は、イギリス、ドイツ、共産中華(中華人民共和国)、ルクセンブルク、ベルギー、カナダなどになる。

 大抵は金融業を重視する国だが、大きな国力を有する日本のアメリカ国債保有量は他国を圧倒していた。

 1980年代は米ソ冷戦があるのでアメリカを支える為だったが、90年代半ば以後は手堅い金融商品として買われるようになった。


 一方で日本は、バブル経済の後遺症もあって90年代半ばから自国の国債を出してはいた。だが、国民所得に対する比率は限られていたし、殆どを国内で消化した。

 あまり海外に売りに出さないので、安定した日本債を出せと海外の投資家などから文句が出るほどだった。


 これが10年後の2010年になると、アメリカ国債の保有量で共産中華が大きく台頭してくる。

 共産中華の経済成長は近隣の日本関係が悪い影響で十分ではないと言われつつも、この頃にはサミット主要国に匹敵するほど急速に国力を増していた。

 アメリカ国債を買うのも、アメリカへの経済的影響力の拡大や米中友好の演出といった共産中華の国家戦略もあるが、何より買えるようになったからだ。


 一方でアメリカ国債の保有量は日本、共産中華が突出し過ぎて、欧州諸国はすっかり目立たなくなった。

 日中2強の流れは、2005年から2018年まで続いた。その後はイギリスが猛然と買い始め、共産中華が外貨減少の影響で大量に売るようになる。

 一方の日本は、2010年頃から保有量をあまり変化させなくなる。平均1兆ドルを超えるも、それ以上保有する必要性を感じなくなったからだ。

 この為日本の比率は年々低下した。


(神の視点より:史実でのアメリカ国債は2020年には累計で約20兆ドルまで増加。4割以上を外国が保有。)


 日本が多くのアメリカ国債を持つのは、常に安定した海外資産であり利息による利益を優先してのことだった。

 日米友好やアメリカ経済(財政)を支えるのは、どちらかと言えば二の次になる。

 そしてアメリカを超える国力(経済力)を持つようになった日本は、金融国家としての道も進んでいた。

 アメリカ、そして世界に対しても、日本はこうした国際金融面を強くアピールしている。


 その日本は、1970年代にエネルギー自給を達成してからは慢性的な円高に苦しむも、経済は好調または堅調を維持し続けた。

 バブル経済の時期のような爆発的な拡大はなかったが、主要なエネルギー、食料を自給し先進工業国としても高い水準にあるので、貨幣価値が高く経済が安定しているのは当然だった。

 貿易収支、国際経常収支も、黒字を計上し続けている。


 しかも1980年代からはデジタル産業(その後はIT産業)でもアメリカと世界市場を競い合い、1990年代以後は金融国家としても大きく成長していった。

 何より、世界最良と言われる巨大な国内市場を抱えている。


 21世紀を迎える前年にアメリカを中心とした「ITバブル」が弾けても日本経済は揺らがなかった事もあり、「日本経済に欠点なし」とまで豪語されたほどだ。

 

 勿論、自国で産しない地下天然資源が多数あるなど、不利な点も少なからずある。日本はアメリカほど資源には恵まれていなかった。

 経済も生産も、自画自賛するほど万全ではない。しかし万能で欠点の存在しない国家など、それこそ存在し得ない。

 日本はむしろ欠点が少ないくらいだった。

 国際政治面、外交面が国力に比べて弱いところがあるが、国連の常任理事国で北東アジア、北太平洋を勢力圏とする地域覇権国家だった。


 軍事面で見ても、日本は核戦力以外はアメリカに次ぐ軍事大国だった。核戦力を含めても米露に次ぐ。

 核兵器、各種弾道弾、巡航ミサイル、原子力空母、原子力潜水艦、戦略爆撃機を保有した。

 米ソ冷戦終了後に西欧が大幅な軍縮をしたのに比べると、大きな軍事力を保持していた。


 日本と最も関係の深い満州は、単独でもロシア極東、共産中華に対抗出来るだけの強力な通常戦力を保有している。

 日本はそれを補完すればよかった。

 軍事、経済とも密接な関係がある宇宙開発では、1990年代からは日本が圧倒的優位を持っていた。


 そうした日本の国力を単純な数字で見ると以下のようになる。



・2020年の日本


 ・日本帝国

総人口:約3億8000万人

一人当たり所得:約6万ドル

GDP:約22兆8000億ドル

(日本円=約20兆5000億円)


 ・満州国

総人口:約1億2000万人

一人当たり所得:約3万5000ドル

GDP:約4兆2000億ドル


(韓国は総人口約7000万人、GDP約1兆ドル)



 ・アメリカ合衆国

総人口:約3億2000万人

一人当たり所得:約5万8000ドル

GDP:約19兆ドル


 ・EU(全体)

総人口:約4億7700万人

一人当たり所得:約3万6000ドル(全体での平均)

GDP:約17兆ドル


 ・中華人民共和国

総人口:約12億800万人

一人当たり所得:約5500ドル

GDP:約7兆ドル


※1ドル=90銭(0.9円)基準。

※ドルと円の為替レートは、1ドル=1円80銭固定(1971年まで)→1円40銭(1985年まで)→1円20銭(1990年頃)→21世紀に入る前後から1円以下の時代となる。



 比較としてアメリカ、EU、共産中華のGDPも紹介したが、全て合わせると約70兆ドルで世界全体の7割を超える。

 そして日満の二国合わせたGDPは全体の3割近い合計27兆ドルで、アメリカの4割り増しになる。

 米ソ冷戦時代は欧米と日本で8割を超えていたので、その頃に比べると世界に富の再分配が進んだとも言える。

 第二次世界大戦が終わった頃など、世界の富の半分をアメリカ一国が持っていたほどだ。


 だが21世紀になっても、世界の富は豊かな国のごく一部のものだった。

 そうした中で、世界一の富を持つ日本は少し異質だ。

 富裕層、超富裕層が比較的少なく、中流層、中間層が依然として分厚い一般的な日本人の感覚では、自分達は世界から言われるほど豊かではないと感じているが、国としては世界一なのは間違いない。


 逆に日本の富裕層、超富裕層は、日本国内では財閥や一部の成功者などが叩かれている。だが世界から見れば、それほど極端に豊かではない。

 時価総額で世界一だった者が日本にいたのは、バブル経済の頃とその後五年ほどの間だけだ。

 何より、アメリカと21世紀に入ってからの共産中華ほど貧富の差はない。貧困率も低い。

 「小市民超大国」「世界最大の小市民国家」こそが日本の姿だった。


 そしてアメリカ単体では日本に劣るので、経済面では「日満対米中」とも言われる。

 米中を合わせれば、経済力、国力では日満とほぼ同じになる。

 しかも共産中華の経済は、まだかなりの上向きだと共産中華政府から発表されている。3年以内に米中で日満を追い越すとも言われる。

 そして日本、満州と慢性的な対立状態にあり、経済的な連携をする可能性が低い。


 だが共産中華は、一人当たり所得は高くはない。特に貧困層や貧困に近い層が非常に多い。

 極端に豊かな者はかなりの数に登るが、国民の3分の2は貧しいと考えられ貧富の差も異常なほど開いている。

 当然だが先進国には含まれない。それなのに2010年代に入ると、都市化の進展を大きな要因として人口増加(出生率)が大きく鈍化し始めていた。


 経済成長も、約40年間高い発展を続けたが息切れが目立つ。「中進国の罠」で停滞する可能性も高いと見られており、予断は許さない。

 それに、貧富の差を助長する事実上の階級格差が激しい。

 (階級:党幹部>共産党員>都市住民>農民)


 2010年代半ば以後は戦狼外交と言われるように強気の対外姿勢を取るようになったが、軍事力の面でも日本に対抗するにはまだかなり弱い。

 にも関わらず、日本(と満州)とは、建国以来慢性的な対立状態が続いている。満州国境では、今も数十万の大軍同士が睨み合い、双方に大きな軍事負担を強いている。

 軍事以外の外交、経済でも日本との関係は常に弱く、21世紀の冷戦と言われることがある。


 だが、経済面での交流が盛んだったのなら、共産中華は日本の支援や援助、借款によりもっと経済発展していたと言われることが多い。

 共産中華も、手を変え品を変え日本から支援や借款を得ようとした。

 しかし日本は、共産主義で権威主義の共産中華とは、必要以上に関係を深めることはなかった。

 

 日本も共産中華で生産される安価な製品は得られなかったが、海外生産拠点として満州、韓国などがあったので、日本のマイナスの方が共産中華よりもずっと小さかった。

 そして共産中華にとって満州は「自国領内の敵」なので、これを利用する日本も敵だった。

 しかも日本とは、満州だけでなく台湾、尖閣と大きすぎる領土問題を抱える以上、日本と共産中華との深い連携や協力はありえなかった。


 アメリカも、軍事面では日本と安全保障条約を結んだままで対抗すらする気はなかった。それどころか、米中の間には軍事的な関係は全く存在していない。

 しかもアメリカは、共産中華に対する盾として日本を用いてすらいた。

 

 共産中華を共産党が支配する権威主義の国家という面で警戒する傾向も根強く、アメリカの共産中華に対する姿勢はあくまで経済面にとどまっている。

 軍事面では、依然として日米対中だ。

 故にこの日満対米中という図式も限定的だし、一つの面しか見ていない事になる。


 その一方で共産中華は、国連の様々な組織や国際機関を実質的にコントロールする政治的な動きを年々強めている。

 この為、常任理事国であり二国合わせて全体の半分を超える巨額の国連分担金を納める日本とアメリカは、共に共産中華への警戒を強めていた。


 一方では、日米共に自分達にとって制約が多く、組織の腐敗と左派の浸透が強まっている国連離れが加速した。

 21世紀に入ってからは、日米共同で国連各機関の資金の流れ、活動の査察、監視の動きを強めているが流れは変わっていない。


 そうした動きからも、一部で言われた「米中蜜月」は有り得ず、だが「日米蜜月」からも遠かった。

 2020年頃の世界は日本、アメリカ、共産中華、それに欧州連合やロシアが複雑に絡み合い、一極集中や一強の時代とは言い難くなっていた。


 その原因は、日本が大きな力を持ったからだと言われる。

 今日の状況に至ったのは、日本が時代時代で中華地域、アメリカと対立をしてきたからだ。

 そして日本が米中どちらかとより親密な関係だったのなら、歴史の流れや現状は違っていたとも言われる。

 

 そして今後だが、20世紀半ばから人口が激増した第三世界グローバル・サウスの時代と言われる。その一方で第三世界の国々の多くで人口が飽和状態で、経済移民、偽装難民の問題など軋轢も起きている。

 そうした中で、東の果てで「保守大国」として半ば孤高の姿勢を保つ日本は特異であり、今後も注目され続けるだろう。



挿絵(By みてみん)


1980年頃の日本を中心とした北太平洋地域



___________


神の視点より:

2020年の史実のアメリカのGDPは約21兆ドル。

一方、この世界のアメリカはカリフォルニア、アラスカがない。カリフォルニアの代替は他の西海岸地域だが平原地帯がない。総人口も少し少ない。

また稼ぎ頭のIT産業は、この世界では日本が強いライバルな上に日本をあまり市場には出来ない。加えて日本のドル依存、対米依存もかなり弱い。トータルで史実より1割マイナスと想定。


神の視点より:

史実の2020年の世界全体のGDPは約86兆ドル。この世界は日米中満韓の差し引きでプラス9兆ドルとなるので約95兆ドルと想定。



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― 新着の感想 ―
Gゼロよりはマシなのかも。
世界の警察官の押し付け合いになってないだけマシなのかなあ
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