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曇り空の夜明け
曇り空の朝に
早めの出張に出掛ける
空はまだ暗く
雲が重たい
冷たい風が
頬を撫でる
乾いた風が
心まで乾燥させる
街はまだ寝ている
起こさないように
そっと歩こう
滑るように
走り出すエクスプレス
A席の窓からは
夜明けがよく見える
オレンジ色に
染まっていく雲
たしか東雲色と言うらしい
透明で冷たい風もあれば
優しく暖かい風もある
まるで言葉のように
限られた
二次元に閉じ込められた
その箱舟に乗った
誰かの心が
僕の心を染めていく
街はもうすぐ
夜明けを迎える
「おはよう」
囁く僕の言葉
風に流れていく




