表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/358

第62話「開戦!」


――◇――◇――◇――◇――◇――◇―― 


 サンマルコ広場は長方形をしている。

 この国で最も大きい石畳の広場であり、ヴィクトリア宮殿や大聖堂など重要な建物がいくつも隣接する。建物の壁に囲まれた広場なのだが、閉塞感などは感じない。むしろ、広場の中央に立てば、美しい建造物を一望できる開放感すらある。


 そのサンマルコ広場の中央に、ゲンジ先輩は立っていた。

 赤と黒のオーラを纏った狂戦士。


 足取りが重い。

 手も微妙にかじかんでいる。


 緊張しているのかな?


 息を軽く吸って、ゆっくり吐く。

 気持ちを落ち着かせて、真っ直ぐと歩いていく。


 一つに束ねたポニーテールと短めのスカートが、朝の風に揺れている。


 ひんやりとした空気が、とても清々しい。

 余分な力を抜いて、余計なことを考えるのはやめよう。

 目の前のことにだけ集中するんだ。


「やぁ、ゲンジ先輩」


 バーサーカーとなった、一つ年上の先輩を見上げる。

 ジンとミクの猛攻を受け続けていたのだろう。さすがのゲンジ先輩も無傷じゃなかった。いくつもの傷から血が滲んでおり、まぶたの上からは、今もなお出血が続いている。


 それでも、なお。

 狂気に満ちた闘志だけは衰えない。


「先輩も知ってるよね。十人委員会に所属しているうちは、他人に迷惑をかけたらいけないって。この規則に違反したら、ギルドマスターから、お仕置きを受けなくちゃいけない」


 ゲンジ先輩は何も答えない。

 意味のない呻き声をもらしながら、狂気に満ちた目で見つめる。


「…何が先輩をそこまで追い詰めているのか、ボクにはわからない。でもね、考えることをやめて他人を傷つけるなんて、絶対にやってはいけないことなんだ」


 カチャリ、と銃を持ち上げる。


「…だからボクは。…いや」


 長い髪が風に煽られ舞い上がる。

 スカートがふわりを浮き、女の子独特の曲線が露になる。


「私は、お前を許せない! その曲がった根性をたたき直してやる!」


 手加減はしない。

 持ちうる全ての力で叩き潰す。


「私の名前は、御影(みかげ)優紀(ゆき)! 十人委員会の『No.2』。『銃舞姫のユキ』。ギルドマスター代理として、あなたを粛清する!」


 銃を腰の辺りに構えて、私は駆け出した。

 同時に。

 狂戦士の叫び声が、広場に響き渡った…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ