表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/358

第27話「有頂天に達した!」


 テンションが有頂天に達しているジンには悪いけど、この下らない争いを終わりにさせないと。…はぁ、こんなときに御櫛笥さんがいてくれたら、どんなに助かったことか。


「ね、ねぇ。二人とも。その辺に…」


 ボクの声は届かない。

 二人とも周囲のものを撒き散らしながら、苛烈な戦いを続けている。


 コンッ。

 石鹸が飛んできて、ボクの頭に当たった。


「…あのね、そろそろ」


 コンッ、コンッ。

 小さな置物やたわしや飛んできて、ボクの頭に当たる。


「…だからね、いい加減にしないと」


 ゴンッ!

 金製の桶が飛んできて、ボクの頭に直撃した。 

 さすがに痛すぎて、頭を抱えて悶絶してしまう。


「ぐぐっ、…いい加減に」


 カチン、とボクの中でスイッチが入る。

 先ほど飛んできた桶を手にとって、暴れまわる二人を睨みつける。そしてー


「いい加減にしなさいっ!」


 ブンッ!

 金製の桶をジンに向けて放り投げた。


「え?」


 突然のことで不意を突かれたのだろう。振り向いたジンの顔面に、金製の桶がブチ当たる。 


 カーーン。

 小高い音がバスルームに響いた。


「二人とも、いい加減にしなさい! ケンカするのもわかるけど、周りの人の迷惑も考えてよね!」


 ザパンッ!

 その勢いのままバスタブから上がってしまった。ぽたぽたと水滴を垂らしながら、生まれたままの姿を二人にさらしてしまう。


「お?」


「あっ?」


 ジンとアーニャの視線が突き刺さる。


「きゃっ…」


 思わず変な声が出てしまった。

 恥ずかしくて、かぁ~と顔が赤くなってしまう。慌てて大事なところを隠すが、それでもじっと見てくる二人を見て、頭に血が昇っていく。


「…この―」


 そして、そのまま勢いに身を任せて。

 ジンに向かって、飛び蹴りを放った。


「こっちを見ないでよっ! バカっ!」


「ぐおっ! なんで俺だけーーーーーーーーーーーーっ!」


 グシャーン! 

 蹴りをモロに食らったジンは、そのままバスルームの扉に激突していった。その際に舞ったバスタオルを掴むと、慌てて体を隠す。


「ぐ、ぐおぉぉぉ。まさか、このジンが…、このジンがぁぁぁ!」


 無駄に派手な捨て台詞を吐いて、ジンは崩れ落ちていった。


「ジン、うるさい。少し黙ってて」


 ボクは呆れてため息をはく。


「まったく。アーニャもだよ。ジンの悪ふざけに付き合わなくたっていいんだから」


 軽く叱りつけるような口調で問いかけるが、アーニャからの返事がない。

 不思議に思って振り返ってみると、アーニャがボクのほうをじっと見ていた。


「アーニャ?」


「…ユキの、…ユキの裸」


「へっ?」


「…初めてみた。…ぐへへ、綺麗な肌! 引き締まったウエスト! なだらかなお尻。そして大きな、お、お、おぱぁーっ!」


 ぶはっ!

 アーニャが大量の鼻血を吹き出しながら倒れていった。その表情は、至福に包まれたように歓びに満ちていた。


 その光景に、ボクは頭を押さえずにはいられない。


「…ボクに周りには、まともな人はいないのかな」


 壁にめり込んでピクピク痙攣しているジンと、満足気な表情で鼻血を垂れ流しているアーニャを見て。


 ボクは、結構マジに。この先のことが心配になっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ナイスおp( ´∀` )b
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ