13/05/07 横浜オフィス:うっざああああああああああああああああああああああああああああああああ
13/05/07 火 09:30
出勤すると、俺達三人の机には例の写真が貼られていた。わざわざ、拡大までして。
その上には俺達を模した粘土人形。これが一目でわかるくらいに似ている。俺はデブ、シノは魔乳、旭はチビ。それぞれの特徴をうまく押さえてあって、実にかわいらしい。すごいには違いないのだが、まったくもって無駄な特技としか思えない。
粘土人形には五寸釘が打たれ、それをピン代わりにしてメモが添えられていた。
【温泉楽しそうですね。
青春ですね。
私も『若い』ので疲れてなんかいませんよ?
でも本当に羨ましいですね。
リフレッシュしたところで今日からお仕事頑張って下さい
あなた方からの施しを一生忘れるつもりのない天満川観音より】
「うっざああああああああああああああああああああああああああああああああ」
見た瞬間、俺達三人は揃って絶叫した。
「これどうするよ」
「粘土人形は供養した方がいいんでしょうか~」
「髪の毛とか、私達の体の一部が入ってないなら大丈夫。さすがにそんなもの、普段から用意してないでしょ」
シノが妙に納得できる説明をしてくれた。どうしてそんなことを知ってるのかわからないけど、「そのまま捨てても大丈夫」というシノを信じてゴミ箱に投げ入れた。
そんな観音は明日明後日と休暇を取っている。
昨今流行りのカープ女子よろしく、ズムスタに行くとか言っていた。「二九で女子とかどんだけだよ」とか言おうものなら、観音だけじゃなく、赤い帽子を被った女性陣に殺されるのかなあ……それも嫌だし、本日はカープの勝利を祈ろう。
──机に向かう。
これからのマルコウの方針を思案しよう……と言っても、実は考えるまでもない。経験の無い俺には〝焼肉工作〟しかできないから。
焼肉工作とは、焼肉屋を営むマルタイの店に客として通うお手軽マルコウ。危険も無いとされている。だって要は焼肉食べに行くだけだもの。
行けば会える。しかも店主と客の関係だから世間話には付き合ってくれる。つまり接点だけはあるので本対に上げやすい。しかし条件はない。ろくな情報も取れないから、登録はまず無理。要するに形だけの仕事である。
土橋統括の本対も焼肉工作。あの人にすらできるのだから俺にできないわけがない。
俺の場合は建前を用意すればいいだけだから本対に上げられれば十分。多くのキャリアはマルセツすらしないのだから。ここで観音みたいな規格外れの例外を当たり前にされたら困る。
さて、予対リストを作ろう。焼肉工作で重要なのは接点。
店主自らが接客をすることが必須でカウンター席が理想。マルセツの時間を作るためには繁盛していない方がいい。一応は条件にもつながるし。
マルセ系の焼肉店リストを横に置き、ぐーぐるさんと相談する。
店内写真や店主が接客している記事等をチェック。味や交通面で評判の悪い店を拾い、接客の悪い店は切る。
よし、リストアップ完了。実際に動くのは観音に確認を取ってからだ。




