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雪は静かに降りつもり
窓の外を見ると
いつのまにか雪が降っていた
静かに
音も立てずに
そっと
これが雨なら
屋根を叩く音で気付くのだけど
けたたましい音で
驚いたりもするのだけど
雪が
静かに降りつもっていた
誰にも
気づかれないように
そっと
これが雨なら
水面に波紋が浮かぶけれど
うるさく騒いで波紋を呼んで
結局何がしたいのかよくわからない
誰かさんのようでもあるけど
気付けば窓の外は
真っ白な雪化粧となり
風に舞った
いくつもの雪の結晶が
あざやかなダンスを踊り
アスファルトの上も
コンクリートの上も
まるで人が生まれる前の
大地と同じ景色のように
僕らが犯した罪を
優しく包み隠すように
静かに許すように
白い雪が降りつもっていた
いつしか
僕の心の中にも
雪が降っていた
雨にかわって
優しく包み隠すように
静かに許すように
静かに
音も立てずに
そっと
そっと雪が降りつもっていた




