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僕と君とのセレナーデ
仕事の帰り道
歩く住宅街
光るイルミネーション
心、灯して
週末の夜は
少し遠回り
星のオーケストラに
耳傾けながら
もう君は
寝てしまったかな
グリーティングカードを
選びながら
帰ったら
「コタツで寝たら風邪ひくよ」
そう言って
起こしてあげよう
何げない日々
何げない会話
僕と君との
それがセレナーデ
背中のリュック
ポケットには
月モチーフのネックレス
待ち侘びている
オリオンとシリウスの
交響曲が四楽章に入ったころ
ドアを開いて
小さくただいまと言えば
コタツの君は
カードを前に掲げて
「このイラストどう?」
眠そうに聞いてきた
「誰に贈るの?」と聞けば
「まずあなたでしょ? 一緒に住んでないんだから」
の答え
何げない出来ごと
何げない嬉しさ
君と僕との
それはセレナーデ
何げない幸せが
何よりも愛しくて
なくしたくないと
三日月に願った
僕と君との
それがセレナーデ
君と僕との
始まりのセレナーデ




