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きまぐれ★プレートテクトニクス 〜太平洋を横断した陸塊「大東島」〜  作者: 扶桑かつみ
引きこもりルート・戦後編

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433 Globalism(4)

■グローバリズムと移民(4)


 話しが少し逸れたが、外国人が日本人になること、つまり日本への帰化条件は世界標準から見れば厳しい。


 10年以上の日本での在留(居住)、日本語の語学検定の合格、二重国籍の不可、犯罪歴の有無、一定水準の所得(金額は5年ごとに見直し)、各種保険料の納付が主なところとなる。

 日本語の語学検定には段階があり、帰化の段階のものは簡単ではない。


 加えて、国家への忠誠の宣誓。これには、国歌、国旗に敬意を持つことも含まれる。しかも書類(記録)として残される。

 祖国(母国)と日本の双方の文化、価値観の尊重という項目もあり、日本人との正しい意味での共生、さらには「日本人」になる事を求める。

 当然ながら、差別や偏見も認められない。

 日本に帰化する以上、日本文化を蔑ろにし国に忠誠を誓わない者は日本に受け入れない、という当前の事だった。


 だが、朝鮮再独立の頃、中華民国難民問題、米ソ冷戦時代に何度か問題が起きたので、制度を整えざるを得なかった。

 連動して、共産主義者は主義を捨てる事を公的な書面で誓約しなければならない。

 他にも、徴兵制が存在している時期は、対象年齢の男性には徴兵義務もあった。逆に徴兵制がなくなってからは、兵役に志願すれば条件が緩和される制度もある。


 また帰化の前に、10年間日本に居住するための在留資格が必要となる。

 入国管理法(入管法)により在留(の延長)や永住が認められるが、これもかなり厳しい。

 帰化の際と似た内容をクリアする必要があるものが多い。

 それに永住ビザや一部のビザ取得の場合、指紋登録の必要もあった。


 また、永住や帰化の申請に必要な費用も諸経費の高騰もあって年々増額し、21世紀の序盤では低所得国の平均年収を大きく上回るという場合もあった。

 このため、低所得国からだと永住の段階で難しかった。

 例外は日本政府が認めた僅かな国に対してのみで、それも非常に限られていた。

 

 しかも各種在留、永住、帰化など各段階で、それぞれの基準での日本語検定の合格も必要だ。

 何らかの機会に公的機関に対して「ニホンゴワカラナイ」などと返答して誤魔化そうとした場合、「日本語が理解できない」という理由で再審査や資格剥奪の場合もある。

 犯罪や重度の交通事故の場合、違反があったら実質的な国外追放、入国禁止の場合もある。

 

 また、短期間で永住や帰化できる制度も存在するが、異定額以上の資産を有する証明を提出し、日本に一定額以上の資本を移し、日本に投資する事が定められている。

 これらはかなり高額で、一般の日本人から見ても相応の富裕層でなければ無理な金額設定だった。

 しかも10年ごとに改定され、金額は上がり続けている。


 そして帰化しても、帰化一世には被選挙権がない。公務員、教師、法関係者など一部の公職にも就けないなど、制限が幾つか付く。

 帰化後に時間が経つとある程度の制限解除はできるが、厳しい審査を経るか居住25年以上などの条件の場合もあった。

 帰化二世でも、立候補の際に親の出自を示す必要がある。


 他にも、日本で外国人同士の間に子供が生まれても、日本国籍は認められない。親の状態に左右される。

 片親が日本人でも、かなりの審査や宣誓が必要となる。

 在留資格すら安易には認められなかった。


 当然だが、一時滞在ビザ、観光ビザなどで出産しても、日本国籍や永住許可は得られない。

 国際結婚についても、帰化には様々な条件、制約があった。

 配偶者ビザの要件も、一定額以上の預金か年収が求められる。ビザの有効期限も一年で、毎年更新が義務づけられている。

 結婚後に親族を呼び寄せるのも強い制限がある。

 そうした諸々は、違反、虚偽、詐称の場合、永住、帰化の取り消しや強制送還など厳しい処分が行われる場合もある。

(※日本の永住は許可であって権利ではないので、剥奪ではなく取り消し。)


 加えて、日本独特の戸籍制度が移民の大きなハードルと言われる事がある。

 戸籍制度は、祖先の血筋が近代国家となった19世紀後半までたどれてしまい、帰化して名前を変えても出自、出生地が明らかになるからだ。

 そうでなくとも、二世以上でも政治家など重要な公職の者は出自を明らかにしなければならない法制度があった。



 移民や帰化にも関連するが、日本の難民政策は認定が厳しいだけではない。経済難民など、偽装や不法の入国や移民と難民双方の対策もあって、強制退去、強制送還などの制度は厳しかった。

 また一方で、犯罪を犯した場合は一定以上の罪だと帰化や永住許可、居住許可が剥奪され強制送還させる制度がある。


 このため不法滞在への対応はかなり厳しい。

 さらには、強制送還後に入国禁止措置が取られる場合も少なくなかった。

 これらは、日本の経済力が増した1980年代に入るとより厳しくされた。


 一方で1980年代には永住許可(永住ビザ)の制度を改めて整えたり、一部の海外一時労働者は制度化されたが、合わせて強い帰国制度も設けられている。

 日本帝国政府は、国内人口が増えた1960年代以後は特に移民で国民が増えすぎることを懸念していた。


 また、1948年に朝鮮半島を独立復帰させた時点で、日本国民に対する各種保護や支援、扶助の殆どに、外国人、外国籍を含まない法制度が作られている。(生活保護や給付、手当など)

 公的な年金、健康保険など納付義務のあるものは、一定期間納める必要があるなど簡単には受ける事はできない。

(一度に一定額以上納めるか、数年納める必要がある。)


 これらは、法律が作られた当初は主に朝鮮半島や満州からの違法渡航者、不法滞在者に対するものだったが、21世紀の現在に至るまで制度を整えつつ維持されている。

 しかも1970年代に、国力増大に引き寄せられた移民流入を警戒して強化されていた。

 難民には一部認められるが、これが難民認定をより厳しくもしている。


 加えて、米ソ冷戦下や共産中華との対立による共産主義に対する警戒から、設けられた職業や資格に関する制限制度だが、ほとんどが日本への移民、永住、長期滞在に対して適用された。

 同様に、他国人が日本のそうした資格を取得する場合にも強い規制がある。


 また、共産主義者、共産党員が日本に帰化する場合、まずは党と主義を完全に捨てる必要があった。特に共産中華、ベトナムといった共産主義政権の国籍の者は必須だった。

 偽った場合、逮捕か国外退去の場合すらある。

 もっとも、日本と共産中華、ベトナムは、国交が断絶していた期間が長い。国交を開いた後も交流は活発とは言えないので、21世紀に入っても移民や帰化は殆ど見られなかった。

(21世紀の共産主義国、社会主義国は、共産中華(中華人民共和国)、ベトナム、キューバ、ラオスのみ。)


 このように日本政府は受け入れに慎重で、帰化だけでなく永住、居住、長期滞在、さらには一時労働に関しても世界の標準よりも厳しかった。

 2010年代からは日本企業のベトナム進出、ベトナムでの生産は盛んになったが、政府と企業双方ともに日本への人の流れには注意を払っている。

 一時労働者も受け入れず、受け入れるのは高価値労働者か富裕層、高学歴者、留学生に限っている。


 なお、日本国内に中華系がいたとしても、主に1948年以前から住んでいる華僑か台湾系、満州からの移住者とその子孫になる。

 しかも満州国は、日本以上に強い共産中華との対立から共産主義者には日本以上に厳しいので、満州への移住が出来た者は日本への移住が可能だった。


 また中華民国の崩壊頃の難民か、返還前の香港からの者に限られている。しかも返還後の香港からの移民・移住も、共産中華の者が香港を経由する場合があるので厳しく審査されている。

 何より日本社会全体で、共産中華による浸透工作、賄賂や高収入攻勢などのマネートラップ、そしてハニートラップを強く警戒した。

 中華文明の伝統的な懐柔策だと、歴史的に知っていたからだ。

 この姿勢があるので、共産中華との距離は共産中華側が柔軟な態度をとるほど開くこととなる。


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