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詩集 詩箱  作者: TiLA
67/168

例えばそれが

 例えばそれが

 絶望であっても

 悲しみであっても


 見つからなければ

 気づかれもしない


 例えばそれが

 欲望であっても

 憎しみであっても


 黙っていれば

 バレないかもしれない


 だって心は

 見えないから


 心が震えていても

 心が泣いていても


 涙しなければ

 叫ばなければ


 わかりっこないし


 そして消えてしまえば

 何もなかったことになる

 どんなにもがき苦しみ

 あんなに悩み願ったことでも……

 

 だから

 忘れてしまえばいい

 諦めてしまえばいい

 いっそ、それなら

 そんなことなら


 でも、例えばそれが

 忘れられないなら

 諦められないなら


 上書きすればいい

 幸せで

 優しい気持ちで

 見えなくなるまで


 心は

 心でしか

 重ね塗りできないから


 でも、例えばそれが

 上手くできなかったら


 まずは許すことから

 はじめよう


「許します」


 そう言ってごらん


 きっと優しい気持ちで

 幸せになるから


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