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第70話「そして援軍。仲間と共に…」

――◇――◇――◇――◇――◇――◇―― 


 ユキたちと合流する、その数分前。

 薄暗い廊下をひたすら走る人影があった。


 人形使いのミク。

 銀狼族のジン。

 そして、その肩に乗っている召喚士のコトリだ。


「おい、ミク! もっと早く走れないのかよ!?」


「……ぜぇぜぇ、あんたねぇ。……あたし達がどれほど苦戦していたか知っているの!?」


 ミクは息を切らしながら、ジンの肩に乗っている親友を睨む。


「ちょっと、コトリ!? あんたもそこから降りて走りなさいよ!」


「……やだ」


 そういって、大好きなジンにぴったりと抱きつく。

 彼らが目指しているのは、この地下迷宮の一番奥だ。そこで今も戦っているはずのユキへ加勢するためだった。『死体の山アンデッド・マウンテン』を倒した彼らは、勝利の余韻に浸るわけもなく、すぐに奥へと走り出していた。


 そして、そんな彼らも知らないことだが。

 その後ろから、同じく猛スピードで最奥を目指す者たちがいた。中層からは、魔法使いの少年や幻術師の少女たちが。そして、その上層からは狂戦士と守護騎士と思われる2人の男が。

 仲間のために、彼らは最奥部へ向かう―



――◇――◇――◇――◇――◇――◇―― 



「あと、9本っ!」


 ボクは残りの『王の剣』を数えながら、最後のマガジンに手を伸ばす。

 これが正真正銘、ラストアタックになる。空になったマガジンを排出させて、新しいものを魔銃ヨルムンガンドに装填。最後の銃弾を重みを感じながら、いつでも駆け出せるように腰を落とした。


「頼んだよ、ユキ!」

「……あとは、まかせた」


 ミクとコトリの声援に答えるように、軽く手を上げる。彼女たちの救援を無駄にするわけにはいかない。


「……アーニャ、いくよ」


 そっと、小さな声で呟く。

 苦しそうに頭を抱えて、嘆き叫んでいる彼女のもとへ、ボクは駆け出した。


「……っう」


 体が重い。

 一歩一歩踏み出す度に、鈍い痛みが走る。これまでの攻防で、全身を酷使しすぎた。体の限界はとうに超えていて、自分でも動いていられることが不思議なくらいだった。


「くっ!」


 ガクッ、と膝が折れそうになるのを、なんとか気合だけで堪える。


 ……もう少し。

 ……もう少しでいいんだ。

 ……ボクの言うことを聞いてくれ!


「ぬあぁぁぁっ!」


 残された力を振り絞って、最後の攻撃を仕掛けた。

 全身の筋肉が悲鳴を上げる。頭痛など感じなくなり、頭が沸騰しそうなほど熱くなる。あまりの極限状態に気を失いそうになるが、それを唇を噛んで絶えてみせる。

 

 アーニャまでは、まだ距離があった。

 彼女も疲弊しているとはいえ、『王の剣』は健在だ。ボクの行く手を遮ろうと、彼女の周囲を漂っている。キィン、キィン、と金属がぶつかるような音を鳴らしながら、鋭い刃をこちらへ向ける。


 その中でも、一番手前にあった黄金の両刃剣『雷の剣』が、黄金の稲妻を放ちながら突っ込んできた。


 その速さは、まさに雷。

 目で追うこともできないほどの稲妻に、一瞬だけ足が止まりそうになる、……が、その攻撃をジンが軽々と防いでみせた。


「おらぁ、テメェは俺が相手してやるよ!」


 光の速度で動く『雷の剣』を、ジンは銀色の迅雷となって追いかける。もはや残光だけしか見えない雷の剣だったが、ジンにはそれが見えるのか、それ以上の速度で動いては、確実に弾いていく。


「行けっ、ユキ!」

「っ!」


 ボクは再び全力で駆け出した。

 アーニャまで、まだ遠い。

 右手のヨルムンガンドを握りしめ、射程圏内に入るため走っていく。


 だが、すぐさま。

 次の攻撃が仕掛けられる。


「ぐうっ!」


 突然、体が地面に押し付けられた。

 ……いや、押しつぶされそうになっている。見えない圧力が地面に向かって働いているのだ。まるで、重力が何倍にもなったかのように。


「……あ、あれは」


 視線を上げると、幅広の剣が紫色に輝いているのが見えた。王の剣の1つである『重力の剣』。重力を操作する能力があり、人の体など簡単に押しつぶしてしまう。


 そして、その隣にあるのは『氷の剣』。

 その剣に突かれた武器は、完全に凍りついて破壊されてしまう。すでに、いくつもの武器を破壊されてしまっているが、体をあの剣で刺されたらどうなるか。考えたくもない。


「……くそ」


 重力の剣と、氷の剣。

 2つの剣が魔力を放ちながら舞い踊り、そして次の瞬間には。トドメを刺すために高速で放たれていた。


 重力の網に押しつぶされるか。

 氷像となって破壊されるか。

 そのどちらかと選ぶこととなった。


 ……この2人が助けに来てくれなかったら―



「隷属魔法『投獄の拷問鎖』っ!」

「氷魔法『氷結の槍アイシクル・ランサー』っ!」



 幻術師の少女と、魔法使いの少年の声が響いた。

 それと同時に、重力の剣は魔法の鎖に動きを封じられ、氷の剣は無数の槍によって弾き飛ばされる。ボクは自由になった体で、慌てて後ろを振り向いた。


「……有栖、……碓氷君」


 そこには、妖艶さが影を潜めるほど必死になった有栖と、折れた魔導杖を辛そうな表情で突きつける碓氷涼太の姿があった。

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― 新着の感想 ―
[一言] それぞれの戦いを終え、集まってくる仲間たち。
[一言] 続々と仲間が集まるなあ
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