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月が満ちるまで
月が満ちていく
心が満ちていく
三日月を
ワイングラスにして
想いが満ちていく
光が満ちていく
ブルゴーニュを
注ぐように
ゆっくりと
やがて月が満ちるまで
貴女を想うと
切ない涙が
頬に溢れてくる
その輝きが
星の雫になって
月に満ちていく
想いで満ちていく
光を集めて
心を集めて
ゆっくりと
やがて月が満ちるまで
拙い言葉を
かき集めるように
星の欠片で
心を綴れたなら
降り注ぐ
銀河の光のように
想いを届けて
願いを伝えて
やがて満ちた月の
その白い輝きは
どんな言葉を囁けるというのだろう
今宵、貴女に
月が欠けていく
ゆっくりと
闇に消えていく
その光を
輝きを
女神が飲み干すように
「まるで魔法のようだね」
『月が? それとも……』
呟く言葉に
貴女の声が聴こえた気がした
星になった想いは
願いの欠片は
貴女の胸に
届いただろうか
その心に
満ちただろうか
いつか……
その月が満ちるまで




