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カナリア
もしも翼を持って生まれたなら
空を飛ばなければいけないのでしょうか
高いところが苦手でも
しんどいことが嫌いでも
飛びたくても翼を持てなかった人達が
さも当然のようにけしかけてきます
お前は飛べるんだろうと
翼を持って生まれたんだろうと
でも、もし翼が太陽に近づいて
蝋が溶けて落ちてしまったら
あいつは愚かだったと言うのでしょう
そして心の何処で安堵するのでしょう
たとえ翼を持たずに生まれてきても
それでも飛びたいと強く願ったなら
飛行機を作り、鋼鉄の翼で
彼等も大空に飛び立てたでしょうに
今日もまた
カナリアはカナリアの声で
美しく鳴いています
炭鉱の奥
籠の中
翼があるとも知らないで




