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詩集 詩箱  作者: TiLA
152/168

ノスタルジー

通学路


夏休みが終わり


稲穂が揺れる中を


一人帰る


空には鳶が


くるくると


凧のように舞って


毎日が


長く感じられた


今よりも


ずっとずっと


長く感じられた




やがて稲刈りが始まると


路上には


いくつもの


稲架掛けの影が伸び


残暑の西陽を


遮ってくれた


天日干しの


稲穂の香りが


とても香しくて


今でも記憶に


残っている


ずっとずっと


残っている




自由な鳶が羨ましかった


自由の意味もわからないで


そんな日々が


やけに懐かしい



西陽を避けて影に隠れていた


その美しさも


かけがえのなさも知らないで


その眩しさが


とても恋しい




早く変わってほしかった


変わりたいと


強く願った


願い続けた日々なのに


ふと還りたくなる


あの通学路は


ノスタルジー



もう一度もし逢えたなら


今度はけして目を背けないと


向き合おうと誓う、でも


叶うことのない


それはけして叶わない


二度と還らない


ノスタルジー









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― 新着の感想 ―
毎日通う通学路は、季節の移り変わりを感じながら歩く道でもありますよね。稲穂が揺れる風景、その香りが、ノスタルジーとともに、こちらまで伝わってくるようです。 変わりたいと願い続けた日々なのに、ふと還り…
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