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元コンサル女子の異世界商売~ステータス画面とAIで商売繁盛!~  作者: 雪凪
第一章 転生初日は大忙し

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1-6 アクティブスキル(2)

最後に『翻訳機能』を確認する。30ほどの国名が並んでいるが、アイリスの記憶には、外国の知識がほとんど無くて、どんな国だかわからない。唯一わかるのは、アザランス帝国だ。

広大な領土と強大な軍事力を持つ帝国で、大陸で一番テクノロジーが進んでいるっぽい。両親がたまに帝国の話をしていたようだ。言語の一覧でも一番トップにあり「アザランス帝国語(大陸共通語)」となっているので、かなりの覇権を握っているみたいだ。


ん?この辺は赤文字になってるのね。『古代帝国語』に『ルナフェニア月烏語』、『神聖ニナリア語』、『ゲオマンティス地脈語』? 特殊言語みたいだけど、フォントも違うしなんか強そうだぞ。

ん? ……あれ? よく考えてみたら、エイレニア語は理解できてるし、読み書きもできてるじゃない。転生者ボーナスもらってたわ!

すごく今更なことに気づいてしまった。

お客さんも普通に黒板やタグを読んでいたので、識字率もそこそこ高そうだ。めっちゃ助かる。


「確認終了!よし、明日も早いし寝ようっと」


ステータス画面を閉じようと、右上のバツ印に手を伸ばしたら、急にメッセージ画面が現れた。


─────────────────

アクティブスキルを展開しますか? 

[はい][いいえ]

─────────────────


展開? 何だろ……想像つかないわ。まぁ、今まで役に立たないことは聞かれなかったし、ここはアシスタント君を信用して[はい]をポチ! ん? ……トップ画面に戻ったぞ。

画面の左上に、今までは無かったアクティブスキルのアイコンが並んでいた。展開ってこういう事ね。地味に助かる渋いアシストじゃない。これで、ステータスを開いたら即スキルを表示できる。こういうUIの工夫が、ゲームの寿命にも影響するんだよね。うん、わかるわかる。




シャワーを浴び、パジャマに着替えてベッドに入る。昨日まではアイリスがここで寝ていたんだなって思うと、少し複雑だ。アイリスがアヤメに転生してるといいんだけどなぁ。ムリかな。


前世の習慣で明日の予定を考えようとした時、アシスタントからメッセージが表示された。え?ステータスオープンしなくても良くなった感じ??


─────────────────

各スキルの連携を強化すると、

より使いやすくなります。

連携強化をしますか? [はい][いいえ]

─────────────────


[はい]一択すぎて、[いいえ]を押したくなっちゃうレベルだけど、ちゃんと天邪鬼を発動させずに、[はい]に触れる。すぐにタスク管理機能が起動した。


─────────────────

明日のスケジュール(決定案)


04:00起床

05:00薬草採取 [持ち物] [地図]

07:00 薬草の仕分け

08:00朝食・準備

09:00市場での販売 [持ち物] [地図]

16:00 片付け・帰宅

18:00夕食

19:00自由時間

21:00 就寝

─────────────────


青字になっている[持ち物]を押してみると、リストが表示された。


─────────────────

□ カゴ又は丈夫なバッグ

□ 採取用のスコップとナイフ

□ 手袋

□ デリケートな薬草用の保護紙

□ 水筒

─────────────────


「完璧すぎっ!アシスタント君って、ほんと超有能な秘書みたい!」


思わず声が出てしまう。[地図]を確認すると、森への詳細なルートと、様々な薬草の位置が表示されていた。


「これなら、暗くても大丈夫そうだけど……んー、懐中電灯スキルまであればスマホ並だったのに。まぁ、欲張りすぎよね。カンテラも持ち物リストに足してくれる?」


─────────────────

ステータス画面を開き、「照明」とご要

望いただいたら、発光した画面が出ます。

電球色、昼白色、常夜灯など、ご用途に

合わせてご利用ください。

─────────────────


つまり、懐中電灯みたいに手に持つ必要なく周りを明るくできるのね。オイルランプを消して試してみる。


「照明!」


30cm四方くらいの明るく発光した画面が天井に現れた。オイルランプよりは明るいけど、前世の部屋の照明に比べると暗いわね……と考えると、1mくらいの大きさに広がり部屋中が明るく照らされた。


「これは便利ね。常に出しておきたいわ」


アシスタント君に言ってみた。


─────────────────

ステータス画面やメッセージ画面は、他

の人には見えませんが、発光画面は見え

ますのでご注意ください。

─────────────────


「あー、なるほどね。わかったわ。この明るさで使うのはこの家の中だけにした方が安全ってことね? 明日、森に行く時は、近くに人が来たら消えるとかできるかな?」


─────────────────

かしこまりました。以下の設定を行いま

す。アヤメ様の周囲100メートル以内に

人が接近した場合、発光画面を最小化。

また、アヤメ 様が滞在される部屋では、

常時、現在の発光画面を自動表示。

─────────────────


「人感センサー付きの照明をGET! これで、夜も作業できるようになるわね。」


明日からは、夜のうちにドライの薬草を準備してもいいかも? ……それにしても、このステータス画面って、かなり特殊っぽい気がする。市場の人たちは、スキルを使っている気配は無かったもん。しばらくは、注意しながら使って、この世界の常識を早く調査しなきゃだわ。


あれこれ考えていると、疲労管理が起動して、早く睡眠モードに入るよう促された。


「アシスタント君って、ちょっとウザいママみたい……おやすみなさーい」


私は小声で文句を言って、おやすみの挨拶をした。画面を閉じようと手を伸ばすと、最後のメッセージが表示された。


─────────────────

おやすみなさい、アヤメさん。明日も素

晴らしい一日になりますように。

─────────────────


このメッセージを見て、アイリスの記憶が浮かんできた。11歳から一人暮らし。毎日、心細さと不安を抱えながら「お父さん、お母さん、明日も頑張るからね。おやすみなさい」と囁いて寝ていた。私は、自分の身体、アイリスを抱きしめながら眠りについた。




夢の中で、28歳のアヤメと12歳のアイリスが手を繋いで、真っ直ぐな白い道を走っていた。2人は幸せそうに笑いながら、未知の冒険へと向かっていく。2人が走った後には、色とりどりの花が咲き乱れていた。




スキル設定は終了です。

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