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言ノ葉が散りゆく
言ノ葉が散りゆく
今日もまた虚しく
木ノ葉ではなく
言ノ葉だから
土に還ることもない
それはただ風と共に
消えてゆくだけの
それだけでしかなくて
ただそれでも
あるとき、ふと
その言ノ葉に出逢うことがある
善きにせよ
悪しきにせよ
誰かから
互いに影響し合う
その誰かから……
もし君が
僕の言の葉で
それが君の記憶の片隅にでもいい
心の埃であっても
たとえ一片でも残っているならば
言ノ葉を散らそう
せめて精一杯
たとえ土に還ることはなくとも
それはきっと
心の花を咲かせた証だから
たった一編の
飾り気のない詩でも
魂から欠けた
言の葉を散らせて




