表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/72

13/03/24    マッシュ:だめだめ。相方の目は誤魔化せませんよ?

13/03/24 日 23: 00


 いよいよ今日から皆実との二人暮らしが本格的に開始。今までの一DKでは手狭なので先だって同じマンションの二DKに引っ越した。

 四畳半のダイニングキッチンが居間、六畳の和室を兄妹各自に一つずつ。皆実の部屋の入口には【兄ぃ勝手に入るべからず】と貼り紙。

 一方、俺の部屋はというと……机に向かう俺の背後には皆実が立っている。【皆実勝手に入るべからず】という紙を握りしめて。俺にプライバシーはないのかよ。

 しかし皆実に構っている暇はない。なんせ明日からは観音が横浜に来る。先が読めない以上、今の内にマッシュのやりだめをしなければ。

 モニター画面に集中しよう。

 現在はイベントで特設された「至高のトリュフダンジョン」のソロ攻略中。

 運営のキャッチフレーズは「ソロクリアできるものならやってみろ」。その煽りに恥じず、同ダンジョンはマッシュ史上最凶最悪の難易度を誇る。これまでに幾人もの有名プレイヤーが挑戦したが、その全員が行く手を阻まれた。

 俺も何度目の挑戦になるか……でもついにクリアできる手応えを掴んだ。だから本日はクリア達成の瞬間をみんなと共有するため、リアルタイムで動画を配信している。もちろん声はボイスチェンジャーで変換済み。

 遂に辿り着いたラスボス部屋。ラスボスは巨大うさぎ。涙を流しながら手を合わせ、「助けて、助けて」と繰り返している。しかし、一瞬でも隙を見せれば体当たりを喰らわせてくる。その威力たるや一撃で昇天できるからタチが悪い。ぴょんぴょんと飛び回っているせいで、攻撃する隙もなかなか見つからない。

 制限時間が残り一分を切った。あと一撃入れれば倒せるだけにじりじりする。でもここで焦っては水の泡。うさぎが隙を作るのをぎりぎりまで見極める。

 残り五……四……うさぎが耳を伏せた。

 今だ! 剣を大上段からうさぎの脳天へ全力を込めて振り下ろす!


【Congratulation!】


 いやったあああああ! 遂にクリアしたああああああああああ!

 配信画面にクリアを讃えるメッセージが続々と流れる。

【神!】【おめでとう!】【SUGEEE!】【最高!】【無理ゲー乙!】【HENTAI!】

 達成感がますます加速する。手が肩が背が足が全身隈無く興奮で震えている。

 ああ……顔を天に向け、椅子の背もたれに体を預ける。すると皆実が上から覗き込みながら右手を掲げてきた。その手をぱしんと叩く。

「兄ぃ、いやっほい!」「おう!」

 ピコリンと音が鳴る、ねぎだ。

〈ねぎまぐろ:遂にやりましたね! おめです!〉

〈みつき:おめありー〉

〈ねぎまぐろ:次は私か。クリアできなかったら未来永劫自慢されるし頑張らないと〉

〈みつき:しねーから!〉

〈ねぎまぐろ:だめだめ。相方の目は誤魔化せませんよ?〉

〈みつき:お互い様じゃないか。んじゃお前も頑張れ〉

〈ねぎまぐろ:あいさ!〉

 椅子のヘッドレストに頭を乗せながら勝利の余韻に浸る。

 あー、もう最高!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ