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第24話 フローチェ親方はヴァリアン砦を相撲砲撃す

 領都から二日、隣国ヘーグマン王国との国境沿いの岩山の高台にヴァリアン砦はあるわ。

 さて、どうしてくれようかしら。


「堅固な岩城です、建築も近代なので傷んだ所も無く難攻不落ですね。一昨年ヘーグマン王国軍三万があの砦を包囲しましたが、びくともしませんでしたよ」


 アデラが床机の上に地図を広げながら説明をしてくれた。

 だから、その軍事知識はどこから来たの?

 ミリオタでも転生してるんじゃ無いでしょうね。


「中に詰めるは神殿聖騎士団が二千、国境警備騎士団が六千、王宮騎士団が二千という所です。こちらの手勢が一万五千なので数字の上では勝っていますが、要塞を攻めるための優位に立てる三倍には達していません」

「詳しいな、アデラ、何時そんな勉強を?」

「秘密です、侯爵閣下」


 お父様があごひげをひねりながら唸った。

 お父様は領兵五千を連れての参戦だわ。

 もっとも正面戦力は二千だけどね。

 後は輜重兵に輸送兵、工兵ね。


 正規軍が留守の領都ホッベルズはお兄さまが予備兵二千で守ってる状態よ。

 王都軍に攻められたら陥落するわね。


 砦の戦力は、だいたい正面戦力だから、拮抗してるとも言えないわね。


「献策いたします、アルヴィ王が幽閉されているのは、こちらの西の塔と思われます。ので、精鋭部隊を裏門に出し、強行突破、その後一心不乱に西の塔を目指し、王を奪還するのはいかがでしょうか」

「ふむ、アデラくん、西の塔に幽閉されているという根拠は?」


 マウリリオ元将軍が思案顔で呼び出し係に問いかけた。


「西の塔だけ、窓の周りが綺麗です。王を地下牢に入れた例はありません。東の塔は全体的に汚れています。よって、西の塔の可能性が高いと思われます」


 ふむ、アデラの癖に考えたわね。

 王は西の塔か。

 でも、欺瞞だった場合は王の命が危ないわね。


 どうしようか。


「フローチェ、どうしようか」


 リジー王子は司令官席に座っているんだけど、背が足りないので、クッションを沢山下に引いているわ。

 とても愛くるしいお姿ね。

 はぁどすこいどすこい。


 私は立ち上がった。


「横綱相撲で行きます。正門を正面突破します」

「はっ? お嬢様聞いてらっしゃらなかったのですか、正面突破だなんて、いくらお嬢様がスモウの達人でも無理な相談ですよ、お考え直してくださいっ」

「大丈夫よ、アデラ。私には相撲があるわっ」

「もう、お嬢様ったらーっ!!」


 うるさいわね、呼び出しの人。

 相撲の力を使わないと国境城塞なんか落とせないわよ。


「具体的にはどうするんだ、フローチェ親方?」

「岩を投げ込みます」

「はあ? お嬢様の馬鹿力でも岩山の上の砦に岩なんか投げ入れられるわけないじゃないですか、やだなあ、他に意見のある人は~」


 呼び出し係を後ろから襲って頬を引っ張ってやったわ。


「いひゃいいひゃい、お嬢様」

「しかし、親方、岩を投げ入れるとは、いったい?」

超電磁リニア三所攻めを使いますよ、ユスチン」

「マウリリオ元将軍を吹っ飛ばしたあれですか」

「あれよ」



 パシュウウウウウウウウン!

 ドワン!!


 岩に相撲の付与効果が出るか心配だったけど、問題は無かったわ。

 おしゃれチェンジでドレスにマワシを締めて、岩と立ち会い、三所攻めの要件を満たすと、ちゃんと岩の足下に光で出来たリニアレールが発生して、音速を越えて飛んで行ったわ。


「お嬢様、惜しいですっ、着弾右」

「岩が不定形だから、砦の門にぶち当てるのが難しいわね」


 軍を展開させて、その頂点で、私とアデラは岩と取り組んでいるわ。


「せいっ、せいっ、せいっ! 超電磁リニア三所攻め!!!」


 岩に足を掛け、腕で岩の足を払い、頭で押す。

 輝くリニアレールが発生する。

 この時点でリニアレールは若干動かせるようね。

 そして、押す!


 パシュウウウウウウウウン!

 ドワン!!


 岩は音速を超えて、ヴァリアン砦の壁に激突した。


「着ダーン、今! もうちょっと右です」


 もうもうと土煙が上がるのが見えるわ。

 岩壁にひびが入ったわね。


 今、私たちの居るのは砦を降りた所にある平原ね。

 ここで一万五千人の陣を張っているわ。


 砂漠みたいな所で日差しが熱いのよ。


 力士隊が四人がかりで次の岩を運んでくるわ。

 ごっちゃんです。


「せいっ、せいっ、せいっ! 超電磁リニア三所攻め!!!」


 岩に足を掛け、腕で岩の足を払い、頭で押す。

 輝くリニアレールが発生する。


 パシュウウウウウウウウン!

 ドワン!!


「着ダーン、今! 正門に命中しました、木がちょっとはじけ飛びましたね」

「今の感覚ね」


 何発か正門に岩を当てればぶっ壊せそうね。


「せいっ、せいっ、せいっ! 超電磁リニア三所攻め!!!」


 岩に足を掛け、腕で岩の足を払い、頭で押す。

 輝くリニアレールが発生する。


 パシュウウウウウウウウン!

 ドワン!!


「着ダーン、今! 正門に命中! わ、穴が開きましたよっ!」

「やったわねっ、よし、もう二三発当てれば」


 バーンと城塞の正門が開いて、一群の聖騎士団が現れた。


 その後ろからカンカンに怒ったヤロミーラが現れた。


「なんなのっ、なんなのっ! バカじゃないのっ!! なんで岩を飛ばしてくるのっ!! 非常識よっ!! フローチェ・ホッベマー!!!」


 クリフトン卿が後ろから出てきた。


「よし、フローチェ親方!! ヤロミーラに岩をぶつけてやろうぜっ!!」


 ヤロミーラは「ひい」と言って、聖騎士の影にしゃがみ込んだ。


「いや、さすがにそれは、クリフトン……、危ないわよ」


 超電磁リニア三所攻めは、人にぶつける技じゃないと思うのよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] とある相撲の超電磁電車道(マスドライバー)
[一言] 超電磁三所攻 昔ニトロプラスの鬼哭街の主人公の必殺技に電磁発勁て言うのがあった事を思い出す。
[良い点] 前話で悪人に対する姿勢が見えて嬉しくなったし、今話でも必殺技を対人には使わないと一貫してて頰が綻びました。いい人だなあお嬢様…
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