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バンカラ転生 ~硬派の俺が奴隷女に転生してしまったが、それでも俺は男の生き様を貫き通す~  作者: くまひこ
第2章 炎の魔術師シェリア

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第11話 獄炎の総番長

 シェリアに自分の無事を知らせると、エルは鎧の中からインテリを取り出した。


「インテリもう大丈夫だ。俺たちは生き延びたぞ! っておい、どうしたインテリ・・・」


 エルの手のひらの上でグッタリとしたインテリは、なぜか鼻の下を伸ばして至福の笑みを浮かべていた。


「ワイ、幸せ過ぎていつ死んでも悔いないわ」


「インテリ、俺たちは助かったんだ! だからもう死ななくていいんだぞ」


「アニキ・・・これが夢にまで見た女子のおっぱい。柔らかくてしっとりしてて、それでいてええ匂いやったなあ」


「女子のおっぱいだと? お前何を言って・・・あっ俺のか!」


 エルは、鼻血を垂らしながらへらへら笑うインテリの頭めがけて、思いっきりツッコミを入れた。



 スパーンッ!



「男の胸で興奮するな、このドアホっ!」


「あ、あれ・・・アニキ? ワイは一体・・・」


「やっと正気に戻ったようだな。お前は男・桜井正義の胸に挟まれて鼻血を出していたんだぞ。いくら彼女いない歴が通算で30年を超えたからって、それは完全にアウトだろう」


「ワイがアニキの胸で・・・はっ、思い出した!」



  ブーーーーーッ!!



 せっかく正気に戻ったインテリがさらに大量の鼻血を噴き出すと、完全に失神してしまった。





 ちょうどそこへ嬉し涙を流しながら全力で駆けてきたシェリアがエルに抱きついた。


「エルっ! 本当にごめんなさい。呪文は完璧だったはずなんだけど、なぜか魔法が言うことを聞いてくれなかったのよ。どうしてエルを追いかけたのかしら」


「あれって敵を自動追尾する魔法じゃなかったのか。それでシェリアが、敵と味方を間違えて俺にセットしてしまったのかと」


「そんな魔法、存在しないわよっ! 普通は真っすぐ落下して爆発するだけの単純なものなんだけど、こんなこと私も初めてよ」


「そうか。でもすごい威力だったなシェリアの魔法。俺があれだけ攻撃しても全然死ななかったサンドワームをたった一撃で倒すなんて。生まれて初めて魔法を見たけど大したもんだよな」


「それほどでもないわ。でもそっか・・・あなたって初めて魔法を見たんだ」


「ああ。話には聞いていたが、ここまですごいものだとは思わなかったよ」






 それを聞いてシェリアは思った。


(エルって一体何者なの? まだ15歳の新人冒険者と言うことだけど、やけに戦い慣れしてるし百戦錬磨の風格すら漂っている)


(少なくともEランクなんてのは過小評価もいいところね。Dランクはおろか私と同じCランクでもおかしくないかも知れない)


(でもそんなことより驚いたのが、私のエクスプロージョンを受けて無傷だったこと。魔法攻撃はいくら重装備をしても物理防御力では防げないし、私より魔力の低い魔術師ならたとえ魔法防御力を最大にしても、あのエクスプロージョンの直撃を受ければひとたまりもない。でもエルはそれを完ぺきに防ぎきった)


(彼女自身は気がついてないようだけど、彼女の周りには強力なマジックバリアーが今も展開されている。これはオリハルコン製の防具の恩恵なんかじゃなく、あの子自身が作り出したもの)


(マジックバリアーは、騎士学園か魔法アカデミーで訓練を受けなければ使うことのできない魔法の基礎技術だけど、あの子は魔法を見ること自体が初めてだと言っていた。つまり天性の才能だけでとっさにバリアーを展開し、私のエクスプロージョンを完全に防いだってことよね)


(エルには謎の部分も多いけど、この強さは本物よ。是が非でも彼女を私の仲間にしておきたいわね)





「おい、聞いてるのかシェリア」


 気がつくとエルがシェリアをじっと見つめていた。何かの質問をしていたらしく、その答えを待っているようだった。


「ゴメン、何だっけ?」


「だから正式に俺とパーティーを組まないかと言っている。シェリアみたいなすごい魔術師と仲間になれたら最高だと思ったんだが、やはりダメか?」


「私がすごい魔術師?・・・エルはそんなに私と仲間になりたいんだ」


「もちろんだ。まあ俺なんかを仲間にしてもシェリアには何の得にもならないだろうが」


 そう言って頭をかいて笑うエル(兜で顔が隠れているので、あくまでもシェリアの脳内イメージ)。




 だがシェリアは思った。


(よっしゃーーっ! エルを仲間にしようとしたら、先に向こうからお願いされたわ、ラッキー! でも、ちょっと待って。ここで焦って食いつくと逆に逃げられるかもしれないわね。ここからは頭脳派シェリア様の本領発揮と行くわよ)



「ふ、ふーん? エルはそんなに私と仲間になりたいんだ。しっ、仕方ないわね・・・この天才シェリア様のパーティーにあなたを入れて上げてもいいわよ」


(つまりこれは大人の駆引き。こう言って私の価値をできるだけ吊り上げておけば、エルは焦って食いつかざるを得なくなるはず・・・よね?)



「入れてくれるのか! ありがとう」


(よし、釣れたーっ! ・・・待って、喜ぶのはまだ早い。ここからは既成事実を積み上げていく段階だけど、何かいい手がないかしらね。そうだ、いっそパーティー名を決めてしまって、エルが後戻りができないようにすればいいのよ)



「ええ、どういたしまして。ところでエル、パーティー名は何にする?」


「もうパーティー名の話か! ちょっと気が早い気もするけどまあいいか。だが俺は考えるのが苦手だし、男らしい名前なら何でもいいから決めてくれ」


(ニヤリ、計画通り。さて名前を何にするかだけど、エルが意味の分からないことを言っているわね)


「男らしい名前なら何でもって、私たち女なのに?」


「女? ・・・ああそう言えばそうだった。だが俺は真の男を目指して生きているし、俺が入るパーティーはできれば男らしい名前がいいと思っている」


「女騎士のあなたが真の男を目指すって意味が分からないけど、例えばどんなのがいいの?」


「そうだな、「男」とか「漢」とかそういう文字が入るといいんじゃないかな。例えば「桜井正義と男組」とかはどうだろうか」


「全く意味が分からない名前ね。そんなのよりもっとかわいい名前にしましょう。例えば、魔女っ娘シスターズとか魔法のプリンセスとか」


「却下だ、全然男らしくねえ。それに俺は魔法が全く使えねえし、ピンと来ねえよ」


「だってあなた、今だって強力なマジックバリアーを展開・・・いいえ何でもないわ。うーん、じゃあお互いにこれだけは押さえておきたい単語を出し合って、それを組み合わせたパーティー名にするってのは?」


「なるほど、それなら公平で文句が出ないな。じゃあ俺からは男、漢、硬派、バンカラ、番長、熱血・・・そのぐらいかな」


「じゃあ私は、魔法、魔女っ娘、美少女、天使、愛、夢、恋する、ミラクル、ハート、マジカル、プリティー、プリンセス・・・」


「ストーップ! 数が多いよ! もうそれぐらいにしてこの中から組み合わせよう」


「わかったわ。じゃあ「熱血美少女番長」はどう?」


「うーん・・・美少女が邪魔だな」


「なら「バンカラ天使」は?」


「全くもって意味が分からん」


「もうエルって意外と面倒臭い人ね。じゃあ「恋する男天使・愛夢」なんてどう?」


「しっくり来ねえ・・・ていうか誰だよ愛夢って! どうも俺たちの好きな言葉の相性が悪すぎる。シェリアの好きな言葉の中で強そうな単語はないのか?」


「強そうな単語なら私の得意な火属性魔法はどうかしら。火、炎、獄炎、煉獄、業火、爆発・・・」


「おおっ! 中々いい感じの単語が出て来たじゃねえか。例えば俺の「番長」とシェリアの「獄炎」を足せば「獄炎の番長」となる」


「ちょっと質問だけど「番長」ってどういう意味?」


「番長とは弱いものを助けて世の中の悪を討つ。そんな真の男に与えられる最高の称号だ。そして正義の番長たちを束ねて頂点に立つのが「総番長」だ」


「だったら頂点を目指す意味で「獄炎の総番長」はどうかしら。ついでに「恋する」もつけとく?」


「それはいらねえ。獄炎の総番長・・・いい名前じゃねえか。これで決まりだな」


「全然かわいくないけど、火属性って所が気に入ったわね。じゃあ私たちはこれでパーティー結成よ!」


「ああ、よろしく頼むな!」




 こうして二人はガッシリと握手をしたが、これが後に世界を震撼させることとなる、Sランクパーティー「獄炎の総番長」誕生の瞬間だった。

 次回「エルとシェリア」。お楽しみに。


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