第24話「コトリと肉じゃが④」
「おー、そろっているじゃないか!」
玄関のノックをしないで、天羽会長がボクの家へと入ってくる。
迷彩服に身を包んだ背の高い女性。やはり外は寒いのか、厚手のジャンバーを着こんでいる。そして、その手には巨大な木箱が抱えられていた。
「こんばんは、天羽会長。……その荷物は?」
「お土産さ。手ぶらじゃ悪いから、とりあえず目に映るものを適当に持ってきた」
どんっ、と大きな音をさせて木箱を玄関に置く。
何が入っているのか覗き込んでみると、呆れたことに全てワインなどの酒類だった。
「会長。お酒じゃないですか?」
「その通りだ。いやー、持ってくるものが他に思いつかなくてな」
「ボクたちは飲めませんよ」
「安心しろ。ちゃんとジュースも入っている」
そう言って、会長は木箱からひとつの瓶を手に取る。ラベルを見ると、確かに酒ではなさそうだった。
「葡萄ジュースですか?」
「おう、そうさ。間違ってもワインを飲むなよ」
にやりと笑いながら、会長は我が物顔でリビングを進む。そして、部屋の真ん中にどっかりを胡坐をかいて座った。
「それにしても『十人委員会』のメンバーが勢ぞろいだな」
「そうですね。なんかお祭りみたいになっちゃいましたね」
「そうか? なんか葬式みたいに空気が沈んでいる気がするが。……ん? 有栖、なんだか顔色が悪くないか?」
「ひあっ!? そ、そんなことありませんわ!」
にっこりと有栖が満面の笑みを浮かべる。
彼女の額に、まだ冷や汗をかいていることをボクは見逃さなかった。
「それじゃ、会長も来たことだし。乾杯でもしましょうか」
ボクはそういって、木箱に手を伸ばして適当にワインを手に取る。
その瞬間。
会長のわずかな隙をついて、ミクに目配せをする。
ミクは黙って頷くと、テーブルにあった『それ』を会長の前に出した。
「会長。酒にはつまみが必要なんじゃない? コトリが肉じゃがを作ってきたから、ぜひ食べてみて」
「おっ? 本当か? それは気が利くな」
天羽会長は疑う様子もなく、その肉じゃがに手を伸ばす。
にやり、とボクとミクが笑う。
だが、次の瞬間。
会長が思いがけないことを口にしたー




