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木枯しの日
木枯しが
ぴゅっと落ち葉をさらっていく
この街のわずかな
ぬくもりと共に
冷たい風が
ひゅっと頬を刺すたび
季節の隙間に
私の心は落ちそうになる
隣を歩く
あなたの肩
厚手のコートが
毛布のように
あったかそうで
ふいにあなたが
立ち止まると
私の頬に
両手をあてて
「寒いの?」
──不思議ね
木枯しが吹いてる
こんなに冷たい街でも
あなたの手は
まるで陽だまりのようで
私の心をそっと拾い上げてくれた
あの瞬間
世界のすべてがあなたの優しさで
ふんわりと包まれた
冬が来るたび思い出す
ひとつの毛布に
くるまるように
肩を寄せ合い歩いた
木枯しの日
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